女性限定のストリップファンオフ会を主催して私が感じた事

2018年11月、First Strip Guideの頒布が開始された。

First Strip Guide(以下、FSG)は『はじめて・ひとり・女性』の方を対象にしたストリップ観劇の入門書である。

2016年当時デビューしたての私こと高崎美佳さんがTwitterで女性にもっと劇場に来て欲しい、ストリップ劇場の素晴らしさをまだ知らない方に伝えたいと騒ぎ立て、共感してくれた方が制作した本である。私も表紙やインタビュー、ステージ写真などの形で取り上げていただいた。

余談だが、私こと中の人は高崎美佳さんは自分と別の存在だと自分では思っている。前回は高崎美佳として文章を書いてしまったが、よく考えなくても内容が高崎美佳さんの中の人の感じている事だったので、今回から高崎美佳さんの中の人として書きたいと思う。だって高崎美佳さんは難しい話をしたりしない。ありがとうまたね、みんなだいすきツイートしかしないのだ。


件のオフ会の発端は中野ブロードウェイにある本屋、タコシェさんでFSGにも掲載されている劇場の写真・高崎美佳さんのステージ写真などを展示・販売する写真展をやるので店内イベントを考えた事だ。

FSG関連のイベントという事で、女性やはじめての方がどうしたら劇場に来やすいのかを突き詰めた結果、劇場の中に知っている人を増やす、という考えに至った。全く知らん場所の知らん店に一人で行くより、聞いたことある町で知人がやってるお店に友達と行くほうが100%入りやすいと思う。

タコシェさんの店内には充分なスペースもないし時間の縛りもあるので、ひとりひとりゆっくり話す事は難しい。でも高崎さんの中の人はみんなとお話してみたい。じゃあ、オフ会は別で企画しようという感じ。

劇場に疲れて、長期オフを取ろうと思っていたので時期も丁度良かった。(疲れた内容については機会があったらまた書きたい)


オフ会の参加者は、昼夜各10名ほど。私の考える一般常識があって、他の参加者の方にご迷惑をおかけしないと思える条件をクリアしている普通の女性。こう書くと超絶上から目線に聞こえちゃうけど、つまりお金にルーズでなく、連絡もマメにとれてドタキャンの心配のないお姉さんたちです。


前置きが長くなってしまった。

お店の場所も参加者も変わり、昼と夜は少し違った雰囲気で進行したように思う。これから書く事はあくまでもこの日の女子会で盛り上がった話題であり、ストリップファンの女性全員の思いではない。ましてやすべての男性客に対しての否定や男性排除の意味もない。共学も楽しいけど、女子校も男子校もそれぞれ違う楽しさがあるよね、みんな違ってみんないいって話なのである。

(下記からはツイートを元に再構成)


『入場者が女性限定の公演・または女性優先エリアを拡大した公演を月に一度、いや年に一度でもいいのでやってほしい』

やってほしい、とは言っているけれども、あったらいいなくらいのご要望。たぶん『宝くじ1枚買ったしこれで1億円当たっちゃうかも楽しみだな〜!』くらいの熱量。

どうして女性限定公演を希望する結論に至ったかというと、一つ目は多くの女性のお客様たちが、ごくごく一部の迷惑行為を働くお客様に遭遇していて、たまたまその全員が男性であったから。たまたま被害者が全員女性で、たまたま加害者が全員男性だったから。男性全員が悪いって言ってるわけじゃなく、悪いやつが全員男性だったから。だから、もしかしたら男女別にしたらそんな思いしなくてもすむのかもしれないねっていう例え話。

迷惑行為がどんな内容だったかはご想像にお任せする。しかし女性に多い、痴漢やつきまといなどの被害だけではない事は明きらかにしておきたい。この話題で変に盛り上がる人が出てくる事は望んでいないので言及しないが、それは相手や自分の性別関係なく許せない内容が多かった。

実際、撮影会や男性が来てくれたオフ会でも同じような悩みは聞いているし、楽屋でもよく耳にする話題でもある。そしてこれらは犯罪行為でなく迷惑行為の話。要するにマナーの問題だ。これは男女や踊り子・お客様関係のない共通のテーマだと思う。

そして第二の理由が先に述べた、共学もいいけど女子校と男子校もたのしいよね、である。どっちかっていうとこっちの思いのほうが大きい。ガールズトークってやっぱり楽しい。

