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【DoA 16JAcks】春雷のペペルの話

 TRPGシステム「Dead or AliCe」を使用した、16人集まって8ペア作って殺し合いして最後は1ペアしか残らないあどそんさん主催のデスゲーム企画「16JAcks」、開催中(2022年3月現在)です。詳細なルールや実際のログ、結果については上のゆふさんのツイートから辿れるリンクを御覧ください。
 この記事では、それに参加したキャラ、ペペルの話をします。まあまあネタバレです。今更ながら。

 相方のふぐりさんのキャラのnoteはこちら。

キャラデザイン

↑キャラシート


 今回のデスゲーム企画の特色と言えば、それは勝者が敗者の生殺与奪を決められること、そして『生かす』ことを決めた場合は、敗者を永遠に石化させられるということです。最初あまりイメージが沸かなかったのですが、そのルールを知って一番最初に考えたのは「良かれと思って相手を石化させて苦しめよう」というキャラでした。

 というわけで、「善人」がまずコンセプトになったのですが、この善人というのがなかなか難しい。ちょっとぼんやりとしすぎていますね。ぼんやりしすぎて最初に出てきた案は『善の妖精に頭を乗っ取られて善行しかできなくなった人間の救世主』というものだったのですが、自我がなさすぎてロールが難しそうという結論にいたり、ボツになりました。悩んだ結果、私が最も慣れ親しんでいる概念、「RPGの勇者」というアーキタイプを選ぶことになりました。そして、RPGの勇者をモチーフとしたキャラは前に使っていたので、その関連キャラクターにすれば、設定を考えるのも楽ですね。「言の葉の樹の下で(通称コトシタ)」というブラウザ交流ゲーム(多分5年ぐらい前?)で使っていた「春告の勇者プラーミャ」というキャラの関係者、「春雷の勇者ペペル」がこうして生まれました。春告の勇者はどういうキャラかと言うと、ざっくりと説明すれば魔王を倒しに旅に出た結果、色々無理なことをしてしまい自分自身も魔王「刹那の叫びの王」になってしまったというキャラです。それを倒すために新たな勇者となったのが、ペペルです。

 かつて勇者だったペペルの父親は、魔王プラーミャを倒すために旅立ち、戻ることはありませんでした。その後をペペルは追い、剣を取ったわけです。

鎧が必要だが、できるだけ鎧を描きたくないことが伝わってくるデザイン
くるっと巻いてる髪は、DQ4のアリーナとか女勇者とか、ダイの大冒険のアバン先生とか、そのへんをイメージしてます。なんかDQのキャラってこういう髪型多くないですか?
肩のトゲトゲは80年代感です
特にロール上で名前が出ることはなかった聖剣グラム。元ネタは皆さんご存知、竜殺しの英雄シグルズの剣ですね。カルト情報ですが、春告の勇者の必殺技の名前もグラム(怒り)です。彼女もまた竜殺しの勇者でした。
春告の勇者プラーミャ。まともな一枚絵はないよ
刹那の叫びの王。ドラゴンです

 ペペルの命名の由来は、プラーミャのセルフオマージュなのでパ行にしたかったのと、ピェーペル(灰)のもじりです。
 春告の勇者の直接の元ネタは10歳で母親を取り戻すために氷の魔王と戦うことになったピエトロ王子ですが、ペペルには特定のモチーフはありません。しかし一番近いのは、父親が死に、地の底の国に向かい、結局元の世界に戻ることはできなかったDQ3の勇者かもしれません。

 で、この16JAcksの優勝賞品ですが、救世主はなんと元の世界に戻れるんですね。この勇者であるペペルが堕落の国という救わないとやばい世界を放っておいて自分の世界に戻るのはどうしてか、ということはちゃんと決めないといけません。いろいろ考えた結果、「堕落の国は自分以外にもいっぱい救世主(ジャンさんもね!)がいるから大丈夫だが、自分の世界には自分しか勇者がいない」というのが対外的な理由、「母親が待っている家に帰りたい」というのが真実の理由になりました。かなりロールしやすいと思います。

 つまり普通のこどもですね。

 普通のこどもがなんで勇者をやっているの? という疑問が次に出てきます。それは周囲の期待や抑圧に応えた結果、ということにしておきましょう。特に堕落の国というのは、ただのこどもがこどものままで生きることを許される世界ではありません。勇者という物語にすがるしかなかったわけですね。キャラができてきましたね!

