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初めてコサルのビギナーズコースに参加したけど初心者が1人もいなかった

 フットサルをするには最低10人の人がいる。しかし、私の周りにはフットサルをしたいという人がいない。その上仮にいたとしても、大人になってから同じ時間に、同じ場所で10人の人が集まることは極めて難しいだろう。こんなフットサル難民という境遇に置かれた私に救いの手を差し伸べてくれたのが、コサルという存在だった。

  コサルというのは誰かのあだ名でも無ければ小さい猿のことでもない。コサルというのは、私のような「フットサルをしたいけど一緒にする人がいない」という悩みを抱えた人達が、そこそこのお金を払って集まり、一緒にフットサルをするという個人フットサルの略だ。

 上記のようなジレンマによって蓄積された鬱憤を晴らすため、藁にもすがる思いでこのコサルというものに参加してきたので、今回はその感想を述べようと思う。

ビギナーズコースに初心者が居ない件


 キックオフ開始と共に、ある違和感に気づいた。それは、「みんな上手い」ということだ。フットサルに自ら好んで参加してる人が集まっているから当たり前と思われるかもしれない。しかし、申し込みフォームには「経験者お断り!初心者同士でフットサルを楽しみましょう!」と記載されてあった。
 だから私はてっきり、ボールを蹴るのもままならない人達が、必死にボールに食らいつくがゆえに密集する小学生サッカーのようなものをイメージしていたし、あの頃の楽しさをもう一度味わうため、そんな試合がしたかった。

 今思い返せば試合開始前からおかしいことだらけだった。私が想像しているような初心者が、ソックスを履いてくるはずもなければ、フットサルシューズを持っているはずもない。これらのアイテムを持っているということは、サッカーまたはフットサル経験があるということの証明に他ならない。

なぜビギナーズコースに参加するのか

 このような人たちは、なぜ初心者ではないのにもかかわらず、ビギナーズコースに参加するのだろうか。それは自分のことを都合よく過小評価しているからだと思う。
 実際は初心者以上の実力があるとわかっているにもかかわらず、あえて自分が勝てるフィールドを選択し、負けないための予防線を張っているのだ。

 中には本当に自分のことを過小評価している人もいるだろう。そういう人は一応クラブチームやサークルに所属してはいたけど、あまり陽の光を浴びなかったという人だと思う。
 たしかに所属していたチーム内で比べるとあまり上手くはなかったのかもしれない。しかし、外の世界にでてみるとそういう人達は結構上手い部類に入ると思うので、次回からは自信をもってもう一つ上のコースに参加して欲しい。

初心者のフリをする人たち

 私は上記のような自分のことを都合よく過小評価し、初心者のフリをしてビギナーズコースに参加する人達を悪いとは思わない。むしろ賢い選択をしているとさえ思う。
 私たちは実力相応の場所で戦い、一度決めた道からは逃げてはいけないと教えられてきた。そしてそれが日本人の美徳とされているようにさえ思う。
 しかし相撲ではないのだから一度土俵に立ったとしても、相手が自分より強そうであれば、他の土俵で戦うということも人生においては必要だと思う。もちろん、毎回そうするべきだと言っている訳ではない。あくまで選択肢の一つとして積極的に考えてほしいということだ。
 「逃げることは悪」という考えに縛られていては、いつまでたっても罪悪感にさいなまれ、自分が本当に行きたい道に行くことはできないだろう。時には自分が勝てるフィールドを選択することも大切だ。

さいごに

 コサルに参加していた人で一人、専門用語を言葉のあちこちに散りばめ、チームのメンバーに「もっとこうしてほしい」と言っている人がいた。極めつけには、頼んでもいないのに「俺に何でも聞いてくれ」という態度だ。
 私が一番苦手なタイプの人間ではあるが、盗み聞きした彼の助言の中で一つ役に立ったことがある。それは「常に全力を出すな」ということだ。
 私は一試合目から「活躍しなくては」という思いで全力を出し切ってしまい、そのあとに続く試合では完全に疲弊しきっていた。
 一方彼は何でもかんでも頑張るのではなく、コート全体を見渡し、ここぞという時に全力を出すことで、ゴールにつなげていた。
 これは人生においても大切な考え方だと思う。もちろん全てのことを全力で取り組むに越したことはない。しかし人間そんなにタフではないし、それだけの力量を持っている人はごくわずかだと思う。だから私たちは頑張るべき時と、頑張らないでいい時を見極め、上手に生きていく必要がある。
 フットサルでは、「1度ベンチに下げられても再度出場することができる」というサッカーでは許されないことが許されているそうなので、焦らず時には休憩しながらこれからの人生を生きていきたい。

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