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【音楽レポ】クラバーがヒプステ4(ヒプノシスマイクーDivision Rap BattleーRule the Stage:Track4)を観に行ってきた件

こんばんは。アラサークラバーの東條みかりです。
フェスが絶滅危惧種になってから最早1年が経とうとしています。

今回はオタクフレンズと共にヒプステくんを観に行きました。ヒプステくんは人生2回目になります。私のヒプステ処女卒業は前回のTrack3になります。その時の衝撃がすごかったので、見事にヒプマイにわかになりました。

※前回のヒプステくんについてのレポも書いていますので参考にしてみてください

さて、音好きクラバーから見たヒプステ4をレビューしたいと思います。Travis Scottのアルバム『JACKBOYS』を聞きながら書いていきます。なお、俳優さんや演じているキャラクターに関しては深く触れませんので、ご了承ください。

1.私の属性について

私がどんな人間なのか軽く紹介します。

・ダンスミュージック愛好歴10ウン年
・好きな音楽ジャンルはテクノ、テックハウス、トランス、フューチャーハウス(Tchami路線のやつ)
・Hip-HopはTravis ScottやA$AP Rocky,Post Maloneのようなメジャーどころやフェスアンセムしか知らない
・クラブは音箱8割、チャラ箱2割(も最近ない)
・2.5次元の舞台はテニミュくらいしか行かない
・ヒプマイはドラマパートをあんまり聞いてない
・ヒプアニは履修済み
・ヒプくん楽曲はたまに聞く
・友達がヒプマイの話をめっちゃ教えてくれるので関係性はまあまあわかる
・我らがシブヤ

完全なヒップホップ勢、ベース勢ではないのでちょっと甘い部分もありますが、その辺のジャンルも普通のオタクに比べれば詳しい方ではと思います(当社比)。

2.今回のヒプステの概要

今回のヒプステは、イケブクロ、シンジュク、シブヤ、ヨコハマの元祖4ディヴィジョンが集結し、中王区という政府中枢エリアでラップバトルで決着をつけるというストーリーです。
というかこの4つのディヴィジョンですが、湘南新宿ラインで繋がってないですか…?
ストーリーを追い出すと卒論のような文字数の記事になってしまうのでここでは割愛しておきます。
いつものごとくEDC Japanの二日通しチケット並のチケット代(18000円)にやたら存在感を放っているオマケたちは健在です。
オマケにパーカーってなんやねん…。彼らが着ているやつです↓

ヒプステの大きな特徴の一つとして、レーザーや照明などの所謂ライティングの表現力の高さがあります。ライティングの使い方が舞台というより、EDMフェスや海外のDJライブのような使い方に近く、今回は歌や俳優さんの動きに合わせてレーザーがグリグリ動いたり、レーザーで空間を表現したりしています。
さらに、舞台とは思えないほどの音圧の大きさも特徴の一つです。感覚的ににはライブハウスぐらいのでかさだと思います。アリーナ前方席だとクラブ用の耳栓があったらいいかもしれません。
その他プロジェクションマッピングやアンサンブルのダンサーお兄さんズのクオリティの高さは非常に驚かされます。クラブミュージックを主軸にしており、SF的な世界観のためデジタル技術を駆使した舞台装置は他の2.5次元舞台と一線を画しています。

3.全体的な音楽性について

まず前提としてヒプマイはラップをテーマにしているプロジェクトなのでテクノ、ハウス、トランスはほぼ皆無です。ジャンルとしてはJ-Rapメインで、トラップ、ダブステップ、ベースハウス、ベースラインなどベース系ダンスミュージック(非四つ打ち音楽)が付随していきます。
その路線はヒプステくんにも健在です。左馬刻様や一郎がボーカルトランス歌いだしたら気色悪いでしょ(失礼)

ヒプステ本編にて使用されていた音楽ジャンルを紹介いたします。参考になりそうな曲も一応載せてみました。

・トラップ
これが一番多かったです。左馬刻様が生き別れになってしまった妹のことを思う歌があったのですが、これがまさにR&Bトラップでした。セカンドドロップの転調はTravis ScottのStargazingを連想させ、前半との曲調との差に驚かされました。あとは、シリアスでイルでチルなストーリーだったためか2018年ごろから流行ったヒップホップのトラップの曲調が多かったように思います。特に乱数ちゃんが己の出自に悩み自暴自棄になるところと奸計を図る辺りはトラップの乱発でした。あとドロップがハイブリッドトラップの劇伴音楽もあります。2曲目はまさにハイブリッドトラップ!日本のトラックメイカーのものです。ぜひ聞いてみてください。ベース勢満足セットだと思います。

・ダブステップ及びブロステップ
Track3ほどではありませんが、こちらもダンサーのお兄さんたちが踊るとき、次の歌い手に繋げるときなどに使われていました。これを使っている曲もあった気がします。リディムに近い気もするけど。ライブパートに入るイントロでダンサーのお兄さんがパフォーマンスをしてくれるのですが、それにメロディックダブステップ(メロダブ)が使われていてびっくりしました。また、フューチャートラップも使われていていました。プロデューサーが一番気合入れて作っているのがTrack3も思い返してもよくわかります。メロダブってこういうやつ↓。

