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最近のKPOPに対しての一抹の不安

 なんだか最近のKPOP、初速がめっちゃ重要で
・大手から出てる
・人気グルと何かしらの繋がりがありデビュー前からの知名度が高い
・オーディション番組をはじめとしたドキュメンタリーでデビュー前の“過程”に感情移入させる
のいずれかもしくは複数の方法で初速で“刺す”感じがある。

 音楽も振り付けもグループで内製してたり下積み時代の御涙頂戴エピソードは売れてからしか見せないスタイルのグルばかり推してきたから、正直、他事務所のお墨付き作曲家を引き抜いて作った歌でデビューしたり、売れてから“下積み”と称されるはずのシーンを応援のダシにする最近のやり方に違和感がある。でもこれだけだとただのババ臭い懐古厨なので、なぜこの状態が好ましくない可能性があるのか書いてみる。

 グループをいくつか渡り歩くと、「最近のやり方で最初から売っていればもっと実力が認められていただろうな」と感じてしまうグルは正直ある。
 そういうグルは大体、大手以外の事務所所属、それゆえにキャッシュがない、作詞作曲振付は内製、音楽番組とのコネもないからCDが売れてからしか出演オファーがかからない、それゆえネットで知名度をあげるしかない。デビューして5年前後経つのに未だ鳴かず飛ばず、みたいなグルは結構ある。
 固有名詞は出さないけど第3世代まではその売り方でやってきたし、例え大手から出てきたとしても新人グルは下積みで実績を上げてナンボみたいな風潮だったように思う。

 今はKPOPの市場自体が大きくなってしまっていて、需要と供給の順番が逆になった感覚がある。今までは誰かが求めていたわけではないけれど「かっこいいグループ」が彗星の如く現れて、急な供給に対して「すごい!最高!」という需要が生まれる。それに対して最近はすでにある「KPOPを接種したい」という需要に対して今まで求められてきたKPOP需要のスキームをあらかじめ事務所がなぞらえて用意してくる感覚がある。
 「市場ってこういうの好きでしょ?」というおあつらえ向きなメッセージを感じて、台本が見え隠れするその感じに“awkward”な気分になる。

 だからそういう流れも踏まえて最近のアイドルは“theアイドル”だな、と思う。その存在は偶像としてKPOP市場に存在していて、消費者が求めるKPOPアイドル像の布石を着実に歩むよう後ろ盾がしっかり用意されている感じ。
 これは市場の流れを汲んだ必然的なものだから仕方がないとは思いつつ、同時にKPOPの破壊的イノベーションを阻害する要因たり得るとも危惧している。
 特にエンタメにおいては消費者が求めているものに答えるだけでは新しいものは生まれない。
 厳しい環境で、それでもずば抜けたクオリティのものを出すんだ、その音楽が“いい”かどうかは世の中が判断するんだというスタンスが破壊的イノベーションの根源だと思っている。
 そういう意味で、独自のやり方で枯渇した砂漠でそれでも花を咲かせようとする、そんなグループが日の目を見れる社会であってほしいと切に願う。

2023.01.13 みるみる

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