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夫婦で歩くプロヴァンス歴史散歩#42/エルミタージュの丘02

https://www.youtube.com/watch?v=UYSQJvxd9vQ

バス停留所Gare Routière de Tournon-sur-Rhôneを出た後、朝来た道を戻った。カルノ広場まで歩くと、広場右前にKélonia restaurant(12 Pl. Carnot, 07300 Tournon-sur-Rhône)というレストランがある。此処で午後からエスコートを頼むTAXI会社と待ち合わせをしてる。タクシー会社はTAXI DIRECTという。13;:00分にピックアップをお願いした。
TAXI DIRECT(33 Av. de Nîmes, 07300 Tournon-sur-Rhône)
https://www.taxis-tournon.fr/
今日はこのtaxiでエルミタージュの丘を散策したあと、次の宿泊先エルミタージュの丘・東のサン・ドナ・シュル・レルバッスSaint-Donat-sur-l'Herbasseへ移動する。
taxiと待ち合わせしたKélonia restaurantというレストランは意外に美味しかった。
https://www.facebook.com/p/Kélonia-Restaurant-100087426634712/?paipv=0&eav=AfbVX84KznpxXP-MvB7xGM8n0_yEUjYjUh2sHdCLouJvKKQ6yLuojP6ldF3nMWPWY1A&_rdr
料理は簡単なものにしたが、クオリティは高い。ドライバーが到着するまで一時間以上あったのでゆっくりと昼食を済ませた。
「ホテルのコンシェルジェに相談したんだよ。今日は午後からエルミタージュの丘をクルマで散策したいんだけど、誰か相応しいエスコートはいないかな?って・・そしたら紹介してもらったところがTAXI DIRECTと言うところでね。地元の会社だから詳しいしイングリッシュスピーカーもいるそうだ。名前も聞いたけど‥わすれた。でもその人がきてくれるそうだ」
「よかったわねぇ」
「ん。いいホテルは、気配りがいい」
ドライバーは10分ほど前に到着した。すぐに分かった。手を振るとニコニコしながらクルマを降りてきた。ドライバーの名前はムシュkとしよう。
「エルミタージュを半日間ドライブした後、ホテル・シャルトロンHotel-Restaurant CHARTRONへお送りするようにと言われてます」ムシュkが言った。
「はい。よろしくおねがいします」
「なにかご希望の場所がございますか?」
「幾つかの史跡と、出来ればワイナリーを見て歩いて、夕方までにはホテルへチェックインしたいです。ルートのプランはお任せします」
「了解しました」ムシュkは、いかにも自信ありげに笑った。
「・・でもその前にHôtel de la Villeonに預けてある荷物をピックアップしたいです」
「Oui, monsieur.」と明るい返事だった。
荷物を引き取った後、クルマはローヌ川をPont routier Gustave Toursierで渡った。そしてD241 エルミタージュ通りにあるCave de Tainのショッピングセンターの前で停まった。
「ここは、タン・エルミタージュにあるワインの協同組合最大級のシンジケートです。ここでエルミタージュワインの主たるものが購入できます。これから丘を上がりますが、帰りはまたここの前を通りますから、もし何か買いたいものが有れば後で寄りたいと思います・・では」
ムシュKは説明だけ刷ると、そのままクルマを走らせた。クルマはCave de Tainの店の右横から丘を昇る道D241を走り始めた。入口の所にRoute des Belvederes があった。そのまま登っていくし横T字路にぶつかる。そこに左を指差すChapelle de l'HermitageとRoute des Belvederesが有った。
「ここを曲がります」ムシュKが言った。「道はもっと狭くなります」エルミット通りというらしい。これを上るとこれを行くとグランド・ヴィニュー通りと二股になる。これをグランド・ヴィニュー通り側へ走るとチャペル通りにぶつかった。そこにもRoute des BelvederesとChapelle de l'HermitageとRoute des Belvederesの矢印が付いた標識があった。ここから500mほど下ると舗装された道は終わった。
ムシュkはクルマを停めた。

