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【ショウ・シンセリティ】 3(【ニンジャのアルバイト】より)

前回までのあらすじ:ソウカイニンジャであるフロスティはヤクザクランからメキシコライオン強奪を依頼される。首尾よくライオンを麻酔で眠らせたフロスティだったが、そこにソウカイニンジャへの復讐に燃える巨大バイオズワイガニが現れた。ニンジャをも屠るハサミに恐れをなしたフロスティはライオンを放り出して逃走。危険手当を請求するためにヤクザクランへと向かうのだった。

【ショウ・シンセリティ】 3

「センセイ!お疲れ様で・・・アイエッ・・・!?」

数分後。ストロングバッファロー・ヤクザクラン事務所前。ヤクザトレーラーの帰りを出迎えたゲンノは、氷の如き無表情で運転席から降りてきたフロスティの姿、そして彼が発する不穏なアトモスフィアを見て取り、即座に何らかのアクシデントが起こったことを察した。

(何が・・何があったんだ!?)

ニンジャであるフロスティが自ら運転してきたトレーラーは、後部荷台がまるでショベルカーでひっかかれたように大きく抉られていた。タヌモとクミジ・・・迎えに寄越した二人のレッサーヤクザの姿が無く、荷台の中にライオンの姿も無い。そして当のフロスティの装束は逆袈裟に切り裂かれており、そこからは氷で止血された傷口が生々しく顔を覗かせていた。

「セ・・・センセイ、これは」困惑しながらも問いかけずにはいられないゲンノ。だがフロスティは彼を睨みつけ、恐るべきニンジャスラングを発したのだ!「ズガタッキェーッ!」

「アイエッ!?スミマセン!!」冷気を伴う激しい怒りと共に浴びせられたニンジャスラングにゲンノは即座に失禁ドゲザ!スーツ股間部分が冷気によってたちまち凍りつく!

恐怖と寒さでガタガタと震えながらひたすら額を地面にこすりつけるゲンノを見下ろしながら、フロスティは静かに語り出した。

「最初に言っておこう。私はあなたに依頼された仕事を全て滞りなく完遂した。倉庫に侵入し、檻を開け、ライオンを眠らせ、あなたに連絡を入れた」これに関しては一切の虚偽は無い。「ソウカイニンジャの誇りにかけ、私はあなたの誠意に応えたのだ。これは理解してほしい」これに関してはほとんど欺瞞である。

「ハイ!大変理解しました!」ゲンノはドゲザしつつ答える。「ウム」フロスティは小さく頷き、本題を切り出した。「それで、トレーラーが到着した後のことなのだが・・・少々、アクシデントが起こってな」

◇◆◇◆◇

「バ、バイオズワイガニが・・・?」

ゲンノはドゲザ姿勢のまま顔を上げ、フロスティの語った「アクシデント」を聞き、驚愕と困惑の表情を浮かべていた。

ゲンノとて歴戦のグレーターヤクザにして跡目候補であるワカガシラ。妨害やトラブルを予期していなかったわけではない。迎えに寄越したタヌモとクミジは彼が手塩にかけて育てていたイキのいいワカモノで、ソンケイこそ未熟だが荒事には手馴れていた。

万一のトラブルに備え、自ら所有していた高性能のオノミチ製チャカガンを渡しておき、スーツの下にオーガニック・サラシを巻かせ、出発時にはキアイを入れるため激励の言葉をかけてヤルキを高めておいた。ニンジャであるフロスティに頼らずとも、クローンヤクザ10人程度ならば苦も無く排除できたはずだ。だがしかし、巨大バイオズワイガニとは・・・(とても信じられねぇ・・・)

「ゲンノ=サン、困惑しているようだな。私の言葉が信じられぬか」内心を見透かされたようなフロスティの言葉にゲンノはビクリと身を震わせた。「アイエッ!?め、滅相もありま」「ダマラッシェー!」再びのニンジャスラング!

