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紙で情報を伝えること

久しぶりにヒリヒリする紙のお仕事をさせていただいた。

誌面をコピー機で刷り出して、
赤のボールペンで推敲する。
間違ったら大惨事
(クレームのもと、刷り直し、印刷部数分の修正シール貼り)
になる情報部分を一文字一文字チェックして
それでも心配で、なんども読み直す。


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わたしが、出版社に入った15年前は、
情報といえば、まだまだ紙媒体が主流だった。

写真は、ボジフィルムで、
小袋に一枚一枚フィルムを切っていれて
ダーマト(芯にワックスを多く含んだ色鉛筆)で
袋に番号を書き込んだ。

出版社に入った2日目は、ポジフィルムを保管してある倉庫で
ポジフィルムの並べ替えをさせられた←
1日中、引き出しにしまわれたポジを
出しては眺め、出しては眺め。
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1ページの原稿を作るのにも
手間隙は半端ない。

プロのカメラマン、ライター、取材先と
取材日程を合わせ、打ち合わせを重ね、
ラフデザインをつくる。

取材にも1〜2時間かけ向き合う。
カメラマンさんも、ボジフィルムだから
やり直しがきかないから、1カット1カットが勝負。

写真屋さんに、現像をお願いして、
決まった時間にとりにいって、カメラマンがセレクトする。

カメラマンから受け取った写真を、
一枚ずつ、スキャナーで読み取って画像化。

ライターさんから上がってきた文章と
スキャンした画像
手書きで書いたサムネイルと合わせて
デザイナーさんに渡して。
電話して、ひとつひとつ、説明して。
(画像が重い時は、自転車にのってUSBを届ける)

デザインのあがりを待って、
また、プリンターで刷り出して、
一言一句文字を確認して。

赤字で書き込んで、
スキャンして、
デザイナーさんにメールして、
電話して説明して、
あがりを待つ。

取材対象者に原稿を見せて、
チェックを待って、
修正を書き込んで、
デザイナーさんに渡して、
電話・・・

印刷屋さんへ入稿するために
紙を刷り出し、写真と紙にアイバンをふって添付。
気付いたら深夜2時とか。
そんな時間まで、待っていてくれた印刷屋さんに渡す。

2日後とかに、色校正(色をみるための仮印刷)を
チェックして、ダーマトでC-とか、CMYKの指示を書き込む。
そんなこんなで1ヶ月。

一つの情報を届けるのに、
1ヶ月の時間を費やしていた。
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今思えば、無駄な行程はたくさんあるのだろう。

WEB媒体や個人発信のSNSが主流の今は、
取材して、ミラーレスで写真撮って、
自分でアプリで加工して、SNSで校正確認して、
その日にアップ。
最悪、間違いは、いつでもすぐに修正できる。

コンパクトな制作手順だけど、
紙よりも、情報はつたわっていく。
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レトロを尊ぶノスタルジーだと思うけど、
情報を伝えることに渾身の力を注いでいたし、
ひとつの情報にたくさんの人と時間が費やされていた。
ひとつの作品を共同制作する感じだった。
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情報発信ってなんだろう。
最近、ずっと考えている。

やっぱり、紙媒体が好きだと
あらためて思った。












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