私の理想のトイピアノ


私がトイピアノ好きなのは、ミニチュアとかドールハウスなど、小さな世界に惹かれるから、というのもありますが、「ギターへの憧れ」も多分にあるように思います。

 ピアノを習っていた小学生の頃、クラスの担任だった先生(女性)は、クラシックギターを習っている方でした。それで、先生は休み時間によく、ギターを弾いていました。あの姿は、今思うと、教育上、私には意味深いものがあったように思います。教師という側面よりは、「ギターが好きで弾いてる」、という面に、先生の人間味や個性が溢れ出ていたように思えたからです。教師が、教壇に立つ以外の姿から子供に影響を与えることは、意外と大切なのかもな、と思います。先生がギターを弾き始めると、すぐに何人も子供たちが集まってきて、「先生、○○弾いて〜」、と、いろんな曲をねだって弾いてもらうこともありました。私のリクエストはやっぱり、「禁じられた遊び」が多かったかな。大きくなってギターの名曲は、他にもたくさんある、と知りましたが、当時はそれしか知りませんでした。 
 それでもやっぱり、「禁じられた遊び」、は、ギターの名曲をいくつか知った今でも、大好きな曲であることには変わりありません。あの有名なイントロはもちろん素晴らしいのですが、私はBメロが出てくるところが大好きで、この曲の素晴らしさは、この類希なる転調にあるのでは、、などと思っています。
 
 当時の私は何より、ギターの、「弾いてると周りに人が集ってきて輪ができる」、ってところに、すごく憧れていましたね。ピアノって、ギターに比べると、ちょっと、弾いてる人と聴いてる人に壁や隔たりがあるような感じがするんですよね。たとえば、ストリートピアノなんかのまわりに、ものすごい人だかりができてたとしても、やっぱりギターの輪とは違う感じがします。

 また、担任の先生は、日々の通勤でいつもギターを持ち歩いていたので、「持ち運べて、どこでも弾ける」という、その身軽さにもすごく憧れました。「ギターを背負った渡り鳥」なんて映画がありましたが、その、「楽器と一緒に風に吹かれてさすらう感じ」、いいなあ、それに比べてピアノのデカさ、重たさよ、、と思い、私は子供心に、「私も、先生みたいに持ち運べる楽器を習えば良かったな。」と毎日のように思っていました。

 最近は動画投稿サイトにもストリートピアノの演奏動画や、テレビ番組でも「ストリートピアノに密着!」というのもあって、「さすらいのピアニスト」、というべき存在の方もきっと存在してると思うのですが、「マイピアノと一緒にさすらってるピアニスト」ってのは、やっぱりインポッシブルドリームなのかな、と思います。

 ファンタジーの世界では、魔女がほうきに乗って飛ぶ、みたいなのありますけど、、私は究極的には、ギターに乗って飛んだり、ピアノを乗り物にして、世界中旅する、というファンタジーに憧れるんですよね。

 そんなわけで、私が憧れるトイピアノ、というのは、おもちゃとしての存在、というより、生ピアノなんだけど、ギターの代わりになるような、一緒に旅して、気軽にいろんな音楽を奏でられるような存在。そして、弾いてると周りに輪ができて、周りの人たちと一緒に楽しんだり歌ったりできるような存在のもの。
 そういう意味では、現在アコーディオンが担ってるような役割に、ちょっと近いのかもしれない。でもやっぱり、アコーディオンじゃなくて、あくまでもピアノ的に両手で旋律を弾きたいんだよなあ。。

 そんな理想のトイピアノに出会いたい、と思い続けて40年。まだ、一緒に旅して、アコーディオンやギターみたいになってくれるトイピアノには出会えていないように思います。いっそ、自分で作れたらいいんだけどなー。。

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