「アイエエエ!」間近でニンジャの激しい怒気を浴びたゲンノは最失禁即時再凍結!「ニンジャに嘘は通じぬぞ、ゲンノ=サン。フェイストゥフェイスの距離で心にも無い言葉を吐かれ、それに気づかぬマヌケだと私を踏んだわけか」

フロスティの言葉に再び怒気が混じる。すでに事務所周辺は彼の放つ怒りの冷気でマグロ冷凍室めいた寒さだ。「この傷も私の自作自演だと、そう考えているわけだな?」親指で切り裂かれた装束を指す。氷で覆われた傷口は生々しく赤く、フロスティの言葉に正当性と説得力を持たせていた。

「そ、そんなことは全く!全然!センセイを侮るなど!疑うなど!」「ダマラッシェー!」三度ニンジャスラング!「言葉でなら何とでも言えるわァ~~~ッ!誠意、誠意を見せよと何度言えばわかるのだァ~~~ッ!?」「アイエエエ!?」フロスティの口調から普段の氷の如き落ち着きと静けさが消え、欲と俗悪にまみれたニンジャの暴虐が姿を現す!

「そもそも!あんなオバケじみたズワイガニがあのタイミングで都合よく現れる!これは明らかにおかしい!何らかの意図を感じずにはおられぬなァ~~~ッ!」実際はただの偶然である!

「この依頼、最初から私を罠にはめるつもりだったのではないかァ~~~ッ!?倉庫に私をおびき寄せておいて巨大バイオズワイガニをけしかけ、私を密かに抹殺する計画だったと考えれば・・・全て辻褄が合うなァ~~~ッ!?」

ナ、ナムサン!何たる根拠に乏しいブルシット・イイガカリ!実際フロスティ自身もあれが単なるアクシデントであることは十分に承知している!だがそれ以上にニンジャの一方的言いがかりに対してヤクザが無力であることを知っている!一般市民がヤクザに勝てぬようにヤクザはニンジャに決して勝てぬ!弱肉強食だ!

「と、と、とんでもない誤解で!我々はソウカイヤに対し忠誠を」「ダマラッシェー!」四度ヤクザスラング!「誠意、誠意、誠意であるぞゲンノ=サン!言葉だけでは誠意が見えぬ!私が納得できるような誠意を見せてみよォ~~~ッ!」

フロスティの右手は無意識の内に掌を上にし、親指と人差し指で丸く円を作るマネー・サインに!欲望が漏れ出している!「アイエエエ!」しかしゲンノはニンジャの怒気に震え怯えるばかりだ。

(まだわからぬのかこの低脳ヤクザめがァ~~~ッ!いいからとっととカネを出せと言っておるのだァ~~~ッ!)苛立つフロスティは思いつくがままに脅迫の言葉を吐き出す!

「ソウカイニンジャを抹殺せんとする大胆不敵な企み!これはクラン全体が仕組んだ計画に違いない!あなたのオヤブンを含めたクラン構成員全員をトコロザワ・ピラーに連行し、じっくりとインタビューをせねばならぬなァ~~~ッ!?」

「アイエエエエ!?そんな!?」敬愛するオヤブンに累が及ぶと聞いたゲンノは激しく動揺した。ニンジャに依頼をした時点で自分がセプクする覚悟はしていた彼だが、自分を拾い育ててくれたオトウサンを巻き込むとあっては冷静でいられない!

(ほほォ~~~ッ!効いておる、効いておるなァ~~~ッ!)ゲンノの反応に手応えアリと見たフロスティは畳み掛けるように虚言を吐く。「特にオヤブン=サンには念入りにインタビューをせねばなァ~~~ッ!この計画に知っていたかいないかに関わらず、クランの長として誠意を示してもらわねばならぬからなァ~~~ッ!」ナムアミダブツ!何たる日本社会における連帯責任を巧みに利用した脅迫か!

「アイエエエ!誠意!誠意見せます!どうかオトウサンには!どうか!」ゲンノは恐怖と寒さで震える手を苦労して懐に入れ、必死の形相で財布を差し出した。「お、俺がセプクでも何でもしますんで!オトウサンには何の関係も!」

(やっと出したかァ~~ッ。全くものわかりの悪いヤクザよのォ~~~ッ)泣き叫びながらオヤブンの無実を訴えるゲンノの言葉を聞き流し、フロスティは素早く財布の中身をチェックする。万札が二枚。(こ、この貧乏ヤクザめがァ~~~ッ!)予想していたことだが、やはり少ない。

「ンン~~~ッ・・・」再び額を地面にこすりつけるゲンノを見下ろしながら、フロスティはしばし沈思黙考。(揺さぶればもっと搾れるかァ~~~?)事務所には金庫もある。開けさせればさすがにもう少し入っているだろう。それに成功報酬である残りの六万は確実に用意されているはずだが・・・

