前世療法のことを、夫にカミングアウト。

 初めて前世療法を受けたのは2013年10月。その体験がなかなか面白くて、本当はすぐにでも誰かに話したかったのだけど、なんせスピリチュアルという言葉がやっと世の中に浸透したころ。まして、「前世療法」やら「ヒプノセラピー」については、まだまだ知っている人が少ない状況でもあった。もちろん私の周りでは体験した人もおらず、話を共有して盛り上がれる知り合いが思い付かなかった。もちろん「こいつやばいやつ?」と思われたらイヤだなという気持ちもあった。

 数週間後、娘たちがおばあちゃんの家に泊まりに行くというので、夫と二人で外食をすることにした。久しぶりのデートだ。しかもこれはチャンスだと思った。1番ハードルの高い(とその時思っていた)夫に、前世療法の話をして受け入れられれば、他の人にだって話すことができるかもしれない。

 いつも行く子連れOKのレストランではなく、少し落ち着いた大人向けレストランで食事をすることに決め、最寄りの駅で待ち合わせをした。

 待っている間は、「どうやって切り出そうかな…」という考えで頭がいっぱいだった。まるでプロポーズをしようとしている若者のように、ドキドキしている自分が少しおかしかった。

 夫が到着し、レストランに着いた。食前酒と料理を頼んで、仕事や子どもの話をしながら様子を伺った。

 メインが運ばれてくるころ、ふっと話が途切れたときに、あの話を切り出してみた。今思えば本当に古いドラマにでてくる、プロポーズする主人公のような状態だったと思う。

「こないだ、前世療法受けてみるって言ったでしょ。あれ、すっーごく面白かったよ。」
「へえ。やばくなかった?」
「全然やばくなかったよ。セラピストのアコさん、すっごくいい人だった。丁寧に質問に答えてくれたし、『私が好奇心で来ました!』って言っても嫌な顔全然しないで、いろいろと教えてくれたしね。それにさ、テレビの人たちと同じように、催眠にかかったよ。」
「かかるんだ…。誰でもできるのかな?」
「アコさんは、みんなできるって言ってたよ。」
「催眠にかかっているって実感とかあるの?どうなるの?」
「起きてるんだけど、夢を見ているような感じで、おでこのあたりにいろんなイメージが湧いて出るの。別に動こうと思えば動けるんだけど、動きたくないから動かないっていう感じ。」
「テレビの催眠ショーみたいにならないの?」
「ならないよ。アコさんの説明だと、自分がやりたくないことは、催眠中でもやらないんだって。自分が望まない動きとか、あと必要のない情報もイメージできないみたい。」
「必要のない情報?」
「潜在意識がね、自分に必要な情報しか引っ張り出さないから、見たくないものとか、怖いものとかは、自分が受け入れる状態じゃないとみえないらしいよ。」
「へえ。」

 話し始めてみるととてもスムーズに会話が進んだ。そして盛り上がった。よくよく考えてみると、夫は昔から私の話をよく聞いてくれていた。仕事と育児に追われて、日常を切り盛りすることで精一杯だったから、そのことを忘れていたのだ。夫に話すのが一番高いハードルだと思っていたが、間違っていた。一番話しやすい人だったのだ。

 今では、不思議なことがあったら一番最初に話をするのは夫だ。夫は前世でも私の話をよく聞いてくれていた。それは今も変わらない。不思議だと思う。ちなみに、この後も度々夫は私の前世に登場する。それも不思議だ。

「それにね、オットが出てきたよ。(私は夫のことを普段は『オット』と呼んでいる。)」
「え?俺?」
「そう。オットは私のお姉さんだった。でね、いろいろと事情が複雑でね…聞きたい?」
「聞きたい。」
「じゃあ、話すね…。あのね…。」

<つづく…>

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