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背中を押してくれたひと

インテリアの専門学校に通っていた頃、大好きな建築の先生がいました。

明るくて面白くて、好きな事に全力投球している女性。(野外フェスとかロックコンサートに行くのを楽しみにしている)

余談ですが、鉄筋コンクリートの構造の授業のときの話はいまでも忘れられません。
(※鉄筋コンクリートは、現代のマンションの一般的な構造。コンクリートの中に鉄筋を入れて強度を出します)

「鉄は引っ張りに強く、圧縮に弱い。
コンクリートは引っ張りに弱く、圧縮に強い。
正反対の特徴なので、補い合って強度が出るわけです。
ところで、正反対なのに一緒にいられるのはなぜか。
それは熱膨張率が同じだからです」

ここまでは普通の説明。(ちょっとへーって思いません?)
先生はここからが違った。

「だからね、人間も一緒なのよ!一人が熱くなっても一人が冷たいままじゃ上手く行かないのよ!壊れちゃうのよ!一緒に熱くなれる人じゃないと!
パッションが大事!パッション!」

という恋バナに突入していきました。(どうやら熱膨張率が合わない相手と悲しい思い出があったようです。)

そして、「鉄筋コンクリート=パッション」というイメージが私の中で確立しました。

さて、ここからが本題。

私は2年生になって就職活動を始めましたが、「未経験」という壁が立ち塞がり、就職活動はなかなか思うようには進みませんでした。
学校に出ている求人を見て会社説明会に行ったり、面接に行ったりしながらも、行きたい会社には採用されず、行けそうなところには行きたくないという、キャリア貧乏状態。

担任の先生からは「とりあえず業界に入って、3年スパンで転職しながら経験を積めば良い」というアドバイスをいただいたものの、当時30代半ばだった私には「とりあえず」という選択は出来ず、悶々と日々を過ごしていました。

そんなとき、久しぶりの建築の授業の後に、先生に「就活がなかなかうまくいかない」と相談をしたところ、こんな言葉をかけてくれました。

「好きな事をやりたくてこの学校に来たんでしょ?好きな事やらないと意味ないよ!焦らないで納得がいくまで探した方が良いよ。」

この言葉は私の心にすーっと入ってきました。

この時まで、私の周りに「好きな事をやったらいいよ」と心から言ってくれる年上の女性は一人もいませんでした。私が相談下手だったのが大きいと思うけれど、会社の先輩に相談しても(そもそも女性の先輩が少なかったけど)「もっと頑張って出世しろ」「結婚するなら早いほうがいい」しか言われたことが無かったです。(あるいは愚痴の言い合いや傷のなめ合い…)

「年上で、自分の好きな事をやってる女性」は世の中に存在すると知れたこと、その人に「好きな事したらいいよ」と言われて「好きな事していいんだ!」と思えたことは本当に幸運でした。

先生、あの時は本当にありがとうございました。(上りやすい階段の計算方法は2回教えてもらったけどやっぱり覚えていません。すみません。)

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