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なるほどデザイン裏話

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書籍『なるほどデザイン』を作っていた当時のことを思い出しながら書く雑記。
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『なるほどデザイン』表紙ができるまで

『なるほどデザイン』表紙ができるまで

『なるほどデザイン』といえば、なんといってもNoritakeさんのイラストが目を引く表紙が目印。たくさんの人が手に取ってくれるきっかけをつくってくれたこの表紙は、デザイナー関口裕くんの手によるものです。

表紙も自分でデザインするという選択肢も、もちろんありました。そうしなかった理由は、あまりにも内容にどっぷり浸かりすぎていて、適切な距離を置けないだろうと感じたから。もともと自分は、欲張りな性格か

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作って、壊して、また作って 【後編】

作って、壊して、また作って 【後編】

前回までのあらすじ:
デザイン本を作ることになったエディトリアルデザイナーのツツイ。コンセプトを決め、きちんと情報を整理し、要素を用意し、ラフを描き、デザインを進める。プロセスを踏んで進めていたにも関わらず、いざページができてくると「なんかこれ、楽しそうじゃない」という根源的な課題にぶち当たり完全に煮詰まってしまう。
低下するモチベーション、守れない締切。この本の行く末はいかに!?

・・・という

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作って、壊して、また作って 【前編】

作って、壊して、また作って 【前編】

『なるほどデザイン』は書籍ではありますが、通常の書籍とは少し違ったレイアウト、というか、かなりやりたい放題なレイアウトになっています。

自分のデザイナーとしてのキャリアのスタートが雑誌のレイアウトデザインだったこともあり、「何をどこに置いて、どう視線を誘導するか?」を設計することが伝わりやすさのために重要だと感じていたので、だいぶ雑誌っぽい作り方をした書籍になりました。

でも最初からこれを目指

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空白を埋めるためには、言葉が必要なんだ

空白を埋めるためには、言葉が必要なんだ

『なるほどデザイン』を作ることになる、少し前のこと。新米アートディレクターだったわたしが、後輩デザイナーと打ち合わせをしていたとき、彼女がため息混じりにこうつぶやいた。

「筒井さん、本当にあのお客さんて、なんにも決めないですよね」

ずいぶん前のことなので曖昧だけれど、たしかこんな話をした記憶がある。

ーーそれはちょっと違うかな。わたしもあなたもこれまでずっと出版社に常駐していて、プロの編集さ

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ビジュアルブックみたいな、デザイン書があったなら

ビジュアルブックみたいな、デザイン書があったなら

よく聞かれる質問として「なぜ本を出すことになったんですか?」というものがあります。わたしの場合はある日突然、MdNの編集さんからこんなメールが届いたのが始まりでした。

わーい、またブックデザインのお仕事依頼が来た・・・と思ったら、えっ、著者??と、2度見3度見したことを覚えています。確かにMdNさんの書籍はデザイナーが著者になることも多いですが、自分がそれをやるとは想像してなかったもので。

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