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ちょっと長めの図書紹介⑭

本書の著者は、
「学校づくりのヒント」(スマートスクール)
──子どもたちとの
“あったかい”関係のつくり方──を連載中
わたしも
──ヤナギサワ事務主査と考える
学校とお金の話──を連載中の【スマ友】
■https://www.smartschool.jp/contents/school-build-hint/index.php?sear

さらに著書も
『隠れ学級崩壊』と拙著『隠れ教育費』という
【隠れ友】でもある(一方的だがw)
■http://www.tarojiro.co.jp/product/5935/
じつは、『隠れ教育費』の少し前には
『隠れ保育料』という先輩もいる(笑)。
■http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ka/0978.html

「隠れ学級崩壊」とは──
「子どもたちが、
 教室内で教師の指示・指導に
 従っているように見えるが、
 主体的に学ぼうとする意思がないなど、
 未来の創り手としての
 子どもの資質・能力が育たない状態に
 なっていること」(p.019)
と整理されている。

ついでに「隠れ教育費」とは──
「ひとりの子どもが
 学校に通うために必要とされる教育費、
 その総量を本人や保護者、
 さらには学校関係者でさえも
 よくわかっていない」教育費(広義)
「制服などの指定品、裁縫セット、雑巾、
 工作や調理実習に使う材料などの消耗品
 家庭にあるものか、
 購入して持参することが前提で
 単発的に必要が生じ、
 特に見えにくい」教育費(狭義)
と整理している(「隠れ教育費」研究室)
■https://kakure-edu-cost-lab.com/

本書の構成は以下の通りである。
「隠れ学級崩壊」に関する
理論的考察(第1章)から始まり、
その対処法を紹介する実践編(第2章)、
そして「隠れ学級崩壊」が起きないように
未然防止対策としての発展編(第3章)も
用意されている。

特に第2章の実践編では、
「隠れ学級崩壊」に立ち向かうための事例を
「場面・子どもたちの様子・
 問題の要因・解決するために」(p.049)と
着眼点を区切って説明されている。
「隠れ学級崩壊」から
脱却するための処方箋として使えるだろう。
じつは『隠れ教育費』も
問題に立ち向かうスタイルは似ている。
「実態・歴史・理念・対策」の視点である。
……そろそろ共通点を用いたとしても
  シツコイとツッコミが来るだろうか……

それでは、内容面の紹介に移ろう。
いま学校では
「問題として認識されやすい
 学級崩壊とは違い『隠れ学級崩壊』」が起き
「表面上は大きな問題があるように
 見えません」という指摘(p.019)──
換言すれば、
「授業が成立しない状態」という崩壊から
「資質・能力が育たない状態」という崩壊へ
シフトチェンジしてきたといえる。
いままでの
「荒れ」(p.020)を起因とした
「学級崩壊」は見えやすく対処しやすいが
「隠れ学級崩壊」は言うまでもなく
見えにくく、対処も難しいとされている。
「生徒の脈拍から
『集中度』を割り出している」──という
ニュースもあり、これもある意味で
「隠れ学級崩壊」発見装置かもしれない。
しかし、その方向ではなく本書の
「☆『隠れ学級崩壊』
 チェックリスト」(p.026)を使い、
学級のいまを
客観視することから取り組むべきと考える。

第2章の実践編は
「隠れ学級崩壊」対策の処方箋と書いたが
本書全体はそれに留まらない。
処方箋も兼ね備えた
授業改善に向けたヒントを提供してくれる。
「隠れ学級崩壊」を防ぐための処方箋は、
主体的・対話的で
深い学びの実践とも言い換えられると思う。
文科省が提唱している
「アクティブ・ラーニング」や
「個別最適・協働的な学び」の視点から
授業改善を考えることは
「隠れ学級崩壊」を防止することにも
繋がっていくだろう。
主体的・対話的で
深い学びの促進にも効果的な一冊である。
「隠れ学級崩壊」に悩んでいるひとに留まらず
広く手に取ってほしい本である。

最後に紹介したいのが
「隠れ学級崩壊」が増えている要因である。
著者は3つに整理している(pp.027-045)。
 ・社会と子どもの変化
 ・教師の指導力
 ・余白(時間や心)があるかどうか
これらに「隠れ教育費」の視点も加えたい。
じつはこのことに言及したいがために、
冒頭から『隠れ教育費』を登場させていた。
決して宣伝目的では……な…い──。

新自由主義社会や子どもの貧困問題
余白としてのお金という視点も関係してくるが
家庭の経済状況と
子どもの落ち着きや集中力、
授業に向き合う態度などは関係している──
そんな仮説が立つように考える。
経済的安定は心身的、心理的安定に繋がる。
事務職員と学級崩壊は少々遠い存在だが、
「隠れ教育費」の視点で捉えると
あながち遠いとも
いえないことを感じることができた。

このように「隠れ」『学級崩壊』と
「隠れ」『教育費』の繋がりも考えられる──
この機会に読んでいただければ幸いである。
さて、どちらの図書紹介だか
わからなくなってきたので閉じよう(笑)。

若染雄太さま、
いつもご恵贈ありがとうございます。

#学級崩壊
#学級問題
#GIGA
#個別最適な学び
#協働的な学び
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https://www.gakuji.co.jp/script/bkDtl.php?prodid=978-4-7619-2929-9

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