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おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 47 望み

タジキスタン ドゥシャンベ 2日目 
2023.0819 Sat

告白しますが、30代の前半くらいまででしょうかね、わたしは自分のことを優秀な人間だと思っていました。
調子が良いときは口が上手く、人を笑わせることが好きです。いわゆるブルーカラー系の仕事は基本的に得意で、それ以外でも広告の、特にコピーライティングの仕事が大好きでした。
自分のできない仕事、たとえば事務や経理などのコツコツ積み重ねる仕事、そして営業職は、「んなもんオレ以外の奴らがやったらええねん」くらいの態度でした。理系職は端から論外です。これはさすがに自分にはできないと知っていましたから…。

ですが年齢を重ねるにつれ、自分が優秀ではないことに気づき始めました。
計画を立て、その通りに進行する。クライアントに理不尽なことを言われても、笑顔で受け流しこちらのプランを押し通す。多少の“付き合い”を許容する、などなど…。自分の不得意な面をようやく認識し始めたのです。
性格に関してもそうです。早寝早起きができない。片付けや掃除ができない。基本的な生活習慣が驚くほど身についていないのです、残念ながらわたしには。くわえて、長いスパンで人生を設計する、などの長期的な視野が決定的に欠けています。

“踊るのは好きだけど、踊らされるのは嫌い”などと尖ったことを言うつもりはないのですが…。やっぱり自分で運転して行くってのが好きというか、性に合っているんですよね。

今回のタジクのチャリ旅でも、その悪い面がいかんなく発揮されています。
最大の要因は計画を立てていないこと。端的に言うと準備不足ですな。
無知から来るリスクの過小評価。情報が少ないのはしょうがないにしても、それでももっとやり方があったのではないか? そう思います。
2日前は見知らぬ村外れで野宿しましたし、昨日は時間的に山の頂上で野宿するしかなくなり、やむを得ず人生初のヒッチハイクをしました。奇跡的に気の良いおじさんと兄さんに拾っていただき、事なきを得ました。そして、翌日の目的地ドゥシャンベの60km手前の村で、地元の名士に食事と寝床を無料で提供していただきました。

わたしが言うことではないですが、地元の名士はこういう善行をどんどんすべきです。
そうすることにより、地元の株が上がり、ひいては国全体の格が上がるのですから。

結果オーライと言えばそれまでですが、それは万事を尽くした末の人がいうことです。わたしの場合は“9月末の富士山をTシャツとジーンズでアタックした末の遭難”みないたもんですから…。迷惑極まりない行為なのです、おっさんのくせに。

今回の計画で一応の正解は、“ドゥシャンベまで乗り合いタクシーで移動すること”です。そしてドゥシャンベで情報を仕入れ、「イケる!」となったらそこで自転車やテント用品を購入する。それからアタック開始です。
実際のわたしは、ウズベクのサマルカンドで衝動的に自転車を購入。そこから4日かけ、人様の助けを借りまくって、人様の優しさに全力で甘えながら、どうにかこうにかドゥシャンベまでたどり着いたに過ぎません。

どうしようもないときに人様に頼るのはアリですが、初めからそれを当てにするのはちょっと抵抗がある訳で…。ボクはそんな風に考えてしまう人間な訳で…。

それとは別に、もう一人のわたしはこう言います。
「んなもんしゃーないやんけ! おまえが阿呆なんはおまえが一番よう知っとることやろ」
上手く生きられないのはとっくの昔に気付きました。阿呆なのももちろん承知です。もともと人様に迷惑を掛けながら生きてきたのです。だから、せめて謙虚に生きようとしているのです。
それと同時に、どうせ生きるのなら “笛を吹いて” 生きたい。
わたしは楽しむために、この旅を始めました。
辛いことがあるから、楽しいことがある。そういう風にわたしは考えてしまうのです。
極論、汗をかくからビールが旨くなる、みたいなもんですね。

「あなたの旅が成功することを願っています」と翻訳アプリを使って伝えてくれたタジク女性。
この旅に出発した時点で、わたしの旅は成功しています。少なくとも、そう思ってこれから生きていきます。

タジクでのチャリ旅、どうなるか予想もつきません。が、どう終わっても良いのです。わたしはわたしなりに精一杯その日一日を過ごしています。それは、日本での倦むような毎日の中で、ずっと望んでいたことでした。

上手くやろうなんて高望みは、もうこれっぽっちも持っていません。
下手こいて、恥かいて、辛い思いをして、それでも素晴らしい瞬間があるかもしれない…。その瞬間を目指して、わたしは旅を続けますし、生きていこうと思います。

一つ思うのは、この旅を始めてわたしは表情が柔らかくなっています。
それって、すごく嬉しいことなのです、わたしにとっては。


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