 本人は善良な存在であることは間違いないんですが、次第に自身の善良さそのものを武器にするわけです。完全にウソをついているわけでもないけどすべてが本当でもありません。そういう曖昧な大人への転落です。身体は勝手に敵を殺すことができるけど、本質的には普通のこどもに過ぎないので人を殺すことの現実は受け入れられていません。だから裁判の後も相手を殺したことを認識できていない……という初期設定があるんですけど実際の試合を見ているとなんか違ってますね? まあいいか。

 現実を受け入れきれないこどもなので物事への解像度が低く(感動的な試合だったね)この点でロールにかなり苦労しました。意図してズレた発言するのも大変。頭の悪いキャラって頭のいいキャラより大変だというのが私の持論です。もちろんペペルはわざと自分の頭を悪くしているのですが。自傷も含まれています(ジャンさんへのヘルプサインですね)。というかズレた発言はだいたい自傷ですね。2回戦裁判とか徹底しきれず私のいつもの感じになってます。あれは半分発狂しているものとして考えてください。

 それと普通のこども性として、『女の子』として見てほしいというのがあります。これは誰かと恋仲になりたいとかそういうのではなく、ただ『女の子』になりたいだけです。それがわかりやすく出たのが例のシーンです。イメソンはPrincess Brave!です(彼は真顔で書き終えた)。

 ペペルの肉体的な性別はロール上で最後まで明示されることはありませんでしたし、最後まで明言しないことにします。そのほうがよいでしょう。

勇者なのでタンスを漁っています

 そういうキャラと、頭が良くて空気が読める末裔が組んだらどうなるかというと、まあああいう感じになるわけです。かなりわかりやすいヘルプサインを発しているのに完全に無視されるこどもという図の出来上がり。あとは定められた破滅へと向かっていくだけです。いや、勝ったらもうちょっとマシにしていくプランはありました。マシって言っても、まあマシな破滅なんですけど……。でもすべての物語の終わりって、どれも少し色合いが違うだけの破壊ですよ。

 個人のキャラメイクとしてはこんな感じです。

全体のなかの103号室


 103号室のペアとしての演出意図は、16JAcksの前身の企画である16Alicesのチカマキペアの影響が大きいです。今回もやる気が十分なペアが揃うことは予想できたので、1ペアぐらいは殺しに消極的な組がいると際立ってよいかな、と思いました。みんななんだかんだ死にながらくっつくと思うので、死んでもくっつかないペアも。

 また、本編一回戦終了時はかなり前向きorキレイな形で退場していく敗者しかいなかったので、死んだり石化したりのが本当にイヤなペアもいてほしかったので、自分たちが敗けたときはそうしようと決めていました。そもそも、死んだり石化したのに未来への希望を感じさせたり、潔く自分の終わりを受け入れられたりする人って、イヤじゃないですか? 私にはそういうのは無理なので、イヤだなって思います。103号室がイヤなんじゃなくて、103号室以外の全部がイヤなんですよ、私に言わせれば。死と絶望と悪意に満たされた堕落の国(デスゲーム)において、103号室は“真実”なので……(※話半分に聞いてください)

みなさん恥知らずですね

 だから一人ぐらいは醜く死んでもらわないと気がすまなかったし、自分のキャラがそれを引き受ける必要があるならそうするという話です。引き受ける、って言ったけど醜く散る人は何人いてもいいですよ。みんな醜く死んでください。そのほうが寂しくないので。かっこいいキャラたちが、醜く散る様子こそが、私の乾いた心をわずかに慰めてくれるのです。

(※このあたりは完全に悪の心に支配された発言なので、真に受けないでください! それぞれの終わりがそれぞれの“真実”だというのはわかってますよ! ほんとに!)

こんなキャラ二度とやらねえ

 こういうキャラやってると内面にペペルが住み着いてしまうので他の試合の結果を全然素直な気持ちで見れなくて大変です。あと死後ペアのいちゃいちゃIFとかもできないし大変。キャラが死んでからの人生のほうが長いんじゃ。こんなキャラ二度とやらねえ。毎回言ってる気がする。

 あとこの手のロールは相手が“わかってくれない”を貫いてくれないと完遂できないのでそもそも二度とできない気がします。貴重な機会でしたね~。どっちが偉いとかはないと思うんですが、ペペルへの無理解のロールを貫き通したジャンさんのほうが多分大変だったような気がします。ジャンさんがあんな感じじゃなければ成立しないロールを色々やらせてもらいました。本当にありがとうございました。

未練

 やりきった感あるエピローグでしたが未練や悔いややり残したことはいくらでもあります。後からいろいろ思いつくんですよね。第一に勝てなかったのが悔しいよ。一つ一つ並べていたらキリがないのでやめておきます。
 一個だけ上げるとしたら、こんな終わりしかないのがわかり切ってるのに生かす選択をした108号室についてはどうして? と純粋に疑問なんですが普通に聞きそびれたことぐらいですかね。まあ、そのへんは104号室がなんとかしてくれるはず。頼んだぞ。104号室……! 俺たちにできなかったことをやってくれ!(巫女瓜は104号室びいきです)

いかがでしたか?

 決勝戦のみんながんばれ~! みんながんばって……みんな苦しんで死ね!


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