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決戦は金曜日その後

前回のつづき
すっかり更新も忘れて、傷ついたことも忘れるように仕事して、
気づいたらもう梅雨。翌年の梅雨。
時系列はバラバラだけど、傷ついた自分を自暴自棄に扱った夜もあった。
またその話は次に備忘録で載せよう。




長年そこはかとなく片思いをしていた、男友達との決戦の金曜日だった。
気だるそうに待ち合わせの駅改札に現れた彼は、
出会った6年前よりも身長は高くないのに丸く、背中の傾斜も丸く、首も一回りおおきく、とにかく丸くなったように感じた。
体型は変わっても目からもなんだかやる気がなくて、
思えばちゃんとあった瞬間から、見えていたものがあった。
なのに、私は気づかなかった。
だって自分勝手に好きになって、自分勝手に盛り上がっていたから。


「何食べる?」
彼からの質問に畳み掛けるように詰めてしまう。
「魚と肉は?何料理がいい?あっさり?濃いめ?」
可愛くない。

結局、近所のお魚が美味しい店に入った。
焼き魚定食が美味しい。昼とか持ち帰り弁当とかしかいったことなかった。
もっとお酒の種類の多いお店にすればよかった。
(こうやって思い返すとすぐ別の選択肢を妄想してしまうのは私の悪いクセだ。)

少々お酒も進んで、〆鯖を口に運びながら
「……で、そのときに○○がこんなこと言ってきて、つい口論になったよね」
「いいもの作る気ないなら、やめてくれればいいのに」
「これだから、仕事できないやつは」
「自分で考えるってことを知らないのかね」
彼の口から出てくる出てくる、仕事の愚痴。

語気の強い言葉は、たとえ自分に向かっていなかったとしても
私のHPもSPも確実にえぐってくる。毒属性だ。
(仕事が楽しくて、苦しんでるようなあの感じはどこにいったんだろう)
なんとなく感じ始める、あの会話と会話のジョイント部分が
はまらないちぐはぐな、緩いようなきついような。

彼が私になんて相槌を打ってほしいのかわからなくなってた。
でも変に今日を逃すともう彼にと話せない気がして、
緊張して本音が言えなくて。この期に及んで嫌われたくなくて。
ほんと自己中心的な飲み会だった。
もちろんそんな飲みなど、盛り上がることもなく、酔いも回ることもなく…

お店を出て、
「カラオケでもいく?」
生き急いでる私はつい先行して聞いてしまった。
「いや、まぁもう今日はいいんじゃないっすか」

(しまった!アルコールも全然回っていないというのに)
「お、お土産忘れてきた…家に…話してたほら…お酒」
「ああぁ……」
彼は困った顔をしていた。そういま思い返すと。

「じゃ、それだけもらったら今日は」
「う、うん」
一度来たことあるうちへの道を歩きながら
遅咲きでハマったエヴァンゲリオンの話をした。
あの時が一番わたしらしくて、楽しい会話だった。



玄関から一向に入ってこない彼に
冷蔵庫にしまっている銘柄を持ってきて、彼が気になるものを渡した。
白々しく思い出したように、
「あ、そうこれ…まえうちのボディソープいい匂いって言ってたから、そこのブランドの…誕生日プレゼント!」
彼が好きといっていたものが近々の記憶でこれしかなかったから、購入した。
「えーありがとう」さすがに誕生日プレゼントは想定外だったようで
少しだけ驚いていた気がする。

「じゃ、これで…」
気まずそうに去ろうとする彼に、
(ほんと自己中心的な解釈で恥ずかしい)まだ想いを伝えていない!!!と焦る私。

「駅までおくるよ」
離れ難かった。寂しかった。うまくいかなかった。
なんかぐちゃぐちゃなちぐはぐな、後ろ髪を引かれてやな見送りだ。


「あのさ…」
「なに…」
気まずい言い出し。

・・・・・・・・あとは割愛したいくらい
ダサくてうまく行かなくて言い返されてな散々な告白だった。
だけどあえて書く。それが書けなくて更新できなかったのだ。




「あのね、気づいてると思うんだけどさ…あの、好きなんだけど」
道で急に告白し始めたわたしに、
「(ため息)こういう人通りのあるところでそういうの話すのとかホントやなんだけど…」
「だ、だって帰るっていうから(本当はもっと楽しい気分で話したかったよ)」
「まぁいいけど、もうちょっと路地はいったとこにしよ」
「あ、はい……」
「んー、まぁはい。あの、ありがとうございますごめんなさい」

あっけなかった。
2019年から何も変わっていなかった。
(というかちゃんと調べたら、一度電話で告白してるじゃん恥ずかし。)
挙句の果てに、これが8年くらいの友達だったら元に戻れたのかなとかそんな話をして解散した。


「なんで、ちょっとなんか違うなーって思ってて、本音が話せなくなって、で会話盛り上がってないなーって思ったのに、俺のこと好きなの?」って言われた。
「わかんないよ。わかってたら、こんなに暴走してないよ。」
「それ映画にすればいいじゃん。」
勝手なこと言って。それから彼とは連絡をとってない。


たまにインスタのストーリーの足跡だけ確認する。
いるじゃんってときといないじゃんって時がある。
でも君は仲のいい友達の枠にはいれてあげないんだから。





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