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「多様化の時代に求められていく英語学習とは」東京都市立大学等々力中学校様ヒアリングレポート

東京都世田谷区にある東京都市大学等々力中学校・高等学校では、グローバルリーダーの育成に向けて、英検受験やアサーショントレーニングに注力しており、AIの能力とマンパワーの長所を生かし生徒の学ぶ力を伸ばす学習システム「システムZ(ゼータ)」の一環として、「mikan for School」を導入していただいています。今回は教頭先生の飯田先生と、中学2年英語科教諭の阿部先生に、mikan for School の活用方法や導入後の変化についてお話を伺いました。

■「mikan for School を使おう!」と思ったワケ
・課題と補習に追われて部活に行けない生徒がかわいそうだったから!
・毎日の問題作成を先生方が行い、負担が大きかったから!
・AIを導入したけど生徒の学習力が把握できなくなってしまったから!

■「mikan for School を使って良かった」ワケ
・簡単にテスト作成ができて先生の負担が軽減したから!
・生徒も操作しやすく、苦手な単語も繰り返し学習できる!
・英検合格率がすごく上がったから!

ブラッシュアップを続ける等々力中の学習支援システムとは?:飯田先生

飯田先生

mikan 貴校は独自の学習支援システムで英語学習に注力されていますが、その取り組みについて現在に至るまでの経緯を伺えますか?

飯田先生 本学が共学化されて14年目になりますが、共学化された時に始まったのが「システム4A」というもので、朝の15分間で授業の到達度を測るテストを実施していました。前週に習った範囲がテスト化され、基本的に数学・英語・国語・数学・英語という順で月曜から毎日テストがあり、不合格の場合は放課後に補習があります。
良い面として、毎日のテストのために勉強をするので基礎学力が定着しましたが、悪い面としては補習対象の生徒が固定化されて、いつも同じメンバーが部活に出られない状況となってしまいました。それが10年間続きました。

mikan かなりストイックな上に、補習が続くと生徒たちのモチベーションも下がってしまいますよね。

飯田先生 そうですね。そんな状況の中、テスト運営のコスト面にも課題がありました。毎日の問題作成を先生方が行っていたので、コストがかかりすぎていたんです。そこで校長が「アプリで解決できないか」と。

mikan 先生方の負担も大きかったんですね。

飯田先生 あと全員一律の問題でテストを実施していたので、生徒それぞれの学力に合わせたテストができないのも問題視されていました。そこでコストの削減や問題の個別最適化を実現できるアプリを導入することにしたんです。AIを活用することによって「システム4A」から発展を遂げるという願いを込め、「究極」という意味を持つ「Z」を掲げた「システムZ」へと方針をリニューアルしました。

【システムZとは?】
AIの能力とマンパワーの長所を生かし
生徒の学ぶ力を伸ばす学習システム
2020年度からスタートした新学習支援システム。毎朝10分間、記憶定着アプリに取り組みます。この記憶定着アプリで英語検定の目標取得級を登録すると、学習計画がAIにより自動的に作成されます。配信される問題を解答する間にAIが解答を自動分析し、各生徒が「憶える」までに必要なステップを判断します。難易度や出題頻度の調整が自動で行われた問題が次々に出るため、効率的な記憶定着が可能です。また今まで分からなかった学習内容・記憶状況を可視化できます。
個別につくられた学習計画の進捗に遅れが出ている生徒、取り組みに時間を要している生徒は週に1回コーチングが行われ、遅れの解消及び学習への取り組み方についてコーチしていきます。目標は全員高2修了時までに英検2級を取得することです。

東京都市大学等々力中学校・高等学校公式WEBサイト「システムZ(ゼータ)」https://www.tcu-todoroki.ed.jp/education/support/system_z/

mikanでもっと学習システムをスリムに!

mikan 紙からアプリへ、問題作成や採点も自動化されたんですね。実際に活用されてどのような変化があったのでしょうか?

飯田先生 導入当初からは他社のアプリを3年間活用したのですが、非常に効率が上がった反面、AIに対しての限界を感じましたね。具体的にいうと、一度問題が解かれAIが「学んだ」と認識すると、同じ問題が出題されないんです。つまり、生徒たちが課題に取り組んでいくにつれ、徐々に問題が減っていくんですね。

mikan なるほど。最適化されたことによって新たに課題が出てきたということですね。

飯田先生 そうですね。かと言って教師から課題を与えようと思っても、今それぞれの生徒が何を学習しているのかが把握できていないという、かえって非常に複雑な状態になってしまったんです。そこで次に導入したのがmikanでした。mikanでは単語の解答後に覚えたかどうかのチェックを自分で付けたり外したりできるじゃないですか。それで抱えていた課題を解決することができました。あとは誰にでもわかりやすい操作性、その2点がmikanを選んだ決め手でしたね。

mikan 単語問題の場合は4択からの選択という点で多少ヒントになっている部分もあるので、まだ覚えられていないと思う単語は再度出題されるように各自で設定できるようになっているんです。因みにmikanを導入する前と後で変化はありましたか?

