タカシ君(仮名)と俺

割引あり

当時のエロ雑誌事情。

こんなツイート(ポスト)をしたのだが、ふと昔の事を思い出した。
昔の事なので時系列がちとあやふやであるが可能な限り思い出して書きたいと思う。

独身の頃に住んでいたマンションで起こった出来事だ。
当時、30代前半で独身貴族を謳歌しており仕事柄エロを取り扱っていたので、我が家にはエロゲ雑誌やエロ本が大量にあったのだ。

2000年代初頭はまだ現在とは比べものにならないくらい紙媒体、いわゆる雑誌が強くエロゲ業界でも専門誌がいくつも発売されていた。
ゲームも年間1,000タイトル以上出てたしね。勢いがあった時代だった。

そんな訳で毎月会社に雑誌が送られてきたり、なかでもコアマガジン社(現存する数少ないエロゲ雑誌メガストアのトコ)は実写系のエロ本も取り扱っていたので、営業に行く度にお土産に大量のエロ本をもらえたのだ。
何故なら俺は目線の入ったエロ本が大好物だったからだ。(突然のカミングアウト。)

昭和生まれのオッさんとしてはサブカルチャーのなんたるかは全てエロ本から培ったと言っても過言ではない世代なので、このお土産目当てにメガストアに用もないのに行ってたまである。

今まで言わなかったが、そもそもmilktubの出時も創設者である当時のメンバー遠玉竿が、今は亡きエロ漫画雑誌「ホットミルク」のイラスト投稿常連で、そこから派生してmilktubが生まれたと言っても過言ではないのだ。
(俺の似顔絵とか投稿しやがってそれが掲載されりしてた。あとなんかの生原画が当選した際に俺の実家の住所で送ってやがって家族会議になった事がある。)

で、もらった本は当然溜まる訳で、溜まると廃棄しなければならない。
住んでいたマンションはゴミ集積場が敷地内にあり、そこに24時間自由に捨てられた。ある程度溜まったらビニール紐で厳重に縛って捨てていた。

雑誌の紛失とその犯人

俺は自分の生活範囲については程々に綺麗好きではあるので、頻繁にゴミを捨てていたので集積場にしょっちゅう行っていたのだが、ある時に気がついた事があった。

捨てた本がなくなっている事に。

きっちり縛って捨てたはずなのに、何冊か抜けてて雑誌の束がふにゃついてたのだ。
最初気にも留めなかった。
しかし、最初は数冊抜かれていた本の束が、しまいには昨夜捨てた書籍ゴミの束が、翌朝にはそれごと消えてしまう事態になっていた。

住民の誰かが拾ってんのかな。
と最初は思ったが、とはいえ東京砂漠。当時は現在より輪をかけて胡散臭い出立をしていたので、入居者数の多いマンションであったがさほど近隣住民とは付き合いがなく、不審者扱いされないように管理人やEVに住人と乗り合わす際に挨拶だけはキッチリしてたが、さして近隣住民に興味もなかった。
東京に住んでる一人暮らしなんざこんなもんだろう。

ある日、いつものようにゴミを捨てに行った。
機材だかを買ってダンボールを廃棄する為ゴミの量が多かったので2回に分けて運んだ。
1回目に生ゴミや書籍ゴミを捨てて、2回目に両手一杯のゴミを持ち集積場に行くと、学生服を着た子が集積場にいた。

なんと彼は俺の捨てたエロ雑誌のゴミを手にしていたのだ。

彼と目が合ってしまった。
俺は「あぁ。この子だったか」ぐらいだったんだけど、あっちとしては「しまった!!!!やばい!!!!見つかった!!!!」というぐらいの心境だったのだろう、顔がいささか青ざめていた。

その昔、中学生ぐらいの時に松戸の郊外にあったエロ本自販機で深夜にエロ本を買った時に、本が出てくる際に謎に大きなブザーが鳴って心臓が破裂しそうになった事があるんだが、その時の心境を思い出した。
(アレ、ブザーの音と出てくる本の音で二度ビビるよね。)

無言でゴミを捨てて部屋に戻った。
「あれぐらいの年齢だったら、そりゃ落ちてるエロ本あったら拾うわなぁ。」ぐらいで考えていたが、そこから派生して「親に見つかって入手先を問い詰められたらゴミ捨て場で拾ったと供述するだろう。すると捨てた住人が誰か疑われたら高確率で俺になるのでは??」と思ったのだ。

