私たちの忘却の旅

2019年8月18日 08:42

私たち夫婦は、つらいことがあるとすぐに現実逃避の旅に出る。

旅はいつも幻想的で、あまりにも眩しくて。気がつけば、たくさんの辛い現実を忘れさせてくれた。

それでも、旅にはかならず終わりが来る。

現実に戻ると、途端に不安に襲われる。

結局は悩みや不安の種を潰すかどうかは自分次第ということもわかってはいるが、受け入れられない。

不妊治療3年目。

まだ私は、隣の芝生と同じだと思いたい。一般的な「普通」の女性だと信じていたい。枠から少しでも外れると、もう戻れないのではないか。

そうして少しずつ現実逃避を繰り返し、どんどん自らの手で希望をなくしてきた。

後悔しても、逃げた時間だけ取り戻すことは困難と感じ、壁にぶち当たるたび逃げ、現実に戻るたび嘆くことを繰り返す。

なぜ学ばないのだろう。なぜ変われないのだろう。

悶々とした気持ちを抱え、私たちは手を取り合う。

そして、少しでも苦しみを解き放つために、私たちはまだ見ぬ致景を求め旅に出るのだ。

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