飯田先生 以前のアプリだと毎日課題が配信され、出題された単語を全て覚えないと合格にならなかったので、生徒は大変だったと思います。

mikan 例えば1から100題を全てやれば完了じゃなくて、全部覚えなくちゃいけないんですね。

飯田先生 そうなんです。そこでmikanが良かったのはテストが簡単な操作で作成できる点でした。教員の負担も少なくなり、毎日取り組む課題ではなく週に1回のテストで到達度を測ることになったんです。テストの点数で補習をするかどうかを判断する方がシンプルだし、生徒にとっても負担が少ないのではないかと。

mikan 確かにテスト機能は活用いただいている他校の先生方からも、好評をいただいております。

多様化の時代に、人間力を養う

mikan 今後の貴校の展望として、英語学習の強化に限らず取り組んでいきたいことはありますか?

飯田先生 これまでは進学校化させるために様々な取り組みを行い、共学化当初に45程度だった偏差値が、今は60くらいまで上がってきているんです。それに伴い生徒層も変化し、教員も優秀な子たちに合わせた授業やホームルームへとブラッシュアップさせていく。そういった相乗効果で成長を遂げてきたと感じています。この上で、現在偏差値が高い学校は国公立や早慶、GMARCH合格人数で競うのではなく、「質」の勝負になってきているんですよね。

mikan 合格数ではなく、目指す大学のレベルをあげるということですか?

飯田先生 そうですね。上位校である東大、京大、旧帝大、早慶といった大学の合格者をどれだけ増やしていけるか、そういった質の高い学習がこれから大切になっていくのかなと考えています。

mikan 「システムZ」に象徴される様々な施策は、そういった「質」を高めるための取り組みなのですね。お話しを伺っているとかなりストイックかつ柔軟に教育と向き合っている印象を受けますが、貴校の教育理念や方針が基盤にあるのでしょうか?

飯田先生 今まで進学に向けた学習に力を入れてきた一方で、本校の教育理念である「noblesse oblige(ノブレス・オブリージュ)」=“高潔な若人が果たすべき責任と義務”に則って教育目標・方針を実践してきました。中学1、2年生は「共生」のステージといって、特に「アサーショントレーニング」というものに力を入れています。これはいわゆる「空気を読む」といった、相手に迎合するコミュニケーションではなく、自分の考えを相手に伝え、同時に相手の考えも受け入れる、というトレーニングです。

mikan 授業でコミュニケーションのトレーニングを行うんですか?

飯田先生 本校独自のLiP(Literacy Presentation=“プレゼンテーション能力”)の授業において、人間の「ヒューマンスキル」を鍛えるためのプログラムを行います。例えば中学2年生になると「共生の旅」という福島の方へのクラス旅行があり、かつてあった会津藩で「noblesse oblige」に通ずる教えを学びに行くんです。

mikan 例えば白虎隊における忠誠心とかですか?

飯田先生 そうです。白虎隊の人たちが学んだ日新館に行ったり、あとは環境問題についても学びます。東日本は震災の被害に遭われているので、「原発」というものが良いものなのか、はたして悪いものなのか、どういう世の中にしていくべきなのか、そういった問いについて考える機会を設けているんですね。

mikan 主観的な良し悪しではなく、その場をフラットに見つめて咀嚼する。自分の考えも持ちつつ他者の考えもあるというヒューマンスキルを育てるということは、学校の取り組みとして大事な気がします。

飯田先生 とても真面目でストイックな学校ですよね。勉強だけでなく人間的にも成長する。その上で固定概念に囚われず、アプリやAIの活用など柔軟な姿勢で教育に向き合うことも教師に求められているんです。

mikan 進学校として勉強の「質」に向き合いながらも人間力を校風にしているのはすごいことですね。そういった校風が生徒たちの成績や成長過程にも良い影響をもたらしているのだなと感じました。貴重なお話ありがとうございました。

mikanが毎朝の習慣になる:阿部先生

阿部先生

mikan 実際に授業の中でどのようにmikanを活用されてるか教えていただけますか?

阿部先生 週に1回火曜日にmikanを使ったテストを実施していますね。それ以外の朝に関しては10分間自習の時間を設けています。

mikan 自習の時間はmikan、もしくは別の教材を使って学習するということですか?

