意見を誘導する方法

何かをする、行動をとる、という時には労力を使います。
人は努めて意識しないと『楽な方』を方を選ぶ習性があります。
この習性を利用した心理学的手法で『デフォルト効果』というのがあります。

デフォルトは英語ではdefaultと書き『不履行』や『欠場』などといった意味なのですが、スマホやパソコンで「デフォルト設定」とあるように、日本語としては『初期値』という意味で使われています。
デフォルト効果のデフォルトとは日本語の方の意味で使用されており、『初期値』を予め『選択されたい方』に合わせておき、拒否する場合に逆の選択(行動)しなければならないよう設定しておく事です。

スマホを例にすると、特にオヤジに多いのですが、待受画面や着信音を初期設定のまま使っている人が多いと思います。
これは『変更する』というアクションに苦を感じ、そのまま使用している状態です。

臓器ドナー登録の場合だと、アメリカと日本では提供希望者数に大きな違いがあり、アメリカの提供希望者数は日本人と比べて38倍ほど多いのです。
(2018年の100万人あたりの臓器提供者数でアメリカが33.3に対して日本は0.88)
これは『デフォルト効果』を利用しているから。
アメリカは『提供する』が初期設定とされており、提供しない場合は「No」を選択(行動)しなければいけない。
一方、日本では『提供しない』が初期設定となっており、提供する場合に「Yes」を選択(行動)しなければいけない。
逆を選択するという『ひと手間』が面倒で、初期設定のままになっているのだ。

この違いをマーケティング用語で「オプトイン」「オプトアウト」とも言ったりもしますが、Optは英語で『選択する』という意味。
つまり選択(行動)して参加するのがOpt-in、選択(行動)して参加しないのがOpt-outです。

初期設定をどちらにしておくのかという『デフォルト効果』を利用すれば、自分の意見を誘導しやすくなる効果が期待できます。

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