(しかし、ヤバレカバレになられても困るからなァ~~~)あまり無茶をして追い詰め、夜逃げやセプクをされてもそれはそれでまずいのだ。ミカジメ搾取対象を失ったとあっては彼自身がソウカイヤからケジメを受ける破目になろう。いかに目先の小銭に執心するフロスティでも、その程度の先は読める。

キューソーは猫を噛んだら殺すが、逃げ道がある限りは臆病なままだ。生かさず殺さず搾取するには、あまり追い詰めないことが肝要である。

ワカガシラであるゲンノの財布にすら入っているのが二万なのだ。前金の二万、成功報酬である六万も、彼が事務所経営を破綻させず出せるギリギリの額と見るべきだろう。(ンンーッ・・・ならば、成功報酬分を吐き出させるのはどうだァ?)

しかしゲンノはズワイガニにより貴重なレッサーヤクザ二人を失っている。同じ錬度の人材を育てるには相当な時間とカネ(少なくとも六万円以上)がかかるはずだ。今のゲンノに二万円以上のカネを出させれば破滅するのは間違いない。それはフロスティにとって明らかな不利益である。

(前金と合わせて四万かァ・・・)八万円が半分になってしまったが、これで納得するしかあるまい。傷口は凍結によりすでに塞がり始めている。あえてすぐ治さなかったのは、ゲンノに見せて説得力を出すためだ。スシを食えば今日中にでも完治するだろう。多少危険な目にもあったが、四万円が懐に入ると思えばどうということはない。カネは大抵の不快と不満を吹き飛ばす力を持つ。

「ゲンノ=サン、顔を上げてほしい」フロスティは打って変わって穏やかな声をゲンノにかけた。涙と鼻水が凍りついたゲンノの顔を、普段通りの冷たく穏やかなフロスティの目が優しく見据える。

万札、そしてオイランハウスの割引券を抜き取った財布をゲンノに手渡したフロスティは、逞しい左肩同士を突き合せてゲンノの背中を叩いた。「すまなかった。あなたの誠意を試すにはああするしかなかったのだ。許してほしい」彼は呼吸をするように欺瞞を吐くことができる。「実際、あなたやクランの誠意を疑ってはおらぬ。あれは不幸な事故であった。お互いにとってな」

「アイ、アイエエエ・・・」ニンジャの暴威から解放され、突如として温かみと優しさをかけられたゲンノは感情を激しく揺さぶられて号泣した。このニンジャは本当は自分を理解してくれているのだと思い、男泣きに泣いた。ニンジャの用いる良い警官・悪い警官メソッドは、グレーターヤクザの判断力をも容易く鈍らせる。

「あなたは跡目アピールチャンスを、そして勇敢なるシャテイ二人を失った。これは大きな試練だ」フロスティは立ち上がり、装束についたゲンノの涙と鼻水を煩わしげに凍らせて払い落とした。「だが私はあなたを信じる。誠意とソンケイに溢れた真のヤクザであるあなたは、この程度の試練で落ち込むはずがないと」

「アウッ・・・も、もったいねぇお言葉で・・・!アリガト、アリガトゴザイマス・・・!」フロスティはオイランハウスの割引券をチェックする。ここからそう遠くない。彼はゲンノに背を向けて歩き出した。

「あの二人は」フロスティはピタリと足を止め、呟くように、だがゲンノがハッキリと聞き取れるように言った。「勇敢であった。ニンジャである私をすら手こずらせる怪物を相手に一歩も引かなかった」一瞬だけゲンノを振り返り、目と目を合わせる。「あなたのために、クランのために戦って死んだのだ。ヤクザの誉れだ」彼にとって欺瞞を吐くことは肉体的生理機能の一部である。

「ウオオ・・・ウオオオーッ」堪えきれず再び号泣するゲンノに小さく頷くと、フロスティはそのまま歩み去っていった。これであのヤクザのメンタルケアは済んだ。かえって自分のソンケイが高まったかもしれぬ。経営が持ちなおしてきたらもっと搾れるだろう。

