海に辿り着くと、ただそこに佇みながら在るだけで気持ちが柔らかくなり、休まる様な感覚を覚える。本来はそれこそが本質である気がする。自分らしくただただ存在するだけでも、充分過ぎるくらいに何かしらの影響を、他者には与えているんだろうと思われるからだ。生きてこそ叶うことや描けることがあるが、生き急いでしまうと、それを見出すまでには時間も労力も月日にも幸せな実感を見つけにくい。そもそも生きている誰しもが発展の途上の道すがらにあるのだから。そのペース配分が個々に違うのは致し方ない。兎とも亀とも違う個人個人の速度や生き様が枝葉に絡みあう様にも思う。気持ちが休まったり、息付ける日々は何時なんだろう。振り返ってみることの方が前を向いて生きるより容易い分、そこに目を向けがちだ。綺麗に片づけられないことの方が物事には多い。そんな時にはまたこの海を眺めながら、自分を見つめて省みたい。海水に手を潜らせ、気持ちも洗い流したなら明日から私らしく今を生きて行きたい。