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編集とはまだ見ぬ完成した本を著者と生きること

 最後の最後に連絡が取れない…。

 どうしたんだよ。

 まつおさん…。

 まつおさんの第二著作『愛と死・そして「再生」 ~増補改訂版 最後の40日』発刊前日。まつおさんはみこちゃんの編集とプロモーション指導があまりに過酷だったため、過労と心労で病院に緊急入院していたのであった…。

 やりすぎたか、と一瞬思ったが命に別状はないことを確認したあと、開き直りではなく、私は「どうしてもここまでやらざるを得なかった」と心のなかでつぶやいた。

 完璧な著作を作ることは、みこちゃん出版に関わっていただいた著者の方すべてへの使命だと思っている。ただ、正直に言えばこの本の編集は生半可な気持ちでは務まらないと、いつにもまして思っていたのも確かである。

 まつおさんのこの著作はご本人が言うように、まつおさんのこれまでの人生の集大成とも呼べるべき本になるはずだ。

 始まりは盟友緑川凛さんの、まつおさんへのインタビューが出色のできであったことだった。プロモーションのためにインタビューをお願いしたのだけど、私が上がってきた原稿をチェックして、新しい指示を緑川さんに出すたびに、また思っても見なかったような輝きをまして、原稿は私のもとに戻ってきた。

 緑川さんはものすごい鉱脈を掘り当てた。私はそう思った。でもそれは、新しい生命の息吹を確かに感じさせながらも、まだ生まれてくる以前の原型のようなものだった。なぜこれがまだ、はっきりとは生まれてこないのか。理由はすぐに分かった。この本が誕生する形、完成する形を、生まれたいと願っているまだ誕生していない赤子の生命力の凄まじさに、他ならぬまつおさん自身が気づいていない。

 私はそう思って、これを全面加筆修正してもらうことにより、当初予定していた第一作のインタビュー付き改訂版ではなく、新しい本として出版しなければいけないと思った。

 一部抜粋しよう。

最後の最後まで気付かなかった本書の存在意義

筆者が自書の存在意義について理解していないなんて、おかしなことだと思われるでしょう。

それは、書籍の「顔」となる表紙を決定していく過程で露呈しました。
表紙のバックには、初版と同じく画家 ゆめのさんの作品である【最果ての庭】を使用させていただいています。

それは描かれている赤い花に生命力と儚さを同時に感じ、毎年あらたに咲く花に「再生」を重ねたからでした。

その思いを伝えたところ、みこちゃんに叱責されました。

「まだわかっていない。それは個人としての思い。それでは結局は自己満足に終わり、これまでやってきたこともすべて無駄になります。」
自分の身に起こった出来事について、書いてきた。

「再生」は、誰の身にも起こり得るものである。

ゆめのさんが描く作品には、それだけの力があることを伝えていきたい。
その意味では、ゆめのさんのために著した本です。
ただ、全編にわたってゆめのさんがフィーチャーされているかというと、そうではない。

悩んでいると、みこちゃんからの問いかけが押し寄せてきました。
すべてチャットでのやりとりなのですが、まさにすぐそこに対面していて問い詰められているような迫力でした。

「この本の「主人公」が誰であるのか、考えてください。」
「ゆめのさんへ捧げるものであると同時にもうひとり、想いを届ける相手がいる筈です。その視点、自覚に欠けているから方向性が定まらないんです。」

多くの登場人物がいる書籍では、ありません。
そこでようやく、気付きました。

りえさんへ捧げるために、この本は生まれたんだ。

ゆめのさんに出会わせてくれたのは、他ならぬりえさんの遺志だったと思います。

抜け殻になった私を「再生」させるために、縁を用意してくれた。
それがわかった瞬間、涙があふれて止まらなくなりました。

編集者という方は、ここまで人生のすべてを汲み取ってくれるものなのでしょうか。

命を削るようにして綴ってきたものに、ようやく意味を持たせることができた。

本当によく聞く言葉ですが、言わせてください。
みこちゃんなくして、この本が完成することはなかった。
心から、そう思います。

 みこちゃんはチャットで間があったので、まつおさんがみこちゃんの剣幕に驚いて倒れたかと思っていたので、一緒には泣きませんでした。あとから、このWordPressのメイキングオブ『愛と死・そして「再生」 ~増補改訂版 最後の40日』を読んだ時、泣きそうになったのですぐにごまかしてひとりでガッツポーズを取って笑いました。

 編集の間、僭越ながらお会いしたこともない りえ さんの声が聞こえたように思います。いきなりそれを言っても「はあ、そうですか」で終わりかねない。私は5万字に及ぶ加筆訂正された原稿をチェックするたびに、最後の最後にまつおさんがそこに気がつくように、誘導していきました。

 細かいニュアンスの表現を整えることでいかに、本全体の筋道そのものまでもが変わるのかを実感してもらいつつ、そういうこまかいところから、まるっきりまつおさんが気がついていな部分に関しては、ヒントだけ与えて全面的に書き直してもらいました。

 そして、私も確たるものは見えていなかったもの、新しい命がだんだんと見えてきました。まつおさんはみこちゃんのおかげといいますが、私こそまつおさんのおかげで、新しい命が宿っていくその過程を共有できたました。得難い経験だと思います。

 私たちは一つの本を誕生させるために、まだ未完成の本をあたかも完成した本であるかのように扱いました。その本来持っているべきで、しかし現在書けていないところを、ていねいにていねいにまるで考古学者が遺跡を復元するように、最初の原型、原石がなんだったのかを追求していきました。

 私が最初直感したものは、最初はその正体には気が付かなかったようですが、まつおさんも、この素材は何かを秘めているとすぐに気がついたようでした。

 連日徹夜で、チャットをしながら膨大な量の文章に息吹を与えてきました。

 そして誕生です。

 このランディングページは、この一冊の誕生までのまつおさんの人生が凝縮されたにもなっています。ぜひご覧いただけたら幸いです。一番下のボタンをクリックするとお求めいただけます。

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 画家ゆめのさんのエバンジェリストとして、活躍してきたまつおさん。この本によってまつおさんはゆめのさんのエバンジェリストであるとともに、作家まつお となりました。

 ゆめのさんの絵画に人生を救われたまつおさん。今度はまつおさんが、死を考えてしまうほど苦しみを抱えている、それを表には出さないで健気に頑張って生きている人を、絵画ではなくあなたの著作で救う番です。

 この本をゆめのさんに捧げるとともに、天国のりえさんに捧げてください。私たちは、声にならない声を確かに聞いた。それを言葉にできたと思います。

 みなさま、作家 まつお の本当のデビューを祝福していただければ幸に存じます。

みこちゃん出版代表 みこちゃん

                

 


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