見出し画像

もしも願いが叶うなら、私はヲタクに戻りたい

なかなか意味のわからない悩みだと思うが、数年前からずっと思っている。

私は、ヲタクに戻りたい。

ニコニコでしょーもない替え歌や好きなアニメのMADを漁り、休日は好きな声優の絶版キャラソンCDを手に入れるためだけに1日中ブックオフを徘徊、登下校中はアニメのラジオを聴いてこぼれ出る笑みを俯きがちに隠し、夜な夜な好きなキャラクターを模写し、買いたてのコピックで色ぬりをしていた、あの頃に戻りたい。

私は、この世で1番幸せな生き物はヲタクだと思っている。

どんなにリアルが辛くても、悲しい出来事があっても、『好きなもの』は裏切らない。『好きなもの』のことを考えるだけで心がポカポカとするし、お金を注ぎ込む対象があるというのはそれだけで満たされることでもある。

しかし、悲しいのが、当のヲタクたちが己の尊さに気付いてないところだ。

失ってから気付くなんとやらで、不思議なことに、一度沼から這い出てしまうと、情熱はもう戻ってこない。

そんな風にして、うっかり脱ヲタしてしまった私を待ち受けていたのは、リアルという名の荒野だった。

二次元という逃げ場を失い、情熱を捧げる対象を失い、社会と人間に振り回されながら、『私が好きなものってなんだっけ?』と流行を手当たり次第掴んでは、摩耗する日々を送った。

一度、私の質問箱にこんな質問が届いたことがある。

『私はヲタクです。毎月毎月推しのグッズが出る度に買ってしまい、金欠です。もう良い歳なのだから、洋服や美容にお金をかけなければいけないと思いつつ、買ってしまいます。ヲタ活をセーブした方が良いのでしょうか。』

私はすぐさま返事を送った。

『本当に好きなものだけは絶対に手放しちゃダメ』と。

ヲタ活は、熱狂だ。

ありったけのお金を注ぎ込み、愛を注ぎ、応援をする。

そこまで夢中になれるものを持つ人が、この世にどれだけいるのだろう。

ヲタクたちは気付いてないかもしれないが、実は、何かに熱狂するのは簡単なことじゃない。

何なら、『趣味がない』という人にとって、好きなものに打ち込み、ライフワークとしているヲタクたちは羨望の対象に違いない。

かつて、ヲタクは『キモいもの』として非難されてきた。私も自身のことをキモいと思っていたし、どうしてこんなものが愛しくて仕方がないんだろう、と悩んだりもした。

でも、今は違う。

街中を走るバスのラッピングや当たり前のようにされる実写化とアニメ映画化、コンビニとのコラボレーション、堂々とコスプレが出来るイベント…世の中はこんなにもヲタクに優しくなった。むしろ、ヲタクを中心にして経済がまわっていると言っても過言ではない。

これから生き残るのは、そんな『偏愛力』のある人たち。つまり、ヲタクは最強だ。

だから、卑下する必要なんてない。やめる必要なんてない。普通の人になりたい、なんて死んでも思わないでほしい。

全身全霊を捧げられるほど何かを愛せるお前がナンバーワンだよ!!!

サポートは牛乳ぷりん貯金しましゅ