虚空教典 感想


【Q】虚空教典(著:剣持刀也)とは?

【A】「にじさんじ」剣持刀也ファーストエッセイ!
にじさんじ所属のバーチャルライバー剣持刀也は16歳の高校2年生。剣道部所属の隠れまじめ系男子。
しかし、彼には裏の顔があると噂されていて……。虚空教とは何か。剣持刀也とは何者なのか。
エッセイ、イラストフォト、ファンからの質問に答えるQ&Aコーナー「剣持が斬る」、友人ライバーとの対談など盛りだくさんの内容で送る稀代のエンターテイナー剣持刀也ファーストエッセイ。


本感想は、剣持氏のファンであり既に読んだ人、或いは、剣持氏は知っているが購入するまでに至ってない人向けのものとなっています。
まだ読んでない人の楽しみを奪いたくはないと思っておりますので、内容の具体的なネタバレは一切ありません。
(ただし、前情報としてあった対談相手について、および、試し読み部分に関しては例外とします)

どうぞよろしくお願いします。



虚空教とは何か、剣持刀也とは何者なのか

エッセイが出る、と聞いた時にまず思った事。

エッセイとはなんぞや?

自分が普段読むエッセイやコラムは、日常を切り取った短文が多い。だから、なんとなく「普段よりプライベートな話をするんだろう」という想像をした。そこでGoogleさんに聞いたところ、以下の答えが。

1.自由な形式で、気軽に自分の意見などを述べた散文。随筆。随想。
2.特殊の主題に関する試論。小論。

………いや、分からん!!

結局エッセイってなに?!が強まっただけでした。エッセイってなに?剣持刀也の自由な散文?随想?小論?でも〝教典〟なの……??

告知されてからずっと(剣持刀也のエッセイって何だ…?!)と考えていました。これは期待、ワクワク、喜びのほかに、怯えや不安も確かに内包されていた。そんなオタクは私だけじゃなかったと思う。
剣持刀也が16歳の男子高校生でありながら、あまりプライベートを明かさない、しっかりとバーチャル世界観を作り込むタイプのVtuberであることは、深いファンだけでなく箱推しの方でも理解されていることと思っています。16歳の男子高校生からの逸脱を、たとえネタであっても、徹底して行わない。
(話は逸れるが、過去に「16歳なのも僕の自由だからな、リスナーが決めつけるな」という旨の発言をしていたこともあり、そういうところも好きだ。とても自由にVtuberを謳歌していると思えるので)

だからエッセイを出すと聞いた時、すごく怖かった。
配信上で「エッセイは自分も初めてだからどう受け取られるか…」と不安を口にしていたのを聞いて、さらに怯えた。

このエッセイを書いているのは、我々の知る剣持刀也なのか?

そりゃ著・剣持刀也なんだから剣持刀也だ。分かってる。でも怖かったんですよ。今まで徹底して見せてもらえなかった、配信では語られない内側の部分。そこを知ってしまった時、自分は剣持刀也をどう思うことになるのか?と。

そして迎えた発売日。

第一章 エッセイ編
バーチャル最深部へようこそ

電子書籍番試し読み:

け、剣持刀也だ……………。

もう驚く程剣持刀也でしかなかった。
普段の語り口調と比べると流石に畏まってはいるものの、言葉選び、語彙、思考、徹底された世界観、その全てが「剣持刀也の書いた文章」だった。

きっと彼はこうやって原稿に向き合わなくても同じことをいつかの何処かで雑談として、あるいはゲーム配信の導入として語ったのだろうな、と思わされた。彼自身が「配信で言わない部分」と言っていたのにも関わらずそう思った。それくらい、リスナーとして馴染み深い剣持の言葉そのものだった。

ここで特筆すべきは〝世界観〟だろう。
第一章の数ページを読んで、読者は理解する。
剣持刀也は剣持刀也でしかなく、剣持刀也としてバーチャルで生を受け、にじさんじのオーディションに受かり、それから数年間まったく変わらぬ姿かたちと精神性でエンターテイメントを届ける男子高校生Vtuberだ、と。

紹介文にあった〝裏の顔〟とは、ここで語られるリアリティとは、我々の知る現実世界ではなく「バーチャルを生きる彼の、配信外の部分」そのものだった。
読者はそれを序章、所謂〝つかみ〟の部分ではっきりと理解する。

