マガジンのカバー画像

【エッセイ】

5
ちょっと与太話をします。 夏の夜明け、東の空に薄く光るおおいぬ座の一等星は、“シリウス”です。 古代エジプト人にとって、夏の空にシリウスが見えるその時期は、ナイル川が氾濫し大… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

ハッピーエンドってなんだろう

ハッピーエンドってなんだろう

人生は素晴らしいものなのか、ただ悲しいものなのか。

主人公は考えるんだけど、最終的に「それは分からない」と、曖昧な結論を出していて。

でも、そこにいたるまでの過程や見せ方で、「分からないということは別に悲しいものじゃないし、むしろ分からないまま、焦らずに置いておくこともいいんじゃないか」って教えてくれる。

これは、友人による映画『フォレスト・ガンプ』の紹介文。さっきLINEで送られてきた。

もっとみる
二度と会えないことは、喪失ではない

二度と会えないことは、喪失ではない

ニ度と会えない人を思い浮かべると、チクリと胸が痛むのか、じんわりと心が温かくなるのか。私は前者だった、随分大人になって『スタンド・バイ・ミー』を見かえすまで。これは、二度と会えない人を心の中に持つ人に向けて書いている。つまり私自身に向けて、書いている。

二度と会えないひとって、じつはこれまで出会ったひとの数の大半がそれに当てはまる。小中高で知り合った人が100人いたとしても、死ぬまでにもう一度会

もっとみる
歳を重ねたから美しい、という生き方

歳を重ねたから美しい、という生き方

ドラッグストアの化粧品売り場には決まって、アンチエイジング商品と広告がある。

「本当に50歳?」とか「マイナス5歳肌」とか当たり前のように謳うコピーの中で生きてきたからか、「歳を重ねても若々しい外見でいなければいけない」という固定観念がいつのまにか体に染み込んでいた。歳を重ねても綺麗な女性として思い浮かぶのは小泉今日子さん。他にも綺麗な女優さんはたくさんいるのに、私はなぜだか彼女が最初に思い浮か

もっとみる
オチのない話を聞かせて

オチのない話を聞かせて

身近なひとのオチのない話ほど、嬉しいものはないなぁと思う。

オチのない話について考えたのは、つい最近のことだった。それまで私は、オチのない話よりはオチのある話の方が、人間関係の距離に関わらず、求められているものだと思っていた。

そんな私がついオチのない話を友人にしてしまったのは、平日の深夜のこと。

「ごめん。今の話オチなかったね」と返答を待つより先に、謝罪の言葉が出た。そこには私の、オチのな

もっとみる
残酷で愛おしい「無邪気」というものについて

残酷で愛おしい「無邪気」というものについて

ナイフやピストルよりも怖いものが「無邪気さ」だったなんて、22歳になるまで知らなかった。

私が無邪気さに対して無頓着でいられるほど、まわりのひとが優しかったのか、ものすごく気を使って接してくれていたのか、世間知らずだって思って見逃してくれていたのか。ほんのつい最近まで、無邪気さの持つ「愛おしさ」と「残酷さ」の2面性について、大して注意を払わず生きてこれたのは、ある意味私自身が幸せ者であることを証

もっとみる