見出し画像

御菓子所 ちもと

この店を知ったきっかけは、この本だった。

表紙からしてこのインパクト。

『あんこなしでは生きられない』って、いったいどんな人種なんだ。

私はそれには当てはまらないけど、つい気になってこの本を手に取った。


あんこについては以前にも書いた↓

んだけど、こしあん派の私にとってかなり惹かれたのがなんといっても表紙のこのビジュアルだった。

いったいどんな味なんだろうと気になっていたら、ある時ラッキーにも知人からこちらの草だんごをいただいた。

写真のイメージ通りのつややかな優しい甘さのあんこと、香り高いよもぎがふんだんに練り込まれた柔らかいだんごの組み合わせが絶妙で、これはぜひ一度お店に伺いたい!とずっと思っていた。


この夏、たまたま近くまで行く機会があったので、念願のちもとを訪ねてみることにした。

だんごはもちろん、夏季限定で食べられると評判のかき氷目当てでもあったのだけれど、連日並んでいて早々に売り切れる日もあるというから無理かもしれないなあと、あきらめ半分でのれんをくぐると、意外にも待っていたのは一組だけですぐに入れるという。

喜び勇んで娘と2人、井戸の水が流れる趣のある店内を眺めながらしばし待つことにした。


私たちが頼んだのは宇治とミルクを半分ずつたっぷりかけた氷の中に、こしあんと白玉が入っているもの。

画像1

運ばれてきた瞬間、思わずふたりで顔を見合わせて「うわぁー」と声が漏れた。

実は私たち母子は結構かき氷にはうるさい。毎年あちこちのかき氷を食べ歩いているのだけれど、ここのはかなりサイズが大きい。うっかりスプーンを入れると雪崩を起こしてしまいそうな山をそっと端から崩しながら、でも溶けないうちに、と無心で口に運ぶ。

抹茶が苦手な娘も絶賛するほどの、流石としかいいようのない老舗の宇治シロップは、苦味だけでなく甘味も程よくあって、そこだけ食べても十分美味しい。

そして中に隠されたこしあんのまろやかさよ。

宇治、ミルク、それぞれの風味も最高だけど、あんも含めてすべてをひとさじに乗せると、三位一体となって口の中でとろける。甘すぎるスイーツは苦手な私でも完食できる甘さで、添えられた冷茶の心地よい渋みとの相性が計算しつくされているようだった。

ちなみにこの画像では全く見えないが、そびえ立つ宇治ミルクの山の後ろにはちゃっかりと、愛らしい草だんごが控えているのだ(笑)

氷とあんこと白玉ですでに満たされつつも、草だんごもきっちり1つずつ平らげた私たちは、夕食前だというのに満腹で店を出た。


やはり老舗と呼ばれるだけのことはある。ここは甘味好きなら一度は訪れたい名店だと改めて思った。

夏の間の2ヶ月ほどしか味わえないという贅沢な涼感をぜひ、暑い中わざわざ出かけて、お店で味わってみてほしい。


この記事が参加している募集

おいしいお店

サポートというかたちの愛が嬉しいです。素直に受け取って、大切なひとや届けたい気持ちのために、循環させてもらいますね。読んでくださったあなたに、幸ありますよう。