これはいかん。
いかんすぎる。
世間体はさほど気にしないが、商売的にやりづらくなっても困るし、なんだったら業界や会社に迷惑かける騒動になっても嫌だなと。

とはいうものの、溜まった雑誌を廃棄できないのも困るので、悩んだ結果、新聞をわざわざ買ってきて新聞のゴミに偽装して捨てることにした。
ゴミ捨てるのにわざわざ新聞買わなきゃいけないのか俺は…と思わなくもなかったが、余計なトラブルは御免なので仕方なく縛った本に新聞紙を梱包して廃棄するようにしたのだ。

だが、その偽装したゴミすら無くなっていたのだ。

むしろ、外からわからないように丁寧に梱包したギフト状態でお持ち帰りしやすいようにしてしまったのだろう。
もはやこれは彼にとってのとっておきの逸品ギフトになったのでは??
雑誌は縛って廃棄するというルール上、ダンボールなどに入れる訳もいかず、どうしたもんか思案してた。注意するにしても俺みたいな胡散臭いのに注意されて変なトラウマになっても困るしなぁと。

ふと、ここで「一回観察してみるか。」と考えたのだ。
戦は相手をよく調べてからが勝負ってインターネットで言ってたし。

中学生観察日記

ゴミは資源ごみの回収が火曜なので前日の毎週月曜の朝に出すようにしていた。
そして火曜日の朝には消えて無くなっている。
犯行(って程でもないが)は月曜朝〜火曜の朝までに行われていた。

俺が早朝の出社前に捨てた後に回収をしている事と、廃棄の模様が室内(orベランダ)から確認できるポジションに住んでいる事がわかる。
ここで角度的に大体の部屋が絞られた。

まとめて捨てる雑誌を小分けにして、彼が回収する正確な時間帯を調べることにして朝に廃棄してから3時間毎にチェックを行った。
途中で「俺何してんだろう…。」と思わなくもなかったが、このストーカーチックな行動で、おおよそ夜の9時〜11時ぐらいの間に回収が行われている事が判明したのだ。

当時の俺はイカれていたので、この為にExcelでグラフとか作ってた。
廃棄する本の種類も「二次元」「三次元(実写)」で区分していたのだが、当初全ての本が無くなっていたが、その内「三次元」の本だけが残り、それを更に別人が拾っていることがわかったのだ。データ化&調査する事によってわかる事もあるのだな…と無駄に感心した覚えがある。

俺が廃棄。

中学生が二次元関係の本を抜いて持ち帰る。

謎の人物(X)が実写系の本を持ち帰る。

という図式だった。なんだよこの生態系。
この調査に1ヶ月はかけた記憶が。
(なおセンチメンタルグラフティーのクラウドファンディングキュレーターをした際に、TwitterXの公式垢とキャストの垢から無作為にフォローしてる1000垢ぐらい抽出してそれらの数ヶ月分のツイートをチェックして傾向対策を練った事があるので、この程度は苦労のうちに入らない。)

謎の人物(X)についてはすぐにわかった。
上の階に住んでた職業不詳の独身の奴だった。
こいつに関しては特に注意もしなかった。まぁ行動は褒められたもんじゃないけど、成人してるし、まぁいいかと。ただテイクだけ受けてギブがねえのは気に食わねえなぁとは思ったが。(意訳:お前のおすすめも俺によこせ)

問題は「二次元の本ばかりゴミから抜くようになってしまった中学生」である。
元来の素養があったかもしれんが、よもや俺が捨てた本で二次元性癖への扉を開いてしまうとは思いもよらなかったからだ。

回収する時間が割れたとはいえ、何をどう言ったもんか悩んだ。
「捨てたもん拾うなよ。」というのは簡単ではあるのだが、自分が小中学生の頃に公園や河原に謎に落ちてたエロ本の事を思い出した。

植物じゃねえんだからエロ本が自生する訳もなく、不法投棄した奴がいるからこそ、そこにエロ本が落ちていた訳で。
それを見つけた中学生の俺らはトレジャーハンターとしてある種の成功体験を味わっていたのだ。そして女体の神秘という未知との遭遇を果たした訳で…。

当時話題になっていたこのエピソード。覚えている人はいるだろうか。まんまコレの状態。
引用元:うさくんさん

大人としては注意しなければならないのだが、その系譜を閉ざしてしまっていいのか?次世代に繋がなければならないのでは??でも不審者扱いされるのも嫌だし…とよくわからない謎の葛藤をしていた。

でも、何かしらのアクションを起こさなければならない。
このまま放置したのでは俺がなんらかの罪人(というか槍玉)になってしまう可能性があるからだ。
抱き枕振り回して歌うとかやる事ァ派手でも、実生活はひっそり生きていきたいんだよ俺は。
散々悩んだが、俺はいよいよ中学生と直接話をすることに決めた。

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