前世と前前世の間の世界で、ギフトを受け取る。

 2回目のヒプノセラピーは、全くもって不思議だった。イタリアで平凡なポトフという男性だったことはわかった。仲良しの幼なじみは身分の高い娘で、どこかの実力者のところに嫁いでいった。そしてその幼なじみは、現世では次女だと感じた。さらにポトフは生涯独身で、静かに淡々と暮らし、生涯を閉じた。

 ところがその後、なぜか黒い牛の目の中に入り込み、入り込んだそこはまさに宇宙で、周りにはカプセルに入った胎児たちが浮かんでいて。ふわふわ気持ちいいなと思っていたら、強い光に包まれた水戸黄門様ご一行のような3人組が来て…金さんが私の頭にカメラをぶつけ、銀さんが私の胸にビームを放った。黄門様のような仙人に「がんばれ」と言われ、催眠から帰って来るという、なんだか不思議なセラピーとなってしまった。

 アコさんによると、どうやらその宇宙は「中間世」と言われる、死んでから輪廻転生するまでいる場所ではないかとのこと。そして黄門様ご一行は、マスターとか指導霊とか呼ばれる人たちではないかと。

 でも、そもそも牛の目の中に入るとか意味わかんないし、宇宙でガチャガチャのようなカプセルに胎児が入っているとかも謎だし、何をがんばればいいのか、カメラをどうするのか、ビームは何なのか。まったくもって意味不明だ。

 それによくよく考えると、カメラを私に投げつけるとか、いきなりビームを放つとか、ひどくないか?

 混乱した頭で一生懸命セッションを振り返る私に、アコさんが優しい笑顔で言った。

「ギフトをもらえるなんて、桜さんすごいわ~。きっとカメラのことで、何かお役目があるのかもしれないわね。」
「え?でもこの歳でカメラマンとか慣れないし…。写真はあくまでも趣味だから、仕事とかにはならないと思うし。そんな実力もないし。」
「でも、ギフトは受け取っちゃったわよ~。『入った』って言ってたでしょ。笑」
「あれって、ギフトなの? ぶつけられただけってこともあったりしない?」
「あはは。どうかしらね~。それは、桜さんにしかわからないわね。今はわからないかもしれないけど、良いタイミングでわかるときが来ると思うわよ。楽しみね♪」

 そんな会話でセッションが終了した。前回はセッション終了後はすっきりとしたさわやかな帰路だったが、今回はなんというか…意識はすっきりとクリアだけど、思考がもやもやしている。ギフトか。ギフト…ね。ギフト…。

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