沢田眉香子

編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)…

沢田眉香子

編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)、『バイリンガル茶の湯BOOK』(淡交社)他。『世界に教えたい日本のごはんWASHOKU』(淡交社)でグルマン世界料理本グランプリ受賞。京都新聞美術展評、NHK関西ラジオワイド「アート情報」担当

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    京都こっとうを買いに (えるまがMOOK)

    沢田 眉香子,山口 紀子
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    京都うつわさんぽ 2015年改訂版

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    イラスト&英語でガイド 世界に教えたい日本のごはんWASHOKU

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    ランディー・チャネル宗榮のバイリンガル茶の湯BOOK

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最近の記事

「伝統」がしんどい

「縮小社会の文化創造」(思文閣出版 山田奨治編)に寄稿したコラムを加筆。日文研の同研究会に参加(ぶっちゃけお邪魔)させていただきました。 「伝統工芸品を使いましょう」という「お願い」 二〇二二年一〇月十九日の日経新聞の記事に、「伝統的工芸品産業振興議員連盟」が全国の二百品目以上を伝統的工芸品に指定し、展示や販促などを後押ししてゆくとあった。議連の会長の逢沢一郎氏は「各省庁に向けて、海外に行くときの手土産も伝統的工芸品にするよう発信している」という。 それで議連の皆さんは

    • さくらいともか展「はりこのほとけ」の、厳粛さとユーモア

      京都新聞2024年3月30日掲載 郷土玩具でおなじみの張子人形は、粘土などでつくった型に紙を貼り付けて固め、割って中の型を抜いて着色してつくる。軽くて中身は空っぽ。「張子の虎」は、見掛け倒しのたとえでもある。 さくらいともかの展覧会「はりこのほとけ」に並ぶのは、持仏のような小さなサイズのものや、顔や頭部がない不完全な姿、欠けた部分の像。のっぺりとして衣紋も単純化され、印を結んだ手は、緊張感よりもゆるやかさが感じられる。色は経年変化した青銅や木のように黒光りしている。興福寺

      • The World of Kyoto-Sushi, Where Pre-Nigiri Traditions Live On

        Have you ever heard of the "edible craft" of sushi called "kyo-sushi(Kyoto sushi)" ? "Izuju" is located under the stone steps of Yasaka Shrine in Gion, Kyoto. As soon as the restaurant opens, customers rush in one after another to order th

        • 「京都」が生き続けている小宇宙、京寿司

          何度書いても書き足りないね、京寿司のことは。 「外資系」(京都では、東京資本のこともこう呼ぶ)に住、食環境をアミューズメントパークにされて、ヘトヘトな京都だが、京寿司には、折り詰めというタイムカプセルに護られた「ちょっと前の京都」がある。 ひとつひとつのネタに注がれる、気の遠くなるような細やかな手間。映えより滋味を最優先する料理であり、派手さのないルックスと味ながら、手間は省けないので、お値段はそれなりにする。アミューズメントパークの客には全くアピールしない料理だが、細々と

        「伝統」がしんどい

        マガジン

        • stop making ZEN:art in Kyoto
          9本
        • SDGs✖️食 雑誌連載まとめ
          20本
        • 能あそび
          0本

        記事

          MtK「旅と夢」展。旅情なき「遠くへ行きたい」

          京都新聞 2024年3月9日掲載 小さなモニタにうつる映像。そこに鳥が横切ると、センサーが反応し、レトロなおもちゃのピアノが鳴る。サウンド・アーティスト、すずえりの作品だ。時空を超え、メディアと現実の間をまたいでインタラクションが生じ、懐かしい音が響く。 大和田俊は、石灰石にクエン酸を染み込ませ、鉱物が溶ける音を増幅させ、いま我々が立つ大地とそれが結晶した時間を音として感じさせる。小林椋は、SF小説の一節からインスパイアされたオブジェを制作。昔なら未来的だと感じただろう、機

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          「出してくれ」と暴れる物語を心のクローゼットから命がけで世に出してきた。ゲイの文化継承を綴る6時間の舞台『インヘリタンス』