プロレスやアーティストのライブも入場者の性別を限定した公演がある。もう20年近く前、私の好きなバンドも男性限定ライブをやった。俗にビジュアル系と呼ばれるバンドで、普段のライブはほぼ女性客。ストリップとは真逆。その後女性限定ライブなんてものはなかったが、特に贔屓だとかずるいとかは思わなかった。なんならその公演のDVDをみたときにむしろ通常のライブでは私たち女性客がいる事によって自分を曝け出せないように見受けられる男性のファンと、同じく男性であるゆえ女性の前では格好つけたいだろうバンドメンバーが自分たちの好きな音楽を好きなように楽しむ姿をみて、すごく嬉しかったし、なんなら私も男に生まれて参加したかったと思った。なので私は女性限定だけでなく男性限定公演も楽しいだろうと想像し、勝手に応援している。

後日、某お姐さんに頂いた情報によるとストリップでも過去に男女それぞれ入場者の性別を限定した公演があり、連日大盛況だったそうだ。気になる方は調べてみてね。



『女性のお客様は優遇してほしいわけではなく、むしろ男性と同じ料金を支払って構わないからストリップ劇場にいる事を許してほしいと感じている』

女性割引、女性優先席、お姐さんの「女の子が来てくれて嬉しい」という言葉はすごく有り難いと言っていたが、それらに甘んじることによって男性のお客様に妬まれるくらいならそんなの要らない。好きなお姐さんのステージを楽しみたい気持ちは男性と変わらないという事。

女性は優遇されすぎていると叫ぶ男性の声は私にも聞こえてくる。が、女子会にいた女性の生の声を聞く限り、ストリップ劇場で現状、女性が優遇されているように私は全く思えなかった。

今回のオフ会参加費についても、変な意味ではなくおにゃのこ大好きな高崎さんの中の人が勝手に思いを巡らせ、漢としてレディから金は取れぬとレストランのコース料理代金のみにしてしまったので逆に心配された。高崎美佳さんの中の人はなんちゃって武士のヲタクかもしれないけど、高崎美佳さんは踊り子さんなので、踊り子さんとお話しするのにはお金が発生して当然らしい。有り難い限りである。

私たちの考える彼女らへの厚意は余計なお世話だなと感じた。女だって仕事を休んででも、大枚叩いた挙句立ち見であろうと推しに会いたい。推しにお布施をしたい気持ちは性別なんて関係ない。私は毎日カロリーメイトでもいいから、その浮いたお金で推しには美味しいものを食べてほしい。推しの幸せを見守りたい。ヲタクとして、私は大事なことを忘れていたよ。

先に挙げた性別限定公演は極端な話だったが、レディースデーの設定を希望する声もあった。割引や優先席、女性限定のサービスなどはなくてもいい。この日を狙ってきたら自分の他にも女性のお客様がいる可能性が他の日より高いよってだけの日。

割引もなにもなくてメリットはなんや???なにがしたいんや????と男性は思うかもしれない。女性は自分たちの他に女性のお客様がいる可能性が高いと思えるだけで、劇場に入りやすくなるそうな。

劇場側は女性を歓迎する意味から女性割引を設けているはずである。本来ならば毎日がレディースであり、メンズデーであると思う。女性ばかりが優遇されずるいと騒ぐ男性は、何故女性割引や女性優先席ができたのか、お姐さんたちが女性のお客様に対してどうして細やかに気を配っているのか、その理由をちゃんと考えてみてほしい。

女性限定公演を望む声と、女性だからと言って差別しないで欲しいという声。真逆に聞こえるが、私には根底にどちらも同じ思いがあると感じた。

そして女性のお客様が入りやすい環境を作る目的として、今回の女子会は大成功だったと思う。女性のお客様同士が繋がることができたからだ。

場内で自分以外の女性のお客様を見かけても、迷惑かもしれないなと思うと安易に声をかけられないそうだ。同性なのに、と私も一瞬思ったが、同じ作品を見に来たからと言って映画館で知らんグループの女子に話しかけないよなとすぐ納得した。

ストリップの話をしたくても、男性と女性では盛り上がれる話題も違うらしい。これも同じ少年漫画を読んで、男性陣はあいつのあの必殺技がかっけーよな!と興奮しているのに対し、女子というか私と友人の場合はあのページのあのコマの○○くん萌え袖だったなマジかわいいとか騒いでるほうのが楽しいのでわかりみが深い。

帰り際、このあと浅草一緒に行きませんか、とかみんなでタコシェに行くことになりました!とか聞こえてくる参加者さん同士の会話にすごく満たされた気持ちになった。私は当然誘われないのでちょっと羨ましいのだけれども。

明日もより多くのお客様にとって、劇場が居心地の良い場所になるように願ってやまない。

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