「この左にある建物が先ほどのCave de Tainの持ち物です。このあたりの畑は全てあの協同組合の持ち物です。さて。もう少し奥まで入ります」
道は未舗装に近かった。大きく弧を描きながら、やはり500mくらい走ったところに小さな広場があった。
「此処です。あそこに見えるのがサン・クリストファー教会Chapelle Saint-Christopheです。歩きましょう」
教会とは言え建物は無人だった。礼拝堂の横に立つと丘の下にタン・エルミタージュとローヌ川が一望できた。
「ここまでの標高は330mです。アヴィニョンVilleneuve-lès-Avignonのサンタンドレ修道院 l’abbaye Saint-André de Villeneuve-lès-Avignonによって建立されたのは1100年代のようですが、正確な記録は残っていません。もともとはケルト人たちのサンクチュアリだったのかもしれません。マルタ騎士団だったポンス・アストゥオーpar Pons Astouaudとロスタン・デ・リブラRostang de Libraにアヴィニヨンから譲り渡されたのが1246年でした。二人はアンジュー公シャルルの部下ですから北ローヌがアンジュー公のものになったという意味だったのでしょう」
「それって第五回十字軍の後ですよね?」と嫁さんが質問した。
「おっしゃる通り、エジプトから撤収した20年後です」ムシュKが驚いたように応えた。
「ということは・・ガスパール・ド・ステリンベルグGaspard de Stérimbergが此処で暮らした後のことだったんですね」と嫁さんが言った。
「おお、そうです。ステリンベルグStérimbergのエリミタージュErmitažは既にあったはずです。彼の周りに出来上がったコミューンももう出来ていたかもしれません。よくご存じですね♪」とムシュKが喜んだ。「シラーをベースとした今のエルミタージュのスタイルを作り上げたのは彼ガスパール・ド・ステリンベルグだと言われています。彼が十字軍参戦時に手に入れた葡萄がシラーだったからです。彼と彼を慕って集まった人々のコミューンが今のエルミタージュワインの始まりです。その始まりが、このサン・クリストファー教会Chapelle Saint-Christopheの麓からなんです」彼が大きく頷いた。
僕は嫁さんが昨夜話したDNA話をし始めないかと冷や冷やしたけど・・大人の会話でウンウンと頷いて終わった。
ムシュKは麓ローヌ川を指差した。
「エルミタージュの丘と麓を分ける境界線に鉄路が走っています。畑は鉄路のあるところまでが原則です。
西はクローズ・エルミタージュ川の支流がローヌ川へ流れ込む辺りまでになります。クローズ・エルミタージュCrozes-Hermitageの畑がローヌ川まで及んでいる部分です。
二つの小高い尾根を含んでいます。手前のローヌ川に近いほうがボローニャVologne、並んでボサーズLes Bossardこちら側がチャペルLa Chapelleこの礼拝所のあるところです。我々が今は知って来たところがレ・グラン・ヴィーニュLes Grandes Vignesです。ここまでが最初の丘です。以東は上下が傾斜罫線の二つの丘に分かれます。
此処からは視認難いんですが・・真ん中はル・ミールLe Meal。一番日差しが良くて素晴らしいシラーが育ちます。そしてそらに東側ディオニエLes DoignieresとミュレLes Muretsは素晴らしい白を産み出します。しかし大きさは140haしかありません。一番東がラ・クロワLa Cloixとトラス・エガレンヌTorras et Les Garennesです。フランスでも最も小さなAOCだといわれています・・この通り、見渡せるほどの大きさしかないのがエルミタージュの丘です」
ムシュkの説明を聞いた後、僕らは彼のクルマに戻った。そして今来た細い道を戻った。
「地質は古代の火山の残したものです。片麻岩と雲母片岩の上にある花崗岩で構成されています。所によっては小石で敷き詰められたところもあります」
ムシュKはそのまま細い半舗装の農道を走った。
「所によっては、古代のローヌ段丘の沖積層から残った丸い小石のポケットで覆われています。したがって、たとえば べサードBessards、ミュレLe Méal、グレフィユーGreffieux、シャンテ・アルエットChante-Alouetteなどはその傾向があります。特にべサードは複雑でして様々なキャラクターが織りなしています。そしてミュレは小石が並ぶ下は石灰岩と珪質土壌です。同時にグレフィー山脈が崩れた部分は比較的肥沃な土地になっていまして、ミュレとディオニエが粘土質なのは、その為ですね」
ムシュKは時々クルマを停めて説明した。何回か僕がクルマを降りて土を食べると、途端に機嫌がよくなって細かい説明をしてくれるようになった。
・・一時間ほどで細い道を走り抜けて、プチ・ペリエールル通りRue de la Petite Pierrelleを右に曲がって丘陵を降り始めた。


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました