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Day34ー機械と人間のコラボレーション 顔認識を題材として

※念のため。写真は一切論文とは関係ありません。

機械学習と人間のコラボレーションに関する研究。

http://www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1721355115

2つの顔が同一人物か判定する課題を、機械学習、人間のエキスパート/素人を組み合わせて調べた研究。

背景

数日前の記事でも出てきた畳み込みニューラルネットワーク(DCNNs)は、画像認識においてよく使われる機械学習の一種である。
その効果について、人間と比較した研究は意外と少ない。
この研究では、顔認識というホットなトピックを使って、人間のエキスパートと機械の精度差、及びコラボレーションの効果について見ている。

方法と結果

提示された2枚の顔写真が、同一人物か異なる人物かを判定する課題を実施してもらった。プロの人間として、犯罪科学捜査官57人、犯罪科学レビューアー30人、スーパーリコグナイザー13人(一度見た顔は忘れない能力を持つ人)の3グループを用意した。素人の人間として、指紋捜査官53人と大学生31人を用意した。人間は同一人物かどうかを7段階で評価した。機械学習のアルゴリズムとしては、畳み込みニューラルネットワーク(DCNNs)を使用している4つのアルゴリズムを用意した。機械学習では同一人物かどうかをスコアで評価した。
単純にグループごとに精度を見たところ、DCNNsのうちRanjan et al. (2017)の開発したものが95%超えのハイスコアであった。次に高いのは犯罪科学捜査官で、平均値は90%を超えた。次にレビューアー、スーパーリコグナイザー、指紋捜査官、大学生の順番でスコアは低かった。
続いて人間同士のコラボレーションによって精度が上がるか調べた。犯罪科学捜査官同士のグループでは3人でほぼ100%の精度になった。学生同士のグループでは10人でも90%までにしか至らなかった。
機械学習と人間のコラボレーションについて見ると、最も精度の高かったDCNNsと犯罪科学捜査官のペアでは半分以上が100%の精度となった。この結果は犯罪科学捜査官3人と同等の精度になる。

所感

ぜひとも人間の素人と機械学習の組み合わせも試してほしかったところ。
顔認識は機械学習で間違いないという認識だったが、人間のエキスパートのほうが未だ優れているというのは意外であった。
将棋なんかも人間よりAIが優れているが、今後は人間と機械のペア同士で対局するなど、機械と人間を対立図式で捉えるのではなく協調関係の図式で捉える分野が増えれば良いなあと思う。

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