【オレ】

オレは10年少し前、学童保育の指導員をしていた。
以前から重度知的障害のある甥っ子二人の面倒を見たり、姉と一緒に学校行事に帯同したりと子供たちとのやり取りもあったので一般小学生の扱いなんて、と油断していた。

実際に学童の現場に配置されると、子供たちの行動は予想不可能と気づく。
オレの心の浮き沈みなど子供達は簡単に見透かしてしまう。
強者ばかりだ。

こうなったら本音で接するのが一番だと気づき、素のKenGで接し始める。
ダメな事は何故ダメなのかも大人に接するように、きちんと本当の事を話すようになる。

校庭の朝礼台にまつわる件

がいい例だ。

気が付けばKenGは自分の事を『先生』から『オレ』と言っている。

ことみちゃん(仮名)という親分肌の3年生がいた。
歯に衣を着せない言葉遣い。
下級生の面倒見はいいが、言葉が強いので彼女を苦手とする児童もいた。

ある日、KenGが『オレはな、オレが・・・』と言っていることに対して、
「学童の先生は、『オレ』って呼んだらいけないんだよっ。 直しなよっ!」

素のKenGは
「他人に言葉遣いを直せって言うなら、ことみちゃん(仮名)、自分の言葉遣いから直せよ!!」

ことみちゃん(仮名)、その日からオレの手伝いを率先してやってくれるようになった。

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