          80年代以降の現代アメリカのゲイたちとその社会を描いた群像劇「インヘリタンス」を見る。 一部、二部で上演時間は6時間半。それでも、もっとみていたいと感じるほど中身の濃い脚本であった。 軸となっているのは、3世代のゲイの作家、劇作家たちが葛藤してきた「自身のセクシャリティをどう物語るのか」。 自己防衛のためにクローゼットに隠れることを余儀なくされていた世代と、エイズ禍、ゲイリブの時代を経て、さまざまな権利も獲得。「解放された」現代のゲイ青年たち。 昔より生きやすくなったのか

          「出してくれ」と暴れる物語を心のクローゼットから命がけで世に出してきた。ゲイの文化継承を綴る6時間の舞台『インヘリタンス』

          登録100万人のYouTuber、りおなちゃんは、実写版:奈良美智の女の子みたいだ

          「ワタシのこと、お前っていうのやめてよ」。 お父さんをこき下ろす言動が話題の、6歳のユーチューバー、りおなちゃん。チャンネル登録者が100万人を超える大人気だ。 勧められて見てみたら、なんか見覚えが、、、どこでお見かけしましたっけ?と思ったら、奈良美智の絵ではないですか。 奈良さんの絵の女の子の多くは、下ぶくれの赤ちゃん顔で、不機嫌な表情をしている。いろんな解釈はできるが、か弱い者の声がスルーされてしまう世の中の不公平への不満、「女の子がいつも笑ってなきゃいけないなんて、

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          おじさん向けに、忖度ないアートフェアの記事を書く

          JBpressに、アートフェア東京、ディレクターの北島輝一さんから伺った「アートと金(投資)」の話を寄稿。さすがに元金融マン「アートフェア=株式市場」という見立てが明快。アートフェアってなんやねん? な人の目からウロコが落ちるといいな。 北島さんには以前にクオリティ誌(笑)で取材させていただいたのだが、一般誌に掲載されるアート記事って、知的(風)シュガーコートと幻想盛りがデフォルトゆえ、肝心の「眼ウロコ」コメントがほとんど活かせず。ビジネス系のウェブメディアで、リベンジさせて

          おじさん向けに、忖度ないアートフェアの記事を書く

          海外で、日本の若手の抽象画がキテるとか

          京都新聞 2024年2月17日掲載 2月は芸術系大学の卒業制作展、3月は「アーティスツフェア京都」が開催され、若手作家にスポットが当たる。この時期にあわせて、抽象画を手がける3人の展覧会が開催されている。 竹林玲香(1998年生まれ)の作品は、灰色がかったブルー、ピンク、薄紫のグラデーションの上に線描がリズミカルに描かれる。黄色いドットに覆われた作品もある。陶のような異素材もペインティングの素材とする作家だ。高戸蒼月花(1997年生まれ)は人影や顔を塗りつぶした上に、明る

          海外で、日本の若手の抽象画がキテるとか

          作品か、製品か、創造か、産業か。その全てである「陶」に歩み寄る梅津庸一展「ひげさん」。

          京都新聞 2024年1月27日掲載  美術家の梅津庸一と信楽の丸倍製陶所の神崎倍充の2 人展。梅津の作品は、混沌とした色彩の絵画と、それを立体化した遊具のような陶オブジェ。神崎は自社製品の傘立てや花器を出品。陶の「作品」と「製品」が並ぶ違和感に戸惑った。 梅津は日本のアートを問う評論活動も行っており、今展は2021年から神崎の製陶所を借りて作陶する中で立てた論点にもとづいている。展覧会タイトルは「ひげさん」。髭をたくわえた陶芸作家を、信楽の職人は揶揄してこう呼ぶそうだ。

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          ミルクマン斉藤さんと、試写室でふたりウケした映画、『フェティッシュ』

          情報誌時代にすんごくお世話になった、ミルクマン斉藤さん(斉の字、なんども間違ってすいませんでした)が急逝された。 いつもにこやかで面白い方でしたが、映画にぶさいくなヒロインが出てる時だけは、目が三角になって怒ってらした(笑)。 実は、ミルクマンさんとは、映画評論家としての活動のはるか以前に(そしてワタシは高校生時代に)、同じ場所に何度もいたことがある。「オルフェの袋小路」という映画サークルが主催する、京大西部講堂でのアングラ映画上映会だ。 上映会のある土曜日に、私は学校が

