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初めての推し活で、空間丸ごとミセスに包まれる体験をした

平日お昼前の上野駅は、ずいぶん久しぶりの来訪な気がしたけれど、先月日立駅に行く際に一度降り立ったことを思い出して、直ちに自分の間違いを訂正した。

山手線のドアが開くと同時に、ビルの隙間から上部4分の1ほどを覗かせるスカイツリーが、思ったより大きく眼前に現れた。スカイツリーでテンションが上がってしまう私は、生粋の埼玉県人であることを思い知らされる。

今日は初めて推し活をする。上野のマルイで25日まで開催される、Mrs.Green Apple(以下、ミセス)のポップアップストアに行ってきた。

2023年から2024年にかけて全国各地で順番にオープンしたミセスのポップアップストア。前回は渋谷のモディで行われていたが、すっかり行き損ねてしまった。気づいたときには最終日の日曜日、そしてもちろん、すでに満員御礼で行けるはずがなかった。ショックで3日3晩寝込んだ、は誇張表現だとしても、それくらい残念だった。

それが今回、おかわり開催されたのだ。しかもまたしても、都内で。
今回は真っ先に予約を抑えて本日のお昼、4kmのランニングを終えて清々しい気持ちで向かった。天気は晴天。

眩しいくらいの日差しに、まばゆいミセス

改札を出ると、マルイにかかる垂れ幕で早速テンションが上がる。どこのフロアに行っても必ずミセスの『ナハトムジーク』が聴こえるし、ポップアップストアのある5階は流石の賑わいを見せていた。

階段まで続く行列に、「お写真の撮影が終わりましたらすぐにご移動をお願いしまーす!」という、イベントスタッフの声。グッズ販売ってこんなに大変なんだ、と、初めて実感した。予約しないと入れないなんて大袈裟だなあと思っていたことに、頭を下げたい。

どこを見渡しても好きなもので溢れている空間は、なんて幸せなんだろう。手に取るものが全て愛しく輝き、私のために存在しているようだった。

真ん中に写るTシャツ、買いました

事前に欲しいグッズをピックアップしてこなかったことを後悔した。くすんだ赤いカラーパーカーも可愛いし、トートバッグも捨てがたい。小さめな黒いバッグは旅行にもぴったり。


けれどここで思い出した。オンラインマネースクールSHEmoneyで他のマネーメイト(SHEmoneyの受講生)が推し活にかけるグッズ代について後悔していたことを。

「結局使わないのに、それをわかっているのに、その場では楽しくて買っちゃうんですよね」

その頃私には推しがいなかったので、「そうですか、でもしょうがないですよね」と上部の共感しかできなかった。しかし今になってわかる。推し活はディズニーランドよりも居酒屋よりも、自分の金銭感覚が狂う瞬間だと。

周りの人の会話を聞いてもみな、お金に困った様子だった。ある親子は1枚だけ服を購入して貸し借りする作戦を立てていたし、別の女性グループは「これでまたグッズ販売やるってなったらどうしよう……」と、楽しいはずの推し活に恐怖を抱いていた。みんなギリギリで、それでも彼らを応援して支え続けたいんだと思うと、ホストがなぜあんなに稼げるのかわかる気がしてきた。


金銭感覚のネジを締め直し、私はTシャツとメンバー3人が箱に写るお菓子を買った。Tシャツは元々欲しいと思っていたし、これを着て『WanteD!WanteD!』を聴きながらランニングしたら絶対楽しい、あわよくばこれを着てライブに行きたい、そんな先々のワクワクを考慮して判断できた。お菓子は同じくミセスが好きな母への手土産。

Tシャツの文字がぽこぽこ浮き上がっていて、可愛らしい

帰り、マルイのBGMは『ナハトムジーク』から『ケセラセラ』に切り替わるところだった。1階で明日のチョコレートを買い、大森くんの美声を背中で目一杯受け止めて、仕事に向かう。

ああ、なんて、素敵な日だ。

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