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Margo-物語と糸- #21 |いとへんuniverseの西陣絣を染める 1

『銀河鉄道の夜』『モモ』と、名作を題材に毛糸を染めてきたMargoですが、今回は、自分たちが所属する「いとへんuniverse」がつくる西陣絣(にしじんがすり)の布をテーマに毛糸を染めることにしました。

いとへんuniverseの京都三条にある工房を閉めることにしたので、今までの布づくりを振り返りつつ、毛糸好きの方に西陣絣を知ってもらえたら……と思ったためです。

ひとつめにご紹介する糸は「stream red」です。

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streamという布は、わたしたちが初めて挑戦した広幅コットンの西陣絣。
布は黒と赤と藍の3色がありますが、Margoではそのなかの赤い布を毛糸に染めました。赤地に煙のような白い模様が浮かぶ様子を、ムラ染めで表現しています。

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コットンの西陣絣

西陣絣は西陣織の一種ですので、本来は着物や帯のための布。素材はシルクで、織り幅も着物幅(約40cm)というのが普通です。わたしたちもはじめは、シルクで40cm幅の布を製作しました。
しかしやはり「お洋服などに使って欲しい!」と思うと、コットン地で広幅が求められます。そこで、COS KYOTO北林さんの支援をいただきながら、インドの長長綿という光沢のある上質なコットン糸を使用して、広幅西陣絣の製作に乗り出したのです。

リーダーが絣加工するために、コツコツとコットン糸を枷にあげていた風景が思い出深いです。この頃まだスタジオは五条の朝妻町にありました(立ち退きにあって現在の場所に引っ越しました)。

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完成した3反のstreamは、赤、黒、藍。

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そして、布を販売するだけでなく、使い方を知ってもらうために、サコッシュやポシェット、メガネケース、ブックカバー、ポーチなどのプロダクトも製作しました。

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おかげさまで、黒と赤のstreamは、メガネケースとブックカバーをわずかに残して、布も小物もすべて完売しています。

西陣絣はタテ糸を加工するので、布もたて向きに見るとたいへんかっこいいのです。そのあたりはやはり着物の技術だと思います。
展示会でも吊るすと迫力が出ました。

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コットンはシルクに比べて糸が太く、染料も違いますので、実はなかなか西陣絣職人泣かせな素材。
次にオリジナルで西陣絣の布をつくるときは、初心に戻ってシルクになりそうな予感がします。
そう考えるとコットン製のstreamは貴重な存在です。手に入れた方はちょっと自慢していただいて良いかもしれませんね。



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