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プロトタイプ作って、それからどうすんの?

我々デザインやテクノロジー寄りの人間は、ごくごく当たり前にプロトタイプだとか、プロトタイピングのような言葉を使っているわけですが、以前、技術畑とは無縁な友達を、技術系のイベントに連れて行った時「プロトタイプって何?」って聞かれて面食らった事があります。確かに言われてみれば、世間一般ではプロトタイピングってあまり聞かないですよね。

プロトタイピングとはなにか

新しいプロダクト、サービス、ビジネスなどを作るとき、はじめから大規模なリソースを投下するのではなく、まずは少ないリソースで、小さなところから検証を行いながらプロダクト開発を進めましょう、という流れが一般的になっており、これらのプロセスを我々はプロトタイピングと呼びます。

企業や業界によっては、おおよそ同じような行為をPoC(Proof of Concept)やMVPなどと呼ぶ事もありますが、名称に多少の違いはあれど、適切なプロダクトを最短距離で作る上でこの流れはとても良い傾向であると考えています。

プロトタイピングの目的

ところで、プロトタイピングにはいくつかの目的があるのかなと思っています。例えば、主要なものを上げるとすると下記のようなものがパッとでてきます。

1. 技術的に実現可能か確認する
2. そのプロダクトに価値があるかを確認する
3. そのプロダクトの仕様が適切であるかを確認する

上記以外にも様々なプロトタイピングが存在するとは思います。

ところで、今更で大変恐縮ではあるのですが、プロトタイプ(Prototype)とプロトタイピング(Prototyping)の違いは何かと考えてみてください。

プロトタイプというと、低コスト、短期間、低クオリティなプロダクト(あるいは、プロダクトとは呼べないような何か)をイメージするすることが多いと思います。

では、プロトタイピングは?プロトタイプ(Prototype)にingがついたから、Prototypeを作る事であると思われるかもしれません。

ここで、上記であげた3つの例を見返してみると、おそらく共通しているのは、何かを確認するための行為であるということでしょう。つまりプロトタイピングとは「プロトタイプを作ることそのもの」ではなく「プロトタイプを使って何かを確認すること」として捉えることができます。そしてその「何か」は多くの場合「仮説」であるはずです。

「技術的にこんなことができるのだろうか?」「このプロダクトはユーザーに受け入れられるのだろうか。」「こんな仕様だとユーザーは喜ぶと思うけど本当だろうか?」

プロダクト開発の現場には、数多くの仮説が存在します。仮説とは言い換えれば不確実性の事ですが、この不確実性とうまく付き合い、プロダクトを成功に導くために、開発プロセスの中にプロトタイピングが取り入れられているのです。

とりあえずプロトタイピングの誘惑

「こんな感じのプロダクトのアイディアがあるので、とりあえず簡単にで良いので動くもの作ってくれませんか?」のような話はいろいろと頂くこともあるのですが、私の経験上、仮説検証という目的を持たずに作ったプロトタイプは、「あー、いいね」で終わってしまったり「作ったは良いけどこのあとどうしよう?」となってしまったりと、あまり意味が無いものになる可能性が高いです。

そのため、弊社でプロトタイピングを業務としてお受けするときは「検証したい仮説はなにか」「確認したいポイントはなにか」「プロダクト開発プロセス全体の中で、このプロトタイピングがどこにどのように位置づけられているのか」などをお伺いし、時にはワークショップなどを通して認識のすり合わせを行ってからプロジェクトに着手させて頂いております。

プロトタイプは結局のところ、何らかの目的がある場合に、その目的に到達するための仮説を検証することによって不確実性を排除し、プロダクトを成功に近づけるためのものです。ですから「アイディアがあるから、とりあえずプロトタイプを作ってみる」ではなく、そもそも自分たちが何を確認したいのかを確認してからプロトタイピングに取り組む事が大切です。

最後に、ちょっとだけ宣伝

弊社ANKR DESIGNでは、お客様のプロジェクトの目的やフェーズに応じて最適なプロトタイピング手法をご提案・実施させていただいております。具体的なプロジェクトについてのご相談はもちろん、「こういったことって可能だろうか?」といった段階から、お気軽に下記のTwitterアカウントへのDM、または弊社Webサイトからお気軽にご連絡頂けますと幸いです。


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