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ラグビーワールドカップ2019 2試合が中止になって思うこと

ラグビーワールドカップ2019日本大会は、今年最大級かつ最強の台風19号の接近のために、2試合が中止となりました。


組織委員会発表

■開催中止試合
・10月12日(土)「ニュージーランド v イタリア」 (キックオフ13:45/豊田スタジアム)
・10月12日(土)「イングランド v フランス」 (キックオフ17:15/横浜国際総合競技場)

これは、「プール戦に予定していた試合日に開催できない場合、翌日に延期することはせず、試合中止とみなす。試合結果は引き分けと宣言され、各チームに勝ち点2ずつ付与されるが、得点記録はなしとする」という大会規則に則り決定され、振替試合は行われません。

中止になって思うこと(1) - 決定者への敬意

まずは、人命の安全確保のために、「客観的に言えば」最善な判断をしたと思われる、ワールドラグビーとラグビーワールドカップ2019組織委員会の意思決定に敬意を表します。

日本で秋にビッグイベントをすることには、台風はつきものです。おそらく日本での開催を決める時にも、台風による中止はリスクとして検討されたでしょうし、そのリスクを込みで日本での開催を決めたのだと想像できます。
だから、「中止になるかもしれない」というのは考えていたはず。

それでも想像以上に盛り上がっている日本大会で、12日の2試合合わせて10万枚以上のチケットが既に売れている。つまりそれだけ楽しみにしている人がいるということ。この日のために準備しているチームの選手、スタッフ、さらにはボランティア、試合に関わる全てのスタッフが動いている事態。そして開催にかかっている莫大なコスト。

9回を重ねたラグビーワールドカップの歴史の中で初めての中止判断。試合を中止にすると決める影響は計り知れなく、だれがどう受け止めるのか? 自分が決定者として受け止められるのか?を考えると、想像できないほどの重圧の中での判断だったのではないか、と思います。

中止になって思うこと(2) - それでも無念

チームとしては、すでに決勝トーナメント行きが決まっているイングランドとニュージーランドは落ち着いて対応している様子です。

イングランド エディー・ジョーンズHC
「ショウガナイネ」
「準々決勝まで2週間ある。神様が微笑んでくれたのかも知れない」

ニュージーランド代表 スティーブ・ハンセン監督
「天気はコントロールできない。安全を第一に考えて正しい判断がなされた」

一方で、納得できないのは、フランスイタリア。特にイタリアは、過去のワールドカップではニュージーランドに全敗しているものの、今試合で勝利すれば、決勝トーナメント進出の可能性がありました。また同国のセルジオ・パリッセ選手は、このワールドカップを最後に代表を引退する予定でした。

イタリア代表 セルジオ・パリッセ選手
「すばらしいチームと試合をする機会が失われたことはつらい」
「もしニュージーランドが我々との試合で勝ち点4か5を取らなければならない状況だったら、中止にならなかっただろう。こんな決定はおかしい。日本に台風が来るのは珍しくないのだから、(中止ではなく)プランBを用意していないのはおかしい」

試合中止が決まり、パリッセは落胆していた。そして10日におこなわれた記者会見で、悔しさ、怒りを隠さなかった。 と、記事にあります。

パリッセ選手の発言の「ニュージーランドに勝ち点4または5が、必要だったら中止にならなかった」というのは的を得ている。同様にフランスは、プール戦一位通過のチャンスを奪われました。無念さは一生残ることでしょう。

一部の海外メディアでは、「対策案が用意できたはず」と痛烈非難も。

チャンスを奪われたのは、選手だけでなく、「4年に一度じゃない、一生に一度だ」と楽しみにしていたファンも同じ。ようやく取れたチケット、安くないから貯金をためて取った人、また海外から休みを取って飛行機に乗ってきた外国人サポーター。様々な思いがあります。

台風による被害からの安全確保、ってわかっててもやっぱりくやしいよ!!

中止になって思うこと(3) - 日本とアジアの将来のために

「4年に一度じゃない、一生に一度だ」

で始まったワールドカップでしたが、日本代表の躍進、さらには日本全体の盛り上がりや、サポーターやボランティアの優しさに触れた海外からの絶賛をうけ、日本開催は大盛況です。
これは、もしかして一生に一度ではなく、また日本でワールドカップができる日が来るかもしれない、と予感させます。

もしも日本が、またはこれから強くなるであろうアジア(特に東アジア・東南アジア)が、ワールドカップを誘致したい、と考えたときに「第9回の日本大会で試合が中止になった」が開催決定の足かせにならないように願うばかりです。

中止になって思うこと - まとめ

ここまで書いても、今回の判断は正しかったと考えます。

現在のワールドラグビーの規定では、プール戦は開催できなければ中止、延期や再試合なし、としているが会場を変更する、日程を変更するという代替案が最初から用意されてもよかったかもしれない。または各チームに日本で試合をすることのリスクとして、台風での中止をより具体的に告知して準備させる、ということもできたかもしれない。

ラグビーの選手やスタッフは、大切なのは「準備」と言います。

この先のラグビーワールドカップで無念な気持ちが少しでも減るように、これを教訓に、次からの準備につなげてほしい。

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