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信じられないくらい植物を愛している人に会った

3月22日(金)
朝、目が覚める。小鳥の声が聞こえてくる。幸せ。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

カカオとブータンにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにタブレットのエサをあげて水を換える。

手を洗う。両手で石鹸を包んで泡立てる。すごく楽しい。ずっと洗っていたくなるくらい楽しい。

ゴミを出しに行くと、ご近所の Iさんに会った。ピンク色のかすみ草の苗をくれた。

注文分の本の梱包をする。
食事の支度をする。

心配することがあった。心配しすぎないようにすることが大事だ。

コープさんがやってくる。

グリーンコープさんの元気カーがやってくる。
今日も はなおさんの姿がなかった。

どうやら はなおさんは腰ではなく股関節を痛めたらしい。そして、驚くことを聞いた。あの はなおさんが、なんと、若いとき長年 空手をしていたというのだ。ものすごくびっくりした。はなおさんと空手は全く結びつかない。

長引きそうだという。とても寂しい。はなおさんとの ゆかいな会話で笑いたい。早く元気になりますように。と祈った。

代わりの方、まるおさんが荷物を運んでくれた。そのとき、

「この車、廃車ですか?」と、まるおさん。

「えっ。愛車ですよ。あんまり乗ってないけど乗ってます。」と、私。

「パンクしてますよ。」と、まるおさんが言った。

「えぇっっっ」と、いっしょにタイヤを見る。

ぺっちゃんこだった。

どうしよう。と、思う。ごはんさんは お仕事だ。

JAFに電話をしてみた。
30分くらいで来てくれてスペアタイヤと交換してくれることになった。よかった。そんなに早く来てくれるなんてすごいなぁ。と感心する。

20分後くらいにみえた。
玄関の戸を開けると突然、

「あれ、ガジュマルですか?」と、修理をしてくれるOさんが言った。

「はい。」と、私。

「近くで見ていいですか?」と、Oさん。

「もちろんどうぞ。」と、案内する。

「これ、100円で買ったとき、5cmくらいだったんです。それが、こんなに大きくなったんですよ。」と、私。いま、ガジュマルは 1mくらいになっている。

すると、Oさんの口から、植物に関するものすごい知識が流れてきた。びっくりした。本当にすごい。植物博士のようだ。止まらない。色々なことを教えてくれたけれど、すごすぎて何ひとつ覚えていない。

さまざまな植物、木の話になる。クローバー畑のことも聞かれる。昨日のリピートのようだ。ものすごく端折って説明する。

Oさんは信じられないくらい植物を愛していて、Oさん自身が植物のようだった。コアラに似ているけれど。

お家の中も外も植物であふれているということ。家の中に みかんの木が 7本あるという。どうなっているんだ。

お部屋のひとつひとつを庭にしているらしい。畳の上に煉瓦や石を敷いて。小さな手作りの滝も流れているそうだ。部屋の中に。

そこに、インコが 7羽飛び回っているということ。楽園のようだ。そして、保護したオッドアイで真っ白な猫もいて、猫とインコたちは仲良しだということだった。

植物の中で暮らしているそうだ。
こんな人がいるなんて。

何度も何度も、

「植物はいいですねぇ。ここは緑がいっぱいでいいところですねぇ。」と、言った。

休日には、走行距離27万キロ30年前のワゴンRに乗って、ひとりで大分、宮崎、熊本の、電話もネットもつながらないような山奥に行くそうだ。そこで植物や石を見て楽しむということ。

山の中で迷わないように、光るピンク色のリボンを枝にくくりつけながら進んでいるけれど、なくても迷うことはないらしい。勘で分かるということ。植物が教えてくれるのかもしれない。

将来は、植物とインコと猫を連れて誰にも会わずに山奥で静かに暮らしたいということだった。

とにかく話のすべてに驚いた。タイヤ交換よりも植物の話の方が圧倒的に長かった。

こんなに植物が好きな人は見たことがない。

Oさんと話しているとき、友人のKUさんとクマちゃんという名前のワンちゃんがやってきた。

「クマちゃん〜〜ん!」と叫びながら走りだす。クマちゃんも走ってきてくれる。

可愛い〜。くるくる回っている。

みんなでクローバー畑を通って、きゅうりさんのお庭を見る。
クマちゃんが もこもこのクローバー畑をうれしそうに走り回っている。ものすごく可愛い。クローバー畑とワンちゃんて似合うなぁ。と、うれしくなる。

夕方、苗を植えているとバナナさんがやってきた。ちょっとおしゃべり。

チャイさんとぷりんさんがやってきた。おしゃべり。

梱包した短編集をポストに出しに行く。てくてく。ポストにゴットンと入れて家に帰る。

夜になる前の空が本当に美しかった。淡いオレンジ色からうす紫色へのグラデーション。その空に一番星が光っている。飛行機のシルエットが低空を飛んでゆく。ふっくらふくらんだ月が優しく輝いている。あまりの美しさに息をのむ。こういう景色を見ることが生きている喜びとなる。

夕食の仕上げをする。

仕事をする。

夜、庭に出る。
空一面、雲に覆われている。寒くない。暑くない。暖かいとも涼しいともちがう、この季節特有の優しい気温。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。

カカオとブータンは、いつもの椅子でそれぞれ眠っている。

心配することもあったけれど、ちゃんと夜がやってきた。明日には朝がやってくる。

今日もいい一日だった。


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