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夫婦で歩くシャンパニュー歴史散歩1-3-2/Cave 地下採石場跡02


「もともとメゾンは、そういう地下採石場の上に作られていたの?」
「いや、ちがう。最初にクレイエールを利用し始めたのはルイナールだった。1768年だよ。二コラ・ルイナールの発想だ。二コラは、ドン・ティエリー・ルイナールの甥っ子だ。少しずつ増やしていって今は三階建てで全長30kmあるそうだ。ヴランケン=ポメリー社やテタンジェも古い。テタンジェの原型はフルノーというメゾンだった。ここは1734年創業だ。ここを1931年にピエール・テタンジェが買収して今の形になった。テタンジェのカーヴは広大でランスの大聖堂あたりまで繋がっているそうだ」
「そんなに大きかったの?」
「ん。僕らに見せてくれたのはその一部さ。
もともと、地下に貯蔵庫を置いてワインを醸造管理するという発想は昔から有ったんだよ。特に暖かい地方でワインを作るとなると、温度管理が難しい。だから醸造用の甕を地下に埋めたり色々な工夫をしてきたんだ。でも、石切り場跡にストックヤードを作るという発想はルイナールからだった。石材を刳り貫いた後だからね、頑丈で壊れることがない」
「そうね。テタンジェのカーヴで、岩を削っていたずら描きがしてあったわね。そうかぁ~アレはテタンジュがあそこをカーヴにする前から書かれていたのねぇ、びっくり」
「日本の家は紙と木で出来ている。欧州の建物は石と鋳物だ。逆に言うと手間暇はかかるが欧州は石が手に入りやすいってことだ。江戸城の話をしたことがあるだろ? 江戸城で使われた石材は、秩父や伊豆から運ばれてきた。猛烈な資金力が必要だったんだよ。おいそれとそう簡単に石造りの建物は作れないんだ。欧州は事情が違う」
「どう違うの?」
「ヨーロッパ大陸は太古、海の底だった。それが隆起したものだ。だから砂層/石灰層の部分が広く地下にあるんだ。地下20~30mくらいから砂岩層になる。これをローマ人たちは削りだしたんだよ。白亜の石の千年都市だ」
「奇岩城の次は千年都市ねぇ~漢字いっぱいねぇ。でも石が手に入らないところもあるでしょ?そう言うところは、あなたの云う『紙と木』で建物を作るの?」
「いや・・欧州の場合は、土を焼いた煉瓦でつくる。だから北欧の街はみんな茶色で暗い雰囲気なんだ」
「あ!そうね。そのとおりね」


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました