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コルドリエ修道院02/サンテミリオン村歩き#15

「コンドリエ修道院は400年かけて少しずつ巨大になった。教会/中庭/ワイナリー/ワイン貯蔵室/地下室/庭園そして6っ有った修道院の僧侶のための寮が有った。そして1789年だ」
「フランス革命ね」
「ん。コンドリエ修道院は閉鎖され、会派は解散。建物はすべて国有化された。そしてすぐさま競売にかけられた」
「だれが買ったの?}
「だれも買わなかった。国有化はされたが、引き取りてがないまま放置されたんだ。そのうち革命政府は崩壊。ナポレオンの時代になるが、相変わらず放置されたままだったんだよ」
Maurice Graterrole は、彼のUne ville curieuseで、その廃墟となったコンドリエ修道院をこう描いている。
"Un silence lourd et presque effrayant pèse sur ses pieuses ruines qu'habite seul maintenant l'oiseau de nuit. À l'aspect de ces murs croulants, de ces pierres brisées et moussues, de cette végétation capricieuse et sauvage formant au-dessus du cloître un dôme presque impénétrable aux rayons du soleil, le cœur se serre peu à peu malgré lui, et on ne sait quelle mélancolique tristesse vous envahit, comme si l'on était tout à coup transporté dans cette solitude si lugubrement chantée par le prophète des Lamentations. Et cependant il y a une poésie infinie au fond de tout cela"
今では闇歩く者だけが住んでいる敬虔な遺跡に、重くて恐ろしいほどの沈黙が重くのしかかっている。これらの崩れかけた壁、これらの壊れた苔むした石、ほとんど日光を通さない回廊の上にドームを形成しているこの気まぐれで野生の植物は、それにもかかわらず、徐々にあなたの心を掴み、まるで突然どこかに連れて行かれたような憂鬱な悲しみに襲われます。哀歌の預言者が悲しげに歌った孤独。それでも、その背後には無限の詩が隠されているのだ

「100年近い放置の末、廃墟になっていたコンドリエを19世紀後半にMM.G.MEYNOTという生産者が二束三文で買い取った。MEYNOTは醸造家だった。彼はコンドリエのケーブを利用して、シャンパン方式の発砲ワインを試みたんだ。サンテミリオンに発砲ワインを扱う生産者はいない。画期的だった」
「上手くいったの?」
「発砲ワインは生産工程が煩雑だ。技術力も資本力も必要だ。.MEYNOTは実際にシャンパニュー地方まで訪ねて製法を学びに出かけて、1892年にMM.G.MEYNOT et Compagnieというクレマンを発売している。しかし、残念ながら事業としては成功しなかった。それでも彼の後、何回か所有者は変わっているが、彼が夢見た「サンテミリオンに発砲ワイン」という願いは今でも守られているよ。現在はカティオー家がコンドリエの所有者だ」
https://www.wine-searcher.com/find/les+cordelier+exclusive+brut+cremant+de+bordeaux+france

「クレマンLes Cordeliersは地元の葡萄を使っている」
「シャルドネやピノ・ノワールじゃないの?」
「メルロー、セミヨン、カベルネ・フラン、ソーヴィニヨンだ。白とロゼの二種類で、ブリュットとドゥミセックがある。Les Cordeliersは、その泡立ちでね。きわめて細かい。殆ど糸状になってグラスを昇る。色彩も緑がかった淡い黄色でね、特徴的だ。香りは柑橘系だ。シャンパングラスに注がれただけで、色彩と泡立ち方で、あ・サンテミリオンのクレマンだと判るほど個性的だよ」
「飲んだこと有る?」
「ん。何回かね。コンドリエの中のショップでも飲める」
「食事とのマリアージュが知りたいわ」
「ではでは、今夜のディナーのときにオーダーしてみよう」

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました