生後8日目の手
10月6日(金)
朝起きてウーちゃんとルーちゃんのお世話をしてカカオにご飯をあげる。修一郎の朝食を用意する。
両親からメールが来ていた。
開いてみると、昨日話していた、私の生後8日目の手形の写真だった。ちっちゃい。
生まれた日の記録と、赤ちゃんのために用意したものを書いた写真もあった。小さな赤ちゃんだったんだな。おむつは59枚も用意してくれていたんだ。
うれしかった。生まれてきたことを喜んでくれているのが伝わってきて じーんとした。
病院へ行く時間が近づいていたので、電話はせずメールの返信だけする。
診察が終わり、家に帰るとすぐコープのNさんが食材を運んでくれた。
続いてグリーンコープさんの元気カーがやってきた。買い物かごを持って出かける。
Uさんも来ていた。「来たよ。」と言いながら、かごにお刺身を入れた。うれしそうだ。
レモンさんもやってきた。おしゃべりしながら瓶に入ったおいしい牛乳をかごに入れる。
お会計をしてもらっていると、チャイさんがやってきた。チャイさんは今週いっぱいお休みをもらっている。長い出張でくたびれたらしい。
「みるさん、昨日夕方いなかったね。」と、チャイさん。
「夕方?あっ、ごはんさんとお散歩してたんだよ。」と、私。
「寂しくなって、ぷりんちゃんと海に行ったよ。」
と、泣く真似をしてチャイさんが言った。私は笑った。
「夕方から海に行くなんて素敵だね〜どこの海に行ったの?」と聞くと、
「若松。」と。
「若松〜〜!」と、私。
「もっと近くに たくさん海あるのに、若松に行ったんだ〜。」と言うと、
「みるさんもいっしょに行く?」とチャイさんが言ったので、
「行く行く!今日?」と両手を ぶんぶんしながら言った。
「うん、今日。あっ、ぷりんちゃんが体調良かったら。」
「うん、わかった!」
若松かぁ。
福岡に引っ越してきて20年。若松には1回だけ行ったことがある。
引っ越してきてすぐに若松税務署に行った。車の運転を始めたばかり。税務署の駐車場にバックで駐車していて、壁に当たった。ドゴッと言う音がした。当時は中古のパオに乗っていた。
ガードマンの人が走ってきた。
「ごめんなさ〜い!当たっちゃったぁ。」と言うと、
「あ〜、ほとんどキズがついてないから、いいよいいよ。」と言ってくれたことを思い出した。
その1回きり。
家に帰って修一郎に話す。たずねる前に
「私は行かないからね。みる、行っておいで。」と言った。
早めに夕食の用意をする。
電話が鳴った。知らない番号。
「もしもし…。」と女性の声。聞いたことがあるような気がする。
「お久しぶりです。Sです。」
「あーーーSさん!お久しぶりです!」
絵の依頼と、ちょっとした相談だった。
作画に取りかかれるのは来年の春以降になることを伝える。
そのあと、ネパールの知らない人から写真が送られてきた。
メチャくん絵本「にじ」のネパール語版「ジャラマッラ・インドレニ」を見て、メチャくんの絵を描いてくれたようだ。
少し早めに庭に出る。りんごの様子を見ていると ごはんさんが帰ってきた。ごはんさんも りんごの様子を見にきてくれた。
「あれ、カカオ?」と、ごはんさんが言った。
いつの間にか、カカオが少し離れたブロックの上に座ってこちらを見ていた。
ごはんさんが近づいてゆく。カカオは逃げない。以前、わが家で ごはんさんに甘えていたカカオ。警戒心の強いカカオのその行動に修一郎と私はびっくりした。
外では さらにカカオは警戒心が強くなる。私とバナナさんにしか触らせない。外では修一郎も触れないのだ。
カカオ、どうするかな。と思って見ていると、なんと、ごはんさんに甘えている。背中を撫でてもらって、うれしそうに しっぽを ぴんと立てている。顔や耳やアゴを触ってもらって、目を閉じてきもちよさそうにしている。びっくりした。
「噛むかもしれない。」と、また言うと、
「噛んでもいいよ。」と、ごはんさんも また言った。
でも、噛まなかった。
仕事部屋から修一郎の大きな咳が聞こえてきた。
「境さん、咳、大丈夫?」と、心配そうな ごはんさん。
「うん、アレルギーが咳に出ちゃうから。」と、私。
りんごや、お花や、クローバーに水をあげる。みんな ごくごく飲んでいる感じ。
多肉植物の桃美人にも少しお水をあげる。
ぷりんさんが疲れているようなので海には行かないことになった。
ひとりでお散歩に行く。夜がやってくる前の空気。鳥も人もみんなお家に帰る準備をしている感じ。朝も昼も夕方も夜も、それぞれ ぜんぶ好き。
片付けをしてnoteを書いているとカカオがそばに来た。仕事机のはじっこに座っている。
今日は早めに夜の庭に出る。夜空に星も月も雲も出ていない。ただ、夜の空間だけがあった。大きな樹々のシルエットと相まって水墨画のように見える。夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
このあと、仕事をする予定。
今日もいい一日だった。
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