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植物にだってれっきとした名前があるのだ。Tanicushion®️ではそれを大切にしたかったし、伝えたかったって話。

●生物共通の名前のルール

これはたぶん高校の理科の授業で習ったことなので、別に植物が専門でなくとも常識的に知っている人はいるだろうと思うのだけど。生物はみんな共通のルールで名前が取り決められている。それが学名。人間だって例外ではないのだ。

学名(がくめい、ラテン語: binomen)は生物学(かつては博物学)的な手続きにもとづき、世界共通で生物の種および分類に付けられる名称である。英語では二名法による名称という意味で binomial name、あるいは科学的な名称という意味で scientific name という。
命名には一定の規則があり、ラテン語として表記される。
種の学名、すなわち種名は属名+種小名(細菌では属名+種形容語)で構成される。この表し方を二名法という。二名法は「分類学の父」と呼ばれるリンネ(Carl von Linné, ラテン語名 カロルス・リンナエウス Carolus Linnaeus, 1702 - 1778)によって体系化された。

みんな絶対に聞いたことあると思うのだけどHomo sapiens(ホモ・サピエンス)(できればイタリック体で記載したい、そうしないと何だか気持ちわるい)は私たち現存の人類のこと。でも厳密には私たちはホモ・サピエンス・サピエンスみたい(他の既知の亜種であるホモ・サピエンス・イダルトゥと区別するため。ホモ・サピエンス・イダルトゥはすでに絶滅)。この辺の話はサピエンス全史の上巻に事細かく記載されてますので、まだ読まれていない方はどうぞ。

では、話を戻して。

植物の学名って考えた時に何か1種でもすらっと出てくる人はいるのかしら。どうかな。特段植物に関わりのない一般の方々に関してはどうなのだろう。私は幼少から植物が大好きすぎたし、図鑑がマイバイブルだったし。一般とはきっとかけ離れているから分からなすぎる。

ちなみに私が大学・修士時代に研究してたのはダイズだったので、その学名は嫌という程記憶に残っている。Glycine maxである。グリシン・マックス。グリシンがマックスに含有されているような響きで、かっこよさげ。(とか言って全然違ったので、由来を以下に↓)


ダイズのラテン語学名はGlycine max(L.) Merrillですが、Glycine(グリキーネ)というのはギリシャ語の甘いという意味のglukusからきています。この植物の最初の命名者は Linne でインゲンマメ属に属するとしてPhaseolus Maxとしました。その後別属がたてられ幾つかの改名があって最終的にMerrillが命名したのですが、属名の意味が何が甘いのかは現在すでに明らかではなくなっています。また種小名のmaxも、もとはLinneが採集したスリランカ地方で豆という意味だったと言われていましたが、これも明らかではありません。

また同時に私の研究植物であったダイズの野生種・ツルマメはGlycine soja(グリシン・ソヤ)である。どちらも人間社会でりっぱに生きていく中では必要な知識ではない。全く。悲しいけれども。

で、今の私が隅の方に少しだけ身を置いている園芸業界だと、植物を呼ぶ時に学名で呼ぶ風習は少しはあるように思える。例えば、Ficus benghalensis(フィカス・ベンガレンシス)(あー本当にイタリック体になってくれないの違和感しかないよ。。。。)は、私がオフィスの植物をコーディネートしたり施工する時に必ずと言ってよいほどセレクトする大好きなゴムの木の仲間の観葉植物なのだけど。これは市場に仕入れに行っても値札にはフィカス・ベンガレンシスと表記されているし、暗黙の呼び方になっているもよう。昔はベンガルゴムの木とか読んでたみたいだけど、うーん時代にそぐわないのかしら。ゴムの木=ちょっとダサいみたいなイメージがあるので(私調べ)、イメージ戦略で変わってきているのかな。

●(きっと)一般的ではない学名をクッションに記載することの意義とか意味とか私なりの想いとか

私は2015年8月に、Tanicushon®️という空間緑化ツールを世に送り出した。それは"多肉植物 × クッション = たにくっしょん®️" という、なんとも絶妙なネーミングセンスと、1度見たら忘れられないような多肉植物のユニークで規則的だったりする形をリアルに再現した可愛い可愛いプロダクトなのだけど。

プロダクトの企画が進んでいた当初から、見た目の可愛さのみを売りにしたモノでは足りないと感じていたし、まがいなりにも植物の研究をしてきていている私が ”モノ作り” という未知の領域に、色んなリスクを犯してチャレンジするからには、私にしかできない、意味のあるプロダクトを生み出したいという気持ちが強かったからなのだと思う。いや、意味のないゴミを生み出してもしょうがないし。

その当時、何が問題と感じていたかというと(絶賛今も)。職業とキャラクター上、植物のことを尋ねられるのは日常茶飯事で、その中で強く感じざるを得ないことといえば、人って極端に植物のことを知らない(植物大好きな一部の人を除く)というのがある。

逆に、普通の人からすれば、なんで植物のことそんなに知ってなくちゃならないの? とか、 人生における植物とのタッチポイントってどこ? とか思うかもしれないのだけど、とにかく私にとってはそれがショックで。たまにひどい人になると、植物のこと 草(クサ)って呼んだり、見るからに観葉植物で花なんて咲いてないのに 花(ハナ)って呼んだり。こちらからすると ふぁ!!??ってなったりするわけで。

それがなんだかとっても悲しかったのですよ。地方の国立大学農学部で学び、バイオの研究とかしていると、周りはもう、それはそれは植物が大好きで、それを強く志して大学にやってきている人が多くて。その上、果てしなく地味で、根気のいる研究とか黙々としているわけで。そんな中で6年も過ごしたりすると、きっと一般の社会からはずれてきちゃうのでしょう。ピュアな方に。だから社会の荒波にさらされてみて、初めてびっくりしちゃうのだと思う。なんで、なんで誰も、植物に興味ないの。。。と(実体験)。

こちらは、Tanicushoin®️シリーズでマニア人気を誇る           学名:Astrophytum asterias(アストロフィツム アステリアス)     和名:兜丸(かぶとまる)くん。 棘なしサボテンの一種となります。

(話が徐々に脱線しつつあるが)そんなわけで、最初からTanicushion®️には学名を記載しよう!しっかりイタリック体で!と決めていた。それが私たち植物側の人たちにとっての当たり前だから、だし、知って欲しかったから。もっと植物のことを。

そして、ひょんなことから手に取ったりするかもしれないTanicushion®️ の可愛さに魅せられる誰かがいたとして、その素敵な誰かが、万が一『この植物育ててみたいなぁ』って一瞬でも思ったとして、そこに学名という名前が(大きなヒントが!)記されていたら、それを元に調べて、本物の植物にたどり着くのが非常に簡単になる!そしてその上、学名で検索したら、ありがたいことに育て方までバンバン出てきちゃう便利な世の中だから。

人間も植物も皆ハッピーである。短絡的かもしれないけど、これが理由。今までインタビューなんかで散々語ってきた部分なのだけど、ここまで文字数使わないと、しっかり伝わらないよね。

ちなみに'astrophytum asterias 育て方'の検索で3番目に出てきたのがこちら。Tanicushion®️もなんどもお世話になった「趣味の園芸」NHK出版さんが運営しているありがたやなサイトです。参考にして欲しい。


●終わりに

とにかく、もっと、みんなに植物のこと知って欲しいし、たくさん育てて欲しいのである。長くなったので、今回は以上としましょう。





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