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神戸製鋼コベルコスティーラーズの強さの秘密 ~  レガシー活動

(本記事は、2019年のブログから移転、加筆修正しました。)

WE'RE BACK!!

2018-2019シーズンの日本選手権を優勝した、神戸製鋼コベルコスティーラーズ。日本選手権は1998年以来20年ぶり、トップリーグ初年度の2003年以来の社会人チームの日本一となりました。

神戸製鋼の強さを語るときに外せないのが「レガシー活動」です。(※1)

レガシー活動の始まり

創部90年、過去には7連覇の偉業を達成している神戸製鋼。ですが、トップリーグ初年度以来、優勝から遠ざかっていました。

2018年から就任したウェイン・スミス総監督、デーブ・ディロンヘッドコーチ以下の新スタッフ陣により「レガシー活動」が始められました。(※1)

この活動は、チームの歴史、会社の歴史を知ることがチームに対する誇りや愛情を育むことにつながるという考えから実施。
初めてとなる今回は、鉄鋼メーカーの心臓部であり1995年1月17日に起こった阪神淡路大震災の2ヶ月半後に復活し「復興のシンボル」と言われた神戸製鋼所神戸製鉄所の第3高炉へ。

株式会社神戸製鋼所

阪神工業地帯に位置する日本有数の製鉄所です。

阪神淡路大震災の時には工場が止まり、練習グラウンドが液状化しました。同じ年、神戸製鋼コベルコスティーラーズの日本選手権の優勝も止まりました。

製鉄所の生命線ともいえる高炉が停止したものの、所員の努力で短期間で復活、神戸再建のシンボルであり、ラグビー部とともに市民の支えでもありました。

製鉄所の作業員らが高炉の復旧を目指して奮闘した話を聞いたダン・カーターは「彼らが会社のためにしたことを聞いて感動した」。
自身が育ったNZのクライストチャーチが11年に大地震に見舞われたこともあり、自分のことを顧みずに尽くしたスチールワーカーの逸話に心動かされた。  (※2)

高炉の復興から遅れること5年、1999年に神戸製鋼コベルコスティーラーズは、日本選手権制覇に返り咲き。まさに WE'RE BACK!!  でした。

レガシーに敬意を表し、チームの力にしていく活動は徹底していました。

練習グラウンドは「第3高炉」、相手をはね返す防御は「スチールウォール(鉄の壁)」と名付けた。
震災発生時に高炉を守るため、ショベルカーで突入した作業員に敬意を表し、各試合のチーム内最優秀選手にはその作業員の名を冠する「田中賞」としてショベルカーのミニチュアを贈るようになった。 (※3)

2019年日本選手権へ

「レガシー活動」を通じて、選手にも徐々に「会社のため」「チームのため」という思いが芽生える一方で、社員やOBもチームを応援するようになったといいます。まさに「一体で」チームを盛り上げていきました。

そして、日本選手権。

強いスチールワーカーの意志を継ぎ、従業員と一緒に戦うつもりで挑んだ日本選手権決勝。選手の発案で選手は入場の時にウィンドブレーカーの下に作業服を着て入場しました。(※2)

DCの襟元から見える白い襟が作業服です。

大柄なパックマン選手もしっかり着用

ウィンドブレーカーを脱ぐと作業着が。
さらに作業服を脱ぐと赤の神戸ジャージが現れます。

2度目の WE'RE BACK!! 

スチールワーカーの思いを胸に戦った決勝戦。往年の宿敵サントリーとの決勝戦は 55- 5 で神戸製鋼が圧勝しました。

それはマスコミで騒がれる名将、名プレーヤーだけではない、チーム・会社を始め、チームに関わる全ての人が一丸となって手にした優勝でした。

その後

2019年の優勝以降も勝ち続けるコベルコスティーラーズ。2020年シーズンは途中で終了となりましたが、全勝で暫定一位です。

メンバーの入れ替わりもありますが、チームの結束力は変わりません。神戸のシンボルとして今も活躍を続けています。

参考

(※1)
4月25日(水)「レガシー活動」を行いました
https://www.kobelcosteelers.com/news/information/2018/04/180425-info.php

(※2)
ラグビー神鋼、
真のプロフェッショナルが導いた栄冠
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39025290X11C18A2000000/

(※3)
ラグビー神鋼、名門復活の凱歌
レガシー見つめ直し結束
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201812/0011908712.shtml

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