阿部先生 いえ、mikanだけです。

mikan ありがとうございます。テストは英語の意味を日本語で答える問題とタイピング問題で合計100問実施していただいているかと思いますが、タイピング問題に重きを置いていられるのはどう言った理由でしょうか?

阿部先生 普段は「覚えるためには書きなさい」と指導しているので、私が作る定期考査や単語テストは書かせる問題が非常に多いです。mikanを使ったテストでも単語が覚えられるようにとタイピングをさせています。

mikan 手書きに比べてタイピングだと覚えづらいということはないでしょうか?

阿部先生 私自身アプリでタイピングをして学んだ世代ではないので、「覚えづらいのでは?」という勝手な先入観はありますが、生徒からそういった声は挙がっていないですね。

驚異の英検取得率

mikan 実際にmikanを導入する前と比べて、先生が担当されている中学2年生の英語力に変化はありましたか?

阿部先生 大きな変化としては、中1の目標級である英検4級の合格率が第3回終了時点で93%以上という成果が出たことです。小学校の時に取得済みの生徒もいたりと学力の高い学年という前評判はありましたが、模試の成績も史上最高値となりました。これは偶然とは考えづらく、mikanに毎日取り組んだ結果かなと。mikanでは英検4級以外の準1、2級やIELTS(アイエルツ)など幅広く対応していただいているところが良かったです。中学生の担当としては今2周目に入っているんですけど、現在の高2が中1の時と比較しても、基本的な単語力は今の方が高いですね。

mikan 何が生徒の英語学習に対するモチベーションになっているのでしょうか?

阿部先生 テストが不合格だとコーチングが放課後にあるので、部活に出られないんです。罰ゲームみたいですけど、それが嫌だから頑張っている子たちが多いのかなと思います。

mikan 部活に出たいから英語の学習をする。そのオペレーションが回っているから、必然的に毎日英単語へ触れる機会が作られているんですね。

阿部先生 それもありますし、そもそも本学の生徒は真面目で、「英検に受かりたい」という気持ちが強い子も多いです。例えばたまたまインフルエンザで5級を受けられなかった生徒が、「周りに置いて行かれるのが嫌」という理由から、次の試験で一つ飛び級の4級を受けたいと言ってくることもありました。

mikan 「周りに追いつきたい」という気持ちがモチベーションになっているんですね。周囲と切磋琢磨しながら高みを目指していくにつれて必然的に英語力も向上し、大学入試にも活きる力が養われる。すごく良い環境だと感じます。

「音読教育の等々力」を突き詰める

mikan mikanのテストでは「でる順パス単」を使っていただいていますが、今後mikanに対するご要望はありますか?

阿部先生 少しやりにくいと感じているのは、4技能でいうスピーキングの部分ですかね。音読したものを吹き込んで、それがちゃんと読めているか確認できるような機能があると良いです。例えば授業でのペアワークや宿題の音読など、全ての生徒の確認を教員がやりきることが難しく課題となっています。

mikan なるほど。スピーキングは授業でも中学1年生から注力されているんですか?

阿部先生 スピーキングというと大げさかもしれないですが、ネイティブの先生にきてもらって音読に取り組んだりと、かなり力は入れています。極論、話すことができれば聞き取ることができ、良い発音ができればリスニングの強化にもなるという考えですね。昔から「音読教育の等々力」というのは学校として掲げていて、英語科主任が何度か変わっても音読に力を注ごうとする意識は変わっていません。

mikan 確かに音読・スピーキングを突き詰めていくことで養われる力は大きいですよね。

阿部先生 今後偏差値や大学の合格数を伸ばしながらも、「喋れる口にする」機会は増やしていきたいです。ただスピーキング、正しい発音の指導、さらにはリスニングは授業だけだと限界があるので、タブレットを使うなどいろんな可能性を見出だしていきたいと思っています。

英語教育に新たな可能性を

mikan 阿部先生が英語学習において今後大事にしていきたいことはありますか?

阿部先生 来年度からは飯田先生が作った学習支援システム推進委員会(参考:東京都市大学等々力中学校・高等学校公式WEBサイト「システムΖ」https://www.tcu-todoroki.ed.jp/education/support/system_z/)を引き継ぐことになったので、いろんな可能性を試したいですね。「NO」と言って新しい提案を断ることは簡単ですから。私もタイピングで英語を書けるようになった世代では無いので、「本当に書けるのか?」と最初は思う面もありますが、試しもせず否定から入るようにはしないでいきたいなと思います。

mikan 阿部先生のように可能性を探っていかれようとするお考えを持った先生がいらっしゃると、私たちもすごく嬉しいです。率直にご感想をいただいてお互いにプロダクトを高め合い、生徒の英語力の底上げの手段としてmikanを使っていただけたらと思います。


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