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フリーランスにとっての相談相手のような一冊_『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』(山田竜也 著、日本実業出版社)

本を手に取る動機は人それぞれだと思うが、「これは今の私が読むべきだ!」「これは私のために書かれている本だ!」と感じて手にとる本がある。

『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』(山田竜也 著、日本実業出版社)は、まさにその動機で手にした。昨年11月に開業したばかりの自分にぴったりの本だと思わせてくれた。

タイトルがいい。「フリーランスとして“働き続ける”ための47の方法」ではなく、「フリーランスが“ずっと安定して” “稼ぎ続ける”47の方法」だ。いくらフリーランスのライターとして働きたくとも、その仕事で利益が出なければ生活していくことはできない。しかもその稼ぎを一時的にではなく「ずっと安定」させなければ意味がない。点で稼げても、生活は成り立たない。
「そうそう! そうなの! 『ずっと安定して稼ぎ続ける』方法を知りたいのよ!」とタイトルだけでうなずきまくってしまった。

この本のすばらしいところは、アドバイスが具体的なところである。一番ためになったのは「必要な生活費をもとにした『売上目標』」の項だ。具体的にどれだけ稼ぎたいかは人それぞれだろうが、「売上目標の公式」を示してくれる本は珍しいのではないだろうか。会社員時代から生活レベルを下げたくなければ、これぐらい稼いだほうがいいよ、という金額が算出できる公式が紹介されている。知りたい方はぜひ本書をお読みください。

フリーランスになったばかりで考えることではないかもしれないが、法人化したほうがいいケースを教えてくれているのもありがたい。

法人化についてはフリーランスの友人の間で結構話題になる。しかし、法人化のめやすになる年間売上の金額が発言者によって意外とバラバラなのが気になっていた。本書では法人化のメリットを税金面やそれ以外の面から細かく紹介してある。良いめやすを得ることができた。

こうしたお金のことだけでなく、どうすれば仕事が途切れないか、どうすればストレスなく安定的に仕事ができるかに答えてくれているのもいい。

フリーランスになると、仕事がない時期の不安、金額交渉や支払い催促の悩み、お客様とのつきあい方におけるストレス、そんなものを一人で引き受けなければならない。本書で紹介されているそれぞれの解消法を読みながら、過去の自分の対応やメールの返信内容を思い浮かべて答え合わせをしていく気持ち良さを感じられた。「やらかしちゃったなー」と思うところもあったけど、それは次回から修正していけばいい。

著者はウェブマーケティングを専門とするフリーランスの方だ。4コママンガも取り入れながら、気軽に読める本に仕上がっている。悩んでいるときにフリーランスの先輩に相談するような感覚でこれからも折にふれてページを開きたい。その時々の悩みや課題によって、刺さるページもきっと変わるだろう。

プロローグの結びにはこうある。「積極的にフリーランスになったか、消極的になったかにかかわらず、私がフリーランスになって感じたのは、幸せになるには『働きやすい生き方』を自ら選んでいかなければならないということです」。

フリーランスのいいところは、自分で働き方や仕事、収入をコントロールできることにある。諦めたり、嘆いてばかりいないで、この本で紹介されている47の方法を参考に、幸せなフリーランスライターとしての生き方を追求していきたい。