御影瑛路

小説家。「空ろの箱と零のマリア」(全七巻)は全米人気一位との説も。レプリカレターという…

御影瑛路

小説家。「空ろの箱と零のマリア」(全七巻)は全米人気一位との説も。レプリカレターという音楽ユニットで時々活動中。他著作「殺人鬼探偵の捏造美学」「利他的なマリー」など。マンガ原作とアニメ関連の仕事がしたいし、常に新しい体験をしたい!

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  • 勇者ズム!SSまとめ

    商業作家に書いてもらった勇者ズム!の短編小説のまとめです。 毎週日曜日に新しい小説を公開します。

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勇者ズム!文庫 ~勇者ズム!小説アンソロジー発売決定!

連載してきましたVTuberユニットの勇者ズム!SSですが、書き下ろしも含めて本として発売することが決定しました! 『勇者ズム!文庫 ~勇者ズム!小説アンソロジー~』はコミックマーケット97四日目(12月31日)、サークル名『勇者ズム!』、西A-66aスペースで頒布いたします。 執筆陣は私、御影瑛路をはじめ、商業作家の豪華執筆陣でお送りします。 (五十音順、敬称略) ・五十嵐雄策(乃木坂春香の秘密など) ・時田唯(おことばですが、魔法医さま。など) ・土橋真二郎(生贄

    • 勇者ズム!SS9  著:羽場楽人

         『勇者たち、遊び、迷い、また手を繋ぐ』  勇者ズムの面々が日本に来て、少し経った頃。  よく晴れた休日、姫川セリナと天ノ川リサは原宿まで遊びに来ていた。 目的は観光とショッピング。 「うわーすごい人の数だね」とセリナは目を丸くする。 「アナストウェルのどの市場よりも人が多そう」  リサも同意した。  ふたりは休日の原宿のはじめて見たにぎわいに早くも圧倒される。  JR原宿駅を出て、降り立った竹下通り。  頭上にかかる巨大で奇抜なアーケードの先には、狭い道を埋

      • 勇者ズム!SS8  著:水沢あきと

           『勇者ズム!温泉回』  バス停で降りて、道なりに歩くこと約五分。  ヒグラシの鳴く夕暮れ時、辺りを鬱蒼とした森に囲まれた道に、四人の少女達が立っていた。  彼女達は道端に立てられた木製の看板を目にして、それぞれ、戸惑いと驚きが入り交じったような複雑な表情を浮かべている。 「日本にもモンスターが出るんだ……。巣がこの近くにあるのかな?」  襟元から袖口、胸、スカートに至るまで、ふんだんにフリルがあしらわれた衣装に身を包み、長い髪をツインテールにまとめたアサシン少

        • 勇者ズム!SS7  著:土橋真二郎

             『アナストウェルの戦士、東京で頑張る』 「面白いカフェだね」 「ふふーん、でしょう!」  隣に座るリサは得意げだ。  この中野のカフェで姫川セリナは人を待っていた。  待ち人は同郷の仲間だ。セリナと同じく東京に出てきて暮らし始めた彼女は、こちらの世界の生活に慣れただろうか……。 「もしかしてさー、鎧姿で来ちゃったりして」  天ノ川リサがいたずらっぽく笑う。 「まさか」  と言いつつセリナは少し心配した。待ち合わせの彼女は戦士だ。 「まあ、だとしてもさ、中

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          10本

        記事

          勇者ズム!SS6 著:羊山十一郎

             『元アサシン、メール詐欺に遭う』  ミアは先日購入したばかりのスマホを片手に固まっていた。 「……」  ないのである。  セシリー、リサ、マリー……スマホに登録されていた三人のメールアドレス、電話番号、そして昨日練習で送りあったメールが全て消えてしまっていた。 (おかしい……ついさっきまでは確かにあったはず)  ミアは先ほどから何度も繰り返している動作をもう一度試してみる。  電源ボタンを押し、四桁の暗証番号を入力し、ホーム画面に入る。『連絡先』と書かれたア

          勇者ズム!SS6 著:羊山十一郎

          勇者ズム!SS5 著:御影瑛路

             『元勇者、ラーメン屋でバイトを始める。』 「っしゃいませー! って、みんな!」  独特の豚骨臭が漂う狭い店内には、赤いレトロなカウンターテーブルと丸椅子が並んでいる。最近は女子が入りやすいようなオシャレなラーメン店も増えたが、この店はそういう店ではない。実際、六人の先客はすべて男性客だ。  そんな店で、姫川セリナは胸にでかでかと店名が書かれた黒のTシャツを着て、頭にタオルを巻いて丼を運んでいた。 「うわー、セシリーが本当にラーメン屋でバイトしてる!」 「だからこ

          勇者ズム!SS5 著:御影瑛路

          勇者ズム!SS4  著:三鏡一敏

             『勇者パーティーのパーティーナイト』 【アナストウェル】。  それは偉大なる女神アルテミラスの恩恵に浴する、栄光と希望に満ちた世界――だった。  アルテミラスの殺害を目論む叛逆者、魔王バエルの出現により、凶暴性を増したモンスターたちの脅威に晒される世界――。それが、今の【アナストウェル】の真実だ。  しかし。だからこそ彼女は、剣を取った。  絶望に沈む人々に救いの手を。邪悪な怪物どもには正義の鉄槌を。  尊き女神の御名のもとに、聖なる剣を振るう勇敢なる者の名

          勇者ズム!SS4  著:三鏡一敏

          勇者ズム!SS3  著:和ヶ原聡司

             『笑顔の種の処』                        「……ということで本日の配信いかがでしたでしょーかっ!」 「途中グダグダでお見苦しいところも見せてしまいましたが、何とか勝ててよかったー」 「本当ねー、エイムガバガバでやばかったよねー」 「安酒片手にやってる誰かさんがねー」 「やっとらんわー! 日本では順法精神旺盛なぴちぴちの十五歳じゃー! 言ったでしょーこれは近所のスパ銭で見つけたコーンポタージュコーラだっての!」 「どっちにしろヤバい飲み物じゃんコン

          勇者ズム!SS3  著:和ヶ原聡司

          勇者ズム!SS2  著:時田唯

             『天ノ川リサ、セリナに大変身! ~そして高校に行く~』  見た目は、手のひらサイズの宝箱。  コンコンと叩くと、金属の硬い音がした。  箱のフタには『開けちゃダメ!』と、可愛い札が貼られている。 (なんだろ、これ?)  お風呂上がりの熱を逃がすように襟をパタパタさせていた天ノ川リサが、その箱を見つけたのは夜十時を過ぎた頃だった。  彼女が日本を訪れて三ヶ月あまり。最近ではネット通販の扱いも覚え、着々とアニメグッズを増やしていたリサではあるが、段ボール包みでない箱

          勇者ズム!SS2  著:時田唯

          勇者ズム!SS1 著:御影瑛路

             『元勇者、スマホを買う。』 「スマホですか?」  聞き慣れない単語に、マリー・ロックハートは眉を寄せる。 「うん。ほら、日本ではスマホってもの無しでは生活できないって、レニエが言ってたじゃない?」 「ああ、そんな単語を口にしていたかもしれません」 「それがあの小さな箱だよ! 道ばたでも、店の中でも、みんながずっとうつむいて見てるあの箱はスマホってのに違いないって!」  ほとんどの日本人が食い入るように見つめている小さな箱の正体は、日本滞在二日目のセシリー・ヴィク

          勇者ズム!SS1 著:御影瑛路