          ミルクマン斉藤さんと、試写室でふたりウケした映画、『フェティッシュ』

          「ミニマル美術」展で、シンプルでいられない世界のことを考えた

          京都新聞 2023年12月23日朝刊に掲載 ミニマルアートとは、幾何学的なパターンや素材の物質性をシンプルに際立たせて、説明や主観的な感情をそぎ落とした表現。1960年代後半に、アートのトレンドとなった。このグループ展では、コンセプチュアルな作品を制作する若手作家が、ミニマルアートのスタイルを借りて競作する。 木のフレーム、電気ストーブの形をした光のオブジェは松井沙都子、オブラートにシルクスクリーンで文字を印字する高畑紗枝、絹糸に漆の水滴を凝固させた森田志宝、アクリルの立

          「ミニマル美術」展で、シンプルでいられない世界のことを考えた

          バングラで聞いた「10年後、僕が日本を助けます」を、ラグジュアリーホテルで思い出した

          新しくオープンしたラグジュアリーホテルにご招待を受けた。 チェックインしようとしたらフロントデスクにはインド映画に出てきそうな髭のダンディ、部屋の案内をしてくれたのは、チャイナドレスやアオザイが似合いそうなアジア系の若い女性ではないですか。客室のシンプルで広々したデザインもあいまって、日本のホテルにいる感じがしない。 いやはや日本の人手不足、ここまできたかと驚いた。 しかし、改めて驚いたのが、それを残念とか情けないとか感じさせないくらいの、スタッフさんたちの対応の素晴らしさ

          バングラで聞いた「10年後、僕が日本を助けます」を、ラグジュアリーホテルで思い出した

          「アートか工芸か」なんて悩んでいた陶芸。忘れていたのは、「無用の好奇心」だ

          京セラギャラリー「無用の好奇心」展 京都新聞 2023年12月2日掲載原稿をリライト 釉薬が流れ散り不規則な凹凸をつけられたタイル、陶土で描いた絵、ランダムな柄が描かれたコンプラ瓶(江戸時代の輸出用の醤油瓶)など、一見して陶芸家の作品でなさそうなやきもの。京都芸術大学「表現研究」の成果作品だ。 陶芸家の福本双紅が総合ディレクターをつとめ、異なる領域の学生たちが初めて陶芸を体験。作家である指導教員たちも、陶から触発されてコンセプチュアルな作品を制作した。多和田有希は、学生た

          「アートか工芸か」なんて悩んでいた陶芸。忘れていたのは、「無用の好奇心」だ

          竹内栖鳳の破壊と、後輩画家たちの青春

           「竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」京都市京セラ美術館  「京都画壇の青春展」 京都国立近代美術館で12月10日まで ※レギュラー出演しているNHKラジオワイド関西文化情報(2023年11月28日放送)の読み原稿をリライトしました 江戸時代、京都には、円山応挙を元祖とする円山派をはじめ、多くの個性的な画家たちが人気を博していました。それが、明治時代になりますと、西洋の文化「西洋画」が紹介され、日本の絵は「日本画」という新しいカテゴリーを打ち立てないといけなくなります。さ

          竹内栖鳳の破壊と、後輩画家たちの青春

          風神雷神も、どひゃっと脱力。村上隆「もののけ京都」記者発表

          「日本でやる展覧会は最後になるかもしれない」と村上隆。 2024年2月に、京都市京セラ美術館で開催される「もののけ京都」展会見が、祇園でものものしく開催された。 東日本震災を機に京都住まいをされている村上さん。 「京都の人は日本人じゃない、平安人だ。日本人をスポイルしようとする力が強い。NYと同様、強力な排他的な力がはたらく。そこに身を沈めてみようと思った」と、京都ヘイトを語る。 「京都市美術館開館90年記念として開催される「もののけ京都」展には、村上隆なりの、江戸絵画解

          風神雷神も、どひゃっと脱力。村上隆「もののけ京都」記者発表