邪悪なニンジャが浮かべる下卑た笑みを、ゲンノが知ることは決してない。知ったところで彼にはどうにもならぬし、誰も同情などしないだろう。弱者が搾取されることなど、このネオサイタマではチャメシ・インシデントなのだから。

3:ゴネて危険手当を要求する
【万札】2獲得 → 【万札】4
◇◆◇◆◇

「ンン~~~ッ!やはりカネがあるのは良いなァ~~~ッ!」

懐の万札四枚を愛しげに撫でながら、フロスティは上機嫌で夜のネオン街を歩く。メンポを外し、切り裂かれた装束を脱ぎ捨てて通りすがりのパンクスから奪ったテクノジャケットを羽織った彼の姿は、完全に一般市民の中に溶け込んでいた。

先ほどから何度もチェックしているオイランハウス割引券を飽きずに眺める。「初回5000円引き、指名料無料!」声に出すことでさらに笑みは深まる。多少長めのコースを選んでも稼ぎは残るはずだ。「残りでオーガニック・スシでも・・・サケもたまには悪い黄金以外のやつを飲みたいのォ~~~ッ!」

彼は目先の小銭に弱いのと同じくらい目先の欲望に弱い。ゆえにいつまで経ってもカネがたまらず、風呂とトイレのある暮らしが手に入らないのだ。「ハッハッハッハ!夢が広がるのォ~~~ッ!」

「ずいぶんとご機嫌ですね」「アイエッ!?」

突如として背後からかけられた声に身をすくめる。(なんだァ~~~ッ!?気配は感じなかったぞ!?)振り向くと、そこにいたのはソウカイニンジャだ。額を守る鉢金にクロスカタナのソウカイヤ紋が刻まれている。

「ドーモ、はじめましてフロスティ=サン」ソウカイニンジャは欲深そうな目を細め、アイサツを繰り出した。「バーグラーです」

「ド、ドーモはじめましてバーグラー=サン。フロスティです」バーグラー。自分と同じミカジメ徴収が仕事の末端ニンジャ・・・のはずだ。顔を合わせたことはないが、徴収担当している地域が近いので、何かの機会で名前だけは知っていた。だが声をかけられる理由は思い浮かばない。

「私に何か?」怪訝な顔をするフロスティを見ながら、バーグラーはねっとりとした口調で語りかけた。「今日は災難でしたね。まさかあんなオバケじみたズワイガニが出てくるとは」「エッ」

驚くフロスティの眼前に、携帯IRC端末を差し出すバーグラー。その液晶画面には巨大バイオズワイガニ、ヤクザ二人の両断死体、そして眠るライオンとフロスティの姿がしっかりと映っていた。「いつの間に・・・!?」「たまたま、近くにいたもので」

サンシタながらシノビニンジャ・クランのソウルを宿すバーグラーのニンジャ野伏力は中々のものだ。フロスティのような鈍いサンシタでは気づけないのも当然ではある。

それはそれとして。「これが何か?」フロスティは再び怪訝な顔。確かに自分は個人的にアルバイトをしたが、それ自体に問題は無いはずだ。少々騒ぎは起こしたものの、カチグミや暗黒メガコーポ社員を殺したわけではない。ソウカイヤの不利益になることは何一つしていないのだ。こんな写真を突きつけられてどうしろというのか。

「その様子だとご存知ではないようですね」バーグラーは嘲笑うような口調で言った。「あなたが散らかしたあの倉庫ね。バイオレンスホエールという弱小ヤクザクランがシノギ・・・ああ、動物の密輸入のことです。それに使っていたんですが」ずい、と顔を突き出し、囁くような声で語りかける。「つい先日から、ソウカイヤの傘下に入っていましてね」

「な・・・なにィ~~~ッ!?」フロスティは顔面蒼白!ソウカイヤ傘下ヤクザクランのシノギを台無しにしたとあっては、これはケジメは免れぬ大問題!

