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SNIDEL アイデザイナーEX05 「Ready For LOVE」

(この記事は旧ブログに2023年10月4日に投稿されたものです)

以前コスメを題材とするエッセイを書いたので投稿してみます。紹介しているコスメ自体は限定品なのでもう手に入らないのですが、是非読んでみてください。

(以前Instagram、Twitterにアップしたものと内容は同じです。今後はこういう最近買ったコスメに関するエッセイをブログに書こうかと検討中です。)

 SNIDEL BEAUTYの2023年バレンタイン限定色「Ready For LOVE」を購入した。中の色はもちろん、パッケージも通常版にハートが足された、バレンタインらしいものになっている。


SNIDEL Ready For Love

蓋を開けると、スナイデルらしい柔らかなマットカラーが3色(アプリコットベージュ、まろやかなレッド、赤みを感じる茶色)、シマーなカラーが1色(ゴールド寄りのシルバー)、煌びやかなラメカラーが2色(偏光パールを感じるホワイト、多色ラメが入ったピンク)の6色が入っている。


SNIDEL Ready For Love

そして、鏡にはこのコレクションのテーマでもある「Ready For LOVE」が赤色で記されており、見ているだけでもテンションの上がる一品になっている。


SNIDEL Ready For Love

 ところで、「Ready For LOVE」とはどういう意味だろうか。直訳すると「愛の準備」となるが、この言葉を見た時、私はぼんやりと、電車で見かけた「恋する準備はできていますか」的な脱毛の広告を思い出した。恋をする準備として、全身の脱毛をする。一見普通に思えるが、どこか違和感を覚える。一時期、動画配信サイトの広告として大量に流れていた「彼女がムダ毛を処理していなかったので別れた」系の脱毛広告と根本的には同じである。

 それらの広告が示す「Ready For LOVE」とは、「愛される準備」であって「愛する準備」ではないのだ。私たちを評価する相手に向けた無難なナチュラルメイク、脱毛済みの肌、手料理など、挙げていけばキリがないのだが、そういったことを「Ready For LOVE」としているのである。

 しかし、今回SNIDELが提案する「Ready For LOVE」は、「愛する準備」の方なのではないかと私は思う。このパレットには、煌びやかなピンクのラメや、まろやかな赤色、メタリックなシルバーが入っている。どれも以前であればモテメイクとされるメイクには使われなかった色である。十年前くらいの雑誌で特集されていたモテメイクは、いずれもベージュのアイシャドウとピンクのチークとリップを使ったものばかりだった。しかしここにある6色は、どれも1色で主役になるような、無難なだけでは終わらせないものばかりだ。

 つまり、SNIDELのこのパレットを使えば、旧世代的なモテである「愛されメイク」を乗り越えて、主体的な「愛するメイク」ができるのだ。誰かを愛するためには、まず自分を愛さなくてはならない。誰かに評価されるための「減点を減らすメイク」ではなく、自分を愛するための「加点を増やすメイク」を、このパレットでしてみたらどうだろう。腫れぼったくなるからと避けてきたピンクを上瞼に思いっきり入れてみてもいいし、モードな印象になるからと諦めてきたシルバーを主役にしたメイクをしてもいい。

 あなたの顔はあなたのものなのだから、そこにどんな色をのせたとしても、外野に何か言われる筋合いなんてないのだ。

 自分を減点しようとしてくる相手に愛される準備なんてしなくていい。私たちがするべきなのは、何かを、そして自分を愛する準備なのだ。自分を愛することができたら、それから愛する対象には性別も関係ないし、なんなら人間でなくたっていい。SNIDELのこのパレットが私に示してくれたのは、新しい、主体的な愛の形だった。みなさんはこのパレットから、どんなメッセージを受け取るのだろうか。

(紹介した商品)
SNIDEL アイデザイナー EX05「Ready For LOVE」

真下みこと

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