『ボヘミアン・ラプソディ』への愛をただただ語る


『ボヘミアン・ラプソディ』は2018年11月に公開され、興行収入は日本だけで130億円、世界では9億ドルを突破した大ヒット映画である。イギリスのロックバンド・QUEENのヴォーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いている。

私は、この映画を見て人生が変わったのである。QUEENがない人生から、QUEENがある人生へ。これを分かりやすく食の分野に例えると、コーヒーがない人生から、ある人生へ。(コーヒーが苦手な方は、お好きな飲み物やお菓子、またはタバコ等に置き換えてください。)
コーヒーを飲まなくても生きていけると思うかもしれないが、無かったらだいぶつまらない人生だし、そもそも本当に無くても生きて行けるのか?私は無理だ。
QUEENが無くても生きてはいけるが、それはつまらない人生だし、そもそも、もはやQUEEN無しでは生きていけない。

今日は、私がQUEENにハマるきっかけとなった『ボヘミアン・ラプソディ』の魅力を、というか私の愛を、ただただ語りたい。お付き合いいただければ幸いである。

映画の魅力は、まず何と言っても素晴らしい楽曲の数々である。QUEENは1980年代に一大ブームを起こした。かつての若者だった大人たちがよく聞いていたノリの良いロックが次々に流れる。これだけでもテンションが上がる。
今までQUEENを聞いたことがない若い世代も逃さない。QUEENのヒットソングの多くはRemixされている。定番となった曲をブラッシュアップし、現代に通じるクオリティに仕上げている。オリジナリティと現代の美意識が融合され、今聴いても古くない、素晴らしい楽曲となっている。これはもちろん、QUEENには、ブラッシュアップに耐えうる「強い定番」があるということでもある。「強い定番」を創ることができたコンテンツは長く愛される。「定番」を知る世代からも、知らない世代からも、新たなファンが生まれ続けるからだ。

二つめの魅力は、メンバーである。
映画の主人公でもあるヴォーカルのフレディ・マーキュリー。彼の魅力は、彼がスーパーマンではないことだ。フレディは映画の中で、悩んだり、自棄になったり、素直に謝ったりする。映画の中で、だんだんスターになっていくのだが、ちっとも強くはならないのである。弱いままだ。
強いことではなく弱いことが、共感につながる。人は皆、弱い生き物だからだ。そして、共感を得ることができたコンテンツは強い。
QUEENの楽曲にはWe Will Rock You、We Are The Championという、「We」がつく有名な楽曲が2曲ある。
この「We」はQUEENのメンバーだけを指すのではない。「俺たち(メンバー4人)はチャンピオンだ!」と歌ったら、だいぶ上から目線だ。おそらく今のようなヒットソングにはなっていないだろう。
ライブ会場にいるファン、QUEENを好きなファンを含めて「We」とフレディは歌っているのだ。「俺たち(会場の皆、ファンの皆)はチャンピオンだ!」と。だから共感される。
映画のラストシーンで、フレディは「We love you!」と叫ぶ。これは、QUEENのメンバーからファンへの感謝の言葉であると同時に、「あなたは世界に愛されている」というメッセージでもある、と私は解釈している。だからフレディはなお、多くの人に愛され続けているのだ。

三つ目の魅力は、臨場感、ライブ感である。映画のラストシーンは、20世紀最大のチャリティーコンサートである「ライブエイド」だ。イギリスのウェンブリースタジアムで行われたライブの様子を、メンバーにそっくりなイケメン俳優たちが完璧に再現している。
『ボヘミアン・ラプソディ』は、応援上映という声出しOKの上映を行う映画館も多かった。何回見ても同じ内容のはずなのに、今日は千葉の成田、明日は東京の立川と、応援上映に参加するために遠くの映画館まで出かけて行くファンもいたほどである。

なお、すでにDVDが発売され、AmazonPrimeで100円で見られるようになってなお、TOHOシネマズ日比谷では週に1回応援上映を行っている。驚くことに、今でも毎週あっという間に満席になる。
理由がある。この映画が、まるでライブに行くように楽しめる、臨場感満載の仕掛けになっているからだ。ラストのライブエイドのシーンはもちろんだが、それだけではない。

一般に、ライブに行ったときには、次の瞬間に何が起きるか予測ができない。だから一瞬たりとも目が離せない。ドキドキ感がある。
映画は、一度観れば次に何が起きるかは分かっている。だから同じ映画を2回観るという人はあまりないだろう。
普通の映画はそうなのだが、『ボヘミアン・ラプソディ』は違う。ドキドキ感を誘う、画面の「ピントの合っていない部分」の作り込みがすごいのだ。
一例を挙げると、フレディと、ギターのブライアン、ドラムのロジャーの出会いの場面だ。ライブハウスの裏で3人がハモるシーン。実はそこに、ベースのジョンも写っている。ピントはまったく合っていないが、そうと意識して見ると、ハモっている3人を見てはしゃいでいるジョンに気づく。
このような仕掛けが、特に序盤の5分、10分置きに現れる。一度見ただけでは気づかず、何度も足を運びたくなる仕掛けが満載だ。何度見ても新たな発見がある、ライブのような映画、それが『ボヘミアン・ラプソディ』である。

『ボヘミアン・ラプソディ』を見たことがないという方は、ぜひ見ていただきたい。

『ボヘミアン・ラプソディ』を一度しか見たことがないという方は、まず映画のサントラをダウンロードして10周くらい聴いて、それから二回目を見ていただきたい。

それであなたは、人生に欠かせない何かを手に入れることだろう。


 

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