(ゲ、ゲンノのスゴイ・バカめ!なぜ最初にそれを伝えなんだかァ~~~ッ!?)思わず心中で罵る彼だが、実際ゲンノも知らぬ情報ではあった。つい先日からというバーグラーの言葉に嘘は無い。

「ま、待て!待ってくれたまえ!私は知らなかったのだ!」手を前に突き出すマッタ・ポーズを取り、必死に弁明をするフロスティ!「ははあ、知らなかった?では、そんな言い訳が通用するほどソウカイヤは甘くないということも知らなかった、と?」バーグラーは無様に慌てるサンシタの姿を見て、心底呆れたように言った。

これは実際バーグラーの言う通りで、依頼受諾前にソウカイネットで少し調べれば判明していたことである。報酬に目が眩み、細かい確認をせず向かったフロスティのウカツだ。さらに言えば倉庫内の警備クローンヤクザはソウカイヤバッジを付けていたのだが、彼はこれに全く気づかなかった。完全なるインガオホーである。

「個人的には同情していますよ。同じく末端の身だ。上役にアゴで使われ、貰えるのは僅かな小銭。目先のカネが欲しいのは皆一緒です」バーグラーはフロスティに背を向ける。「ですが、私はソウカイニンジャとしてラオモト=サンの利益を損なう背信行為は見逃せません。故意であったかどうかに関わらずね」

「マ、マ、マッタ!頼みます、待って下さいィ~~~ッ!」背を向けたまま去っていこうとするバーグラーに対し、フロスティは全力のドゲザ!「背信など滅相も無いィ~~~ッ!我が五体はソウカイヤへの、ラオモト=サンへの忠誠に満ち満ちておりますゥ~~~ッ!」地面に額をこすりつけながら必死に弁明!バーグラーは虫を見るような目つきでそれを見下ろしていたが、ややあって口を開いた。

「フーム・・・本来ならば、私ごとき末端が判断して良いことではないのでしょうが」地面に額をこすりつけているフロスティは知らぬ。バーグラーの目が針よりもなお細められ、メンポの下で下卑た笑みを浮かべたことを。

「フロスティ=サン、あなたが信用に足るソウカイニンジャだと納得させてもらえれば・・・つまり、私に誠意を見せていただければ、今回の件は私の胸にしまっておくことにしましょう」

(せ、誠意だとォ~~~ッ・・・!?)顔を上げたフロスティは見た。バーグラーが掌を上向きにし、人差し指と親指で丸く円を作るマネー・サインを作るのを・・・!

「誠意が大事。あなた、ヤクザ相手に何度もおっしゃっていましたよねえ。私も同感です」「アイエ・・・」「ぜひ見せてもらいましょうか、あなたの誠意を」「アイエエエ!」

薄汚いサンシタの作るマネー・サインが、薄汚いサンシタの眼前に突きつけられる。フロスティにはそれが死神の鎌に見えた。彼のカネを、懐の四万円を無慈悲に刈り取るもの。

【万札】消費4 → 【万札】0

一般人はヤクザに、ヤクザはニンジャに、そしてニンジャはより悪辣なニンジャに決して勝てぬ。弱肉強食だ。欲深なサンシタのあげるアワレな悲鳴は、ネオン街の喧騒に吸い込まれてすぐに消えていった。気に留める者などいない。弱者が搾取されることなど、このネオサイタマではチャメシ・インシデントなのだから。

【ショウ・シンセリティ】 終わり

◆フロスティ(種別:ニンジャ)        PL:三笠屋
カラテ       3    体力        3
ニューロン     1    精神力       1
ワザマエ      2    脚力        2
ジツ        3    万札        0
DKK       0    名声        0
◇装備や特記事項
コリ・ジツLV3
◆ウィルス入りフロッピー:ハッキング難易度-1、使用後D6で3以下が出ると喪失
能力値合計:9 総サイバネ数:0

無事に前金二万と危険手当二万を獲得したが、途中で「こんなクズにはインガオホーが必要だ」と強く思ってしまったのでフレーバー的に万札を没収することになってしまった。でもまぁ命は拾ったので上出来としておこう。死んだら終わり

ありがたきリプレイ

ウレシイことに作文を書いている途中にどくどくウール=サンが本ソロシナリオのリプレイ小説を書いて下さっていたので、ここで是非ご紹介させていただきたい。

ショドー三十段のワザマエを持つニンジャ、ハーフペーパー=サンが得意のショドー殺法を駆使してアルバイトに挑む。フーリンカザンと状況判断に優れ、ヤクザにも礼を持って接する人格的にも優れた彼女の活躍を是非見ていただきたい。リプレイ、アリガトゴザイマス!

ハーフペーパー=サンはこれだけではなく他シナリオでも大活躍しているのでこれもあわせてオススメしておきたい。


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