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ヘンリー・ブラウンの誕生日

娘の小学校では定期的にボランティアの人が読み聞かせをしている。
学校から帰った娘が興奮した様子で今日聞いたことを話し始めた。彼女には大きな衝撃だったらしい。
その本読んでみたい?と聞くと即座に「読みたい」と答えたので図書館で借りてきた。

本書は「ヘンリー・ブラウンは、自分が何歳か知らない。ヘンリーは奴隷だ。奴隷には誕生日などない」で始まる。
絵本であるが、絵がリアルだ。そして実際にあった出来事を元に書かれた。

たばこ工場で働くヘンリーは彼女も奴隷であるナンシーと出会い、恋に落ちる。それぞれの主人に許可を得て夫婦になった。
そして三人の子どもが生まれた。
ある日、ヘンリーの知らないうちにナンシーと子どもたちは市場で売られてしまう。
ヘンリーはひとりぼっちになり、そして自由になりたいと強く願った。

ヘンリーは自分を小包にして奴隷制のない州へ自らを送ることをおもいつく。奴隷制に反対する白人に相談すると彼の友人が住むフィラデルフィアに送ってもらうことにした。
それには工場を休む口実が必要だった。そうしなければ逃げたと思われてこの計画は頓挫してしまう。
ヘンリーは手に硫酸をかけた。皮膚がとけて骨が見えた。
木箱に入ったヘンリーは貨車から蒸気船に積まれた。逆さまに積まれたので頭に血がのぼり、身動きできない箱の中で耐えた。

わずかな水とビスケット2、3枚だけ。トイレを我慢し、27時間後に木箱は無事に着いた。

その日がヘンリーの誕生日になった。

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