バリュー合宿_アイキャッチ2

全社員50名が2日間かけてバリューと向き合う会議の設計法

RELATIONSで組織改善コンサルタントをしている飯岡(@mikio_iioka)といいます。普段は、クライアントの組織課題をヒアリングして解決策を提案したり、ワークショップの講師をしたり、コーチングや1on1のメンターをしたりして、全方位で伴走しながらクライアントの組織改善を支援しています。

さて、私たちRELATIONSのミッションは「ええ会社をつくる」です。そして、このミッションの実現を目指すために、社員に必要な3つのバリューを掲げています。

・世界に誇れる仕事を
・進化に勝る超進化
・すべてはチームのために

とはいえ、ただ掲げれば万事OK、というわけではもちろんありません。多くの企業と同じく、RELATIONSでもバリュー浸透のために、さまざまな仕組みや施策を実施しています。

先日、その施策のひとつとして、全社員がバリューへの理解を深める「バリュー合宿」を箱根で開催しました。

RELATIONSとしても初の試みだったのですが、全社員、約50人が丸2日かけて参加する会議設計を、飯岡と代表の長谷川のふたりで考え実行しました。とはいえ、大人数向けかつ長時間のコンテンツ設計は難易度が高く、何度も検討を重ね、紆余曲折を経てようやく形にすることができました。

今回は、どのように会議設計をしていったのか、その手順やポイントをご紹介したいと思います。

合宿形式のよいところ

合宿には
・全社員で集まることで、全体像を可視化できる
・集中的に議論する時間を作ることで一気に理解を深められる

というメリットがあります。

RELATIONSでは合宿以外にも数々のバリュー浸透施策をしており、バリューの「文言」はしっかり浸透している状態でした。一方で、人によって解釈にズレがあったり、バリューを体現している状態の度合いや意識が違っていたりする光景が見られるようになっていたりと、一度全員で認識をそろえていきたいという思いがありました。この課題に合宿という打ち手はまさにぴったりです。

今回の設計のポイント

1点目は、参加人数です。今回は50名近くの人数が集まることになりますが、経験上、10人以上の会議体の場合、全員での議論はできないと考えたほうがよいと思っています。そのため議論するためには少人数にグループ分けをし、その中で行う形が基本になります。一方で議論した人たち以外がどういう結論になったか、という全体像が把握できない課題が出ます。そこで全体像を把握するパートも入れるようにします。

もう1点は、議論の流れです。議論の原則の1つに「発散、収束の順に進行させる」というものがあります。発散はとにかくアイディアや意見を出すフェーズ、収束は出てきた意見を元に議論しながら結論に絞り込んでいくフェーズです。今回もこの原則に従うことにしました。

踏まえると基本の流れは、

1.少人数のグループ内で発散
2.少人数のグループ内で収束
3.グループ内の収束結果を全体に共有し、全体像を可視化する

になりそうです。大人数の会議体や勉強会などではオーソドックスな流れだと思います。

会議設計の流れ

それでは設計に入ってみます。設計は次のような流れで進めました。

1.目的を設定する
2.大まかに全体の流れを決める
3.各パートごとに詳細設計をする
4.実現できるかシミュレーションする

また設計書を用意し、書き加えながら設計を進めていきます。今回はGoogleスプレッドシートを使いました。

1. 目的を設定する

会議体の設計にあたって真っ先に行っているのは目的の明確化です。設計中、常に「目的が達成できるか?」を問い続けることで、無駄のない効果的な会議にできます。詳細な設計に入るにつれ、ついつい忘れてしまいがちなので気をつけるようにしています。目的は「合宿(会議)をやる前とやった後で、参加者の行動をどう変えたいか」を自問しながら考えると設定しやすいと思います。

今回は各社員が一定以上のレベルでバリュー体現するようになってほしいと考え、そのためにも「バリューを体現したといえる度合いを合わせる」ことを目的にしました。

2. 全体の大まかな流れを決める

今回は目的達成から逆算して考えてみることにしました。

まず、バリュー体現の度合いを合わせることが目的なので、
最後は「全体でバリュー体現の度合いが合う」パートにしました。これは議論の流れでいうと収束のパートになりそうです。グループで収束し、それを全体に共有しつつ全体でも収束させます。

収束があるなら発散があるということで
「バリュー体現度合いがわかる具体例をたくさん出す」パートをいれます。

合宿をここからスタートしてもよいのですが、参加者によってはピンと来ないケースもありそうなので、何か考えるとっかかりがあるともっと良さそうです。今回は合宿で時間もあるので、ディスカッションを追加してみます。

バリューはミッション達成に必要なものですが、RELATIONSではミッション達成に至るマイルストーンとして「3年後のありたい姿」を決めています。今回はこれを活用し、「3年後にありたい姿を実現するために、体現したいバリューの度合いがわかる具体例をたくさん出す」に発散パートの内容を修正しました。

しかし、バリュー同様、3年後にありたい姿に対する認識も人それぞれの可能性があります。ということで「3年後にありたい姿」についても認識をそろえるパートを設定しました。

ここまで進めてみて、「3年後のありたい姿」って、みんな達成できると思っているんだろうか?という疑問が出てきました。せっかくなのでこの際1人1人の捉え方を可視化しましょう。近い考え方の人同士でグループを組むことで、議論用の少人数グループ分けもできそうです。