と言っても、なにも「僕は本当にバーチャルの存在なんですよ」と説明されるわけではない。
「当然、僕はバーチャルに住んでいるわけだけれども…」と自然に言われるだけだ。まるで、通常配信のゲームの導入のように。

剣持刀也のファーストエッセイってそういうことか、と理解すると同時に、えもいわれぬ安心感に包まれる。
ああ、良かった、自分は今、剣持刀也の言葉を読んでいる。
これは紛れもなく、剣持が書いた本だ。

フリック入力で。


盛りだくさんの内容で送るファーストエッセイ

虚空教典の感想、と言いながら、ここまでほぼ「序章を読んだ衝撃」なの凄くないですか。
というのも、あとはもうそんなに語ることはないと言うか、とにかく読んでくれ〜!純度1000000%の剣持刀也を浴びてくれ〜!!の気持ちでしかなく。どうしたって具体的な話になってしまうので、そういう「ココとココとココがよくて…」を語るnoteではないので(色々な人がふせったーで挙げてくれているし)、気になったところだけ掻い摘んで言います。

「剣持刀也、自らを語る 全編書き下ろしファーストエッセイ(――帯より)」とされている通り、様々な初出エピソードや(海外のそれ、笑って済ます事なんです…?!)、配信では敢えて言っていないような思想を教えてくれている。
剣持らしい話から「こういう機会じゃないと言えなかったんだな…」と思う話題まで様々です。個人的に「それを話さずにいれたのすごいな」と思う事もあり、マイナスはエンタメにしない、という剣持の拘りを改めて感じた。

四天王対談は初出エピソードから今後への期待まで色々な会話がされていて、とても良かったです。
剣持の周囲の人はV黎明期〜発展を支えた方々が多く(そもそも剣持刀也自身が、にじさんじ、および男性Vtuberの発展に貢献した存在だと思いますが)、対談相手が豪華過ぎるため、何を話していてもタメになるし面白い。
限定版特典の3D映像も待ち遠しいです。

最後に、父子対談ですが。
個人的にこのコーナーが一番面白かったです。

端的に感想を言うなら「この親にしてこの子あり」「子は親に似る」「かえるの子はかえる」でしょうか。その血の運命、強過ぎるぞジョジョ。

今までも息子の一番のファン、毎配信見ている、ソロイベ会場にいた、おそろしい悪魔を真似て『にんげにんげ・にんげん』と息子にLINEする………というほんわかエピソードが絶えなかった剣持父。

物差しの父との対談、となった時、ファンはとても湧きました。絶対面白いじゃん、と。
とはいえ、にじヌーンで宣伝をした時にシェリン氏に「父親って?!」と驚かれていたように、本来はなんで父親と対談するの?と疑問になるのが普通なのかもしれません。
結果としてはある意味では想像通り、めちゃくちゃ面白かったです。また、同時に「剣持父がいてくれるなら、もし今後彼になにか大変なことがあっても、きっと大丈夫なんだろうな」という安心感も得ることができました。
正直迷ってる人には「この対談を読むために1500円捨ててくれ」と言って回りたい。ちょっとでも迷うくらいなら剣持家を浴びてください。

おわりに

というわけで、なるべくネタバレの濃度を極限まで薄めて雰囲気のみを凝縮してフワッとさせた感想でした。
読了後、剣持刀也のことがちょっと分かった気がするし、剣持刀也のことがもっと分からなくなってしまった。そんな感覚です。何度も読み込んで、底の見えない虚空をほんの少しだけ覗かせて頂こうと思います。

書籍としてのクオリティもとても良く、非常に素晴らしいです。尽力してくださった担当様、本当にありがとうございます。
素敵なイラストレーターさんが描いてくださった特典のブロマイドについても、本を読むと「ああ〜そういうことか!」と納得できます。アングルには秘密がある。

個人的に感想を吐き出したい気持ちが強かったのでnoteに書き殴りましたが、もっともっと言いたいことは山積みで、それだけ内容の深いエッセイであると断言します。

あとがきの最後の一文まで剣持刀也、な『虚空教典』の良さを少しでも共有できたら幸いです。
ここまで読んで下さりありがとうございました。

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