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【生保営業の悩み】04-保険不要論と出会ったら


▪️LINEに寄せられた相談 : Aさん

これってどう思いますか?
とひとつのネット記事を送ってくれました

ある経済学者が読者の質問に答える連載記事のようです

見出しはこうでした

『【質問】がん保険は不要だと言うコラムを度々見ますが。実際、どう思いますか?
【回答】民間保険の『がん保険』は不要です』

実はこの回答者自身もがんの罹患者でありその体験からこう述べていました

『差額ベッド代は175万でした
高額療養費制度の結果、自己負担は75万でした
大した金額ではありません
そのあと健保組合からさらにお金が支払われ実際の負担額は14万に過ぎなかったのです
だから普通の日本人にとってがん保険は不要です』

さらにこうも述べています

『入院中も仕事をしたかったから個室を選んだ』
『保険というのは滅多に起こらないことが起きて破滅的な負担になるものに掛けるべきで、がんのようなありふれたリスクには不要だ』

Aさんは午前中の訪問先でお客さまにこの記事をドヤ顔で見せられて、すぐに相談してくださいました

Aさんの価値観が脅かされたわけでも、打ちのめされたわけでもないのだけれど、うまく返せなかったモヤモヤをぶつけてきてくださったのだと思います


▪️お答えしました

【結論】保険が不要な方というのは一定数いらっしゃいます

その上で記事に沿って私見を述べます

▪️ありふれたリスクだから不要」について

記事によれば『老後生活資金不足と同様、がんはありふれたリスクだから準備してある資金から調達できる』という意見でした

▪️老後生活資金不足に対して準備されている方は増えています


調査機関や調査方法によって異なるものの6〜8割の方が何らかの取り組みをしており、手段としては以下の通りである

iDeCo
つみたてNISA
個人年金
貯蓄
投資信託


▪️がんに対する準備はどうでしょうか

『総務省「家計調査年報」』と『金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」』によれば、20代から70代全ての世代で「病気のための貯蓄」をされています

一方で借入金の目的は全世代共通で「住宅取得資金、日常の生活費、耐久消費財」が挙げられました

これは『病気にかかる費用は貯蓄で補われている』ということになります
果たしてそうでしょうか

▫️【貯蓄のない世帯 4割】

『金融広報中央委員会』によると

▪️貯蓄ゼロ世帯
・単身世帯 約38%
・2人以上世帯 約24%

▪️年齢別
・20代男性 約80%
・50代 約40%

このような状況で『大した金額ではない』という表現には違和感があるし、決して『日本人全体の話』ではないのだし、時流に乗ったり意見に翻弄されることなく、総合的に判断してきちんと提案できるのが『対面販売』の醍醐味なのではないでしょうか

生命保険を扱う者としては『病気や怪我のリスクで発生した経済損失は生命保険で補い、預貯金の取り崩しを前提としない』が根底にあり、《預貯金を守るために保険に加入する》という考えはブレたことがありません(あくまでも私見です)

▫️『企業や業界団体の健保組合』は4人に1人

回答者が属していた業界の健保組合では自己負担2万を超えた部分は組合が負担する制度で、記事ではそれを代表例として書かれていました。おそらく質問者はこの記事の媒体の読者であり同じような属性の読者が多く、多くが同じような待遇を受けられる環境なのかもしれません。

でも、このような組合健保の方は全体としては27%、4人に1人なので、『普通の日本人にはがん保険は不要』と言い切るのはやはり誤解を与えてしまうのではないかと思います

なぜかー

✔️4割の国民は貯蓄がない
✔️健康保険の加入割合
 ▪️被用者保険54%
  ・政府管掌(協会けんぽ)27%
  ・組合健康保険27%
 ▪️国民健康保険46%
       2022年4月データ
✔️そもそも「普通の日本人とはなんだ」

つまり約半数が会社員で、有給休暇があり、4日以上休めば傷病手当が受け取れて、その約半数が組合独自の制度でさらに負担が軽くなるようになっているのに対し

半数の自営業、フリーランス等の方は傷病手当がなく、仮に仕事が続けられないとなると収入は大きく減少する方が出てきます

さらには4割の国民は貯蓄がないー

つまりありふれたリスクであるがんに罹患するということ

・治療費が約10万(4ヶ月以降は約5万)かかり
・外来治療が多く
・再発や転移の可能性も少なくなく
・経過観察は一般的に5年かかり
・収入は不安定になり
   (まだあるが省略)

などの懸念が生じます


【大腸がんの5年以内の再発率】

・ステージⅠ  約5.7%
・ステージⅡ 約15%
・ステージⅢ 約31.8%
・ステージⅣ 約50%以上


ですからこの回答者のように

✔️健保組合の制度で負担が軽く
✔️向こう5年の収入や治療費の見通しが立てられて
✔️仕事が継続しやすい状況

など条件が整えば『保険は不要』とすることができます

一方

✔️貯蓄がない
✔️傷病手当がない
✔️仕事柄治療中は働きづらいので収入は期待できない

などの方にとっては、診断や治療に応じて保険金・給付金がおりるがん保険は生活の支えとしてなくてはならないものではないでしょうか

ですから回答者が「私の場合は不要だ」と表現すべきところを、「普通の日本人には不要」と表現された点に違和感を覚えたのです

▪️保険会社が得をして契約者が損をしている、について

▫️損得で語る方

損得で語る方は生命保険の『相互扶助』について賛同されていないのでそもそも『生命保険に向いていない方』です

生命保険会社は『相互扶助に制度に賛同いただける方』を募集している立場なので、『賛同できない方』に生命保険をお勧めしません。双方にとって非効率です。

▫️相互扶助の賛同をどう見極めればいいのか

見極め方としては様々なアプローチやたとえ話がありますが『山川村』が1番わかりやすく簡単です。機会があればご紹介したいと思います

▪️まとめ

【がん保険が不要な人の3つの条件】

✔️1年程度の年間生活費は蓄えがある

✔️月々10万くらいの治療費の負担が継続できる

✔️約5年の生活の見通しが立てられる

これらに当てはまり、がん保険が不要な方には不要ですとお伝えし
必要な方には必要だと伝え、適正なプランをご提案する、それだけです
論破する必要もないし、説得する必要もありません

↪︎Aさんより返信

ありがとうございます。やはりここに相談して良かったです。

▪️独り言

経済学者やファイナンシャルプランナーと名乗る方が「保険不要論」を語ればウケはいいですね

よくぞ言ってくれた!
モヤモヤしていたけどやっぱりそうだったのか!

と思われるのかもしれません

でも私はいつも「あれ?あのこと言ってないな」がまず浮かびます
そしてこの「そうだったのか!」は本来はこちら側が与えるべきなんです
「あぁ、だから保険は必要なんだ!」と。

長くなったので今日はおしまいです
いつか『山川村』ご紹介したいと思います


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