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『50歳からの出直し大作戦』を読みました

39歳になりました。
ブックライター塾に通った今年の春から、ライターとして自分はこれからどう生きたいのか、そのためにはどんな努力をすればいいのか、そんなことを考えながら行動してきました。周りを見ると、会社を辞めてフリーになる人、すでにフリーとして活躍する人などがいて、馬鹿なこととは思いながらも、ついつい自分と比較して焦りを感じてしまうこともあります。

「もうすぐ40代、でもまだ30代」
そう唱えながら目の前の仕事に取り組んでいる今、あえてこの本を読むことにしました。『50歳からの出直し大作戦』(出口治明、講談社+α新書)です。

49歳で左遷され、55歳で子会社出向となり、58歳で起業したライフネット生命保険会長の出口治明さんが、「50代は人生で最強の年代で、独立するにも最適である」理由を紹介しています。さらに50代で起業した5人に出口さんがインタビューしているのです。ご自身のエピソードも挟みながら的確な質問をされるので、読みごたえのあるやりとりになっています。

この5人のお話がまたおもしろい! 昔の50歳は「定年まであと10年」だったかもしれませんが、今はみなさん見た目もお若いし、体力も気力もあって、50代だからこそできるチャレンジがあるんですね。周りでがんばっておられる50代の方たちを思い浮かべると納得できます。相当な知識・知恵を持ち、経験も積んでいる。修羅場をくぐりぬけてきたからこその胆力もそなわっている。子育てもひと段落してリスクがなくなったことも起業を後押しする一因になっているようです。5人とも前職でしっかりと役割を果たされ、新しい事業を始めるにもそれまでのノウハウや経験を総動員して臨んでいるのが印象的でした。

特に心に残ったのが、駐車場運営・管理の会社を57歳で興した大嶋翼さん(取材当時は74歳)のインタビューです。駐車場のコンサルティング業務というのも初めて耳にしましたし、その道何十年というプロがいることも知りませんでした。「まちづくりやインフラ整備が日本に比べると20年以上遅れている中国なら、われわれのノウハウを生かす場が多分にある」と、海外進出にも打って出ています。しかし無理な業績拡大には走らず、着実に実績を伸ばしていく。ここぞと見込んだ分野では大胆に行動する。力を入れるべき勘所を見極め、自在にハンドリングできるのは50代の起業だからこそなんでしょうか。そして、駐車場に関する仕事を楽しんでいて、自分のノウハウに自信をもっている、仕事が好きだということが伝わってくる話しぶりです。

出口 駐車場に対してそれだけ強い思い入れや理念を持って取り組んでいる会社はたしかにないかもしれません。だからそれを自分で作るしかない、と。まさにベンチャースピリットですね。

大嶋 未開の地に畑を作ろうと思ったら土地を耕すことから始めないといけないわけですから、それはそれで大変ですが、その分楽しみもありましたね。

このくだり、かっこよくありませんか。まずは自分が楽しみ、おもしろがらなくてはいい仕事はできない。おもしろいからこそ、それを実現するための苦労もいとわないし、できたときのよろこびもひときわ大きいわけですね。肝に銘じよう。

40代を飛び越えて一気に「50歳からの出直し」の本を読んだわけですが、50代だけでなく、若い人も読むといいよ! そう触れ回りたい本です。今できることを着実に進めて、ここだ、と思ったタイミングを逃さない地力をたくわえよう、と前向きになれます。