また、一連の流れを俯瞰して眺めると、全体での共通認識は作れそうですが、個人個人の行動に落ちるかはその人次第になってしまいそうです。議論して理解が深まるとは思いますが、このままだと「たくさん話して楽しかったね」で終わってしまう可能性もあります。そこで最後に「今後自分の行動をどう変えるかを決める」パートを入れることにました。

これで大まかな流れはできあがりました。

3. 各パートごとに詳細設計をする

全体の流れができたので各パートごとに詳細設計をしていきます。

【1】3年後のありたい姿の捉え方を、全員分可視化する
可視化は文字通り見て分かる形にするとインパクトが大きいです。そこで会議室の一方の壁を「達成確率100%」、反対側の壁を「達成確率0%」とし、その一直線上に並んでもらうことにしました。自分が「達成確率90%」だと思っていたら、100%の壁から少しだけ離れて立つイメージです。誰がどう捉えているか一発でわかるので盛り上がりそうです。その後、近いパーセンテージの人同士5名前後でグループを組んでもらおうと思います。

【2】3年後のありたい姿を達成するために必要なことをたくさん出す
グループに分かれ、まずは各自「今できていること」「今できていないこと」を大量に付箋に書いてもらいます。その後グループ内で共有し、グルーピングしてもらいます。

【3】3年後のありたい姿を達成するために必要なことのコンセンサスが取れる(グループ)
今できていないことは、どうしたら「できている」になるかをディスカッションしてもらい、まとめてもらうことにしました。

【4】3年後のありたい姿を達成するために必要なことのコンセンサスが取れる(全体)
2グループごとに結論を持ち寄り、意見をマージしてもらいました、差分については議論してもらい、双方納得できれば加えてもらいます。このマージしたものを会議室内に張り出し、全員が見られるようにしました。

【5】3年後にありたい姿を実現するためにやるべきな、体現したいバリューの度合いがわかる具体例をたくさん出す
各グループにそれぞれ出してもらいました。考える観点として「アクション」「アウトプット」を示し、両面から意見を出してもらうようにしました。

【6】全体でバリューの度合いが合う(グループ)
出たものの中から重要そうなものを絞り込み、共有されたスプレッドシートに記入してもらいます。全グループ分の具体例が集約され、誰でも閲覧できるようになります。

【7】全体でバリューの度合いが合う(全体)
スプレッドシートにまとまった「どのぐらい体現すれば」の具体例は、最低限求めたいものもあれば、挑戦的なものもあり、度合いがバラバラです。またどれを挑戦的と捉えるかは人それぞれです。そこで、集約したスプレッドシートの内容をグループ内で議論し、各具体例をMustとChallengeを振り分ける作業をしました。

今回の目的は「体現度合いを合わせたい」なので、全グループがMustとしたものは共通認識化し、合宿の成果とすることができそうです。また、意見が分かれたものは議論ポイントになりますので、時間がありそうであればディスカッションしても面白そうです。

スプレッドシートはこんなイメージになります。

【8】今後自分の行動をどう変えるかを決める
最後は自由にペアを組んでもらい、この2日間を1on1形式で振り返ってもらうことにしました。お題として、どんなバリュー体現をしていくかを1on1の対話を通じて固めていくことにしました。

これで各ディスカッションの詳細設計も完成しました。スプレッドシートの設計表にもまとめます。

(実際はすんなり設計ができあがったわけではなく、何度も検討を重ね、削ったり追加したりを繰り返しながら完成までたどり着いています。ボツになったパートやアイディアも数知れず…)

4. 実現可能かをシミュレーションする

どんなに良い会議設計であっても、時間が足りなくては意味がありません。各パートごとにどのくらい時間がかかるのか、付箋紙は何枚使われるか、アウトプットされる具体例はいくつぐらいで、全部グループ合わせるとどのくらいになりそうかをシミュレーションします。

例えば時間であれば、
・ファシリテーターからディスカッション内容の説明…5分
・各自付箋に書き出す時間…5分
・書いた付箋を共有する時間…1人2分×5人=10分
・グルーピング…5分
=合計25分
といった具合でパートごとに計算します。加えて、付箋は1人10枚書くとして50枚はいりそう、最後のまとめは5件として、10グループで50件でてきそう、その場合、貼り出す場所はあるだろうか?といったことも考えておきます。

計算した時間や準備事項を設計書に追記します。

もし時間オーバーしそうであれば、各パートの内容を見直します。また、必要な備品や会場配置図なども考えるようにします。

実際にやってみて

合宿の目的や進め方の説明も最初にしっかり行いました。

ありたい姿達成度を各自がどう思っているか並んでいるところ。

実際やってみると、思った以上に議論が白熱して時間が足りなかったり、度合いのバリエーションが予想以上に富んでいたりと、想定外のことも多く起きました。ただ、その場合も目的を見失わず、柔軟にパートの内容を調整したりすることで、無事に最終パートまで終えることができました。

参加した社員からも「深く考える良いきっかけになった」「普段の業務とバリューが結びついた」などポジティブな反応が多く、合宿最後に決めた目標を早速1on1に取り組み、よりバリューを体現するといった動きが起きています。

ここまで規模の大きい会議体を設計するということは一般的にはあまりないことかもしれませんが、RELATIONSでは今回のようなことは頻繁にあり、また社外向けにワークショップをすることもあるため、設計の機会も割と多くあります。今回得た知見はさらにブラッシュアップし、お客さんにも提供していきながら「ええ会社をつくる」というミッション達成を目指していきます。

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