・J-Rap
これ全体がそうなのでは?とは思うのですが、J-POPのメロディにラップを乗せたものをイメージして頂ければと思います。でも、これ系全然知らないです。イケブクロの3人が歌う時、ディヴィジョン全部が集まるときはこのジャンルが使われていた記憶があります。王道ド直球でとても親しみやすいと思います。最近トラップばかりですけど。

・プログレッシブハウス
シンジュクのイケイケホストの一二三が親友の独歩を連れて街に繰り出すときに歌われた曲のドロップが完璧にプログレッシブハウスのメロディでした。ただ、ホストの盛り上がり方を演出するせいかビッグルームハウス寄りになっています。また、プログレッシブハウスの中でもデッドマウス的なハウスにラップ歌詞を乗せた音楽もあります。確か乱数ちゃんの歌だったかも?二つ目の曲はデッドマウスの2012年のアルバムの曲ですが、EDMという言葉が出てくる前の音を作り出し、ラップ歌詞を乗せるという荒業を当時にやってのけます。

・ミクスチャーロック
これも原作・舞台版・アニメすべてを通して多いジャンルです。リンキンパークとか連想して頂ければわかるかなと思います。チームで歌う時などはこれがメインになっていると思います。Track3のナゴヤよりはかなり控えめになったなという印象です。Track3はメタルラップ、ラップコアを通り越してリディムベースのラップになっています。


その他ムーンバートン、ドラムン、ベースライン、ガラージュ的なメロディや音の作りが散見されたのですがどれが何かちょっとわからないです。そもそもそれで合っているのかすらも不明。

4.各ディヴィジョンの音楽性

ライブパートや本編の曲でなんとなく各ディヴィジョンの音楽性が分かれていることがわかりました。ざっくりとだけ紹介しますね。
・イケブクロ→J-Rap、J-hiphop
ファミリー集団で主人公的な立ち位置のディヴィジョンなだけあって王道を貫いています。湘南乃風とかリップスライムを連想させますね。リズムも取りやすく、メロディも取っ付きやすいようになっています。特に主人公の山田一郎のパートはその気が非常に強いです。欧米のダンスミュージックやヒップホップのアングラなシーンに馴染みが無ければ一番聞きやすいです。トラップだけど、↓みたいな世界観とか多いような...。

・ヨコハマ→トラップ、ミクスチャーロック
武闘派集団ヨコハマディヴィジョンはちょっと治安悪めなトラップでございます。力(ちから)でぶっ潰すという熱く危険で血の気の多い心情をトラップでパワフルに歌い上げます。抑揚のないリズムでリリックを繰り出すさまはロサンゼルスのラッパーのようです。また、パワフルなミクスチャーロックも多くて熱さを感じれたのかなとも思います。申し訳ないけど一番ハッパやってそう。一つ目はトラップ、二曲目はミクスチャーロックの例です。


・シブヤ→ガラージュ(ツーステップ?)、ベースライン
トリッキーな自由人集団シブヤディヴィジョンはヒップホップ系のメインストリームから一歩離れたダンスミュージックと融合させた音が特徴的です。楽しそうで、思わず跳ねたくなるようなメロディやキックが特徴です。また、流行の一歩先、または流行からあえて外している様は渋谷の音楽文化を象徴していると思います。系列店がコロナ禍で潰れてしまったエイジアでやるイベントに出てきそうなそんな感じです(或いはWomb)。一曲目はGハウスかなと思いますが、ベースラインは2曲目です!


・シンジュク→R&B、ムーンバートン、グライム
サービス職集団シンジュクは平均年齢も高めなのもあって比較的古い音楽ジャンルが多いです。リーダーの寂雷先生は4ディヴィジョンの中で最年長なだけあってビヨンセのブラックパレードみたいなR&Bのメロディにヒップホップを乗せた感じです。歌ラップというか。唯一一般的な職業の独歩はぼそぼそと歌い上げるのでグライムに合いますね。シャウトがメタルみたいですが。一方で、ナンバーワンホストの一二三は職業として派手さからEDM的です。親友の独歩を夜遊びに誘う時はムーンバートンです。後はプログレハウス。一つ目がグライム、二つ目がR&B、三つ目がムーンバートン(人によってはレゲトンとも言うかも)です。


5.音楽がわかるとヒプステがもっと楽しくなる!

さて、各ディヴィジョンごとに結構芸風が違うことは初見でも見えてきました。各々が持つ芸風やチーム性、キャラクター性などを踏まえると結構妥当であるのかなと思います。ここでこの音を使うのかって驚くことも多いのも事実。2.5次元舞台もここ数年EDM要素を取り入れて流行りに乗ろうと頑張っているけどここまで本格的なジャンルを取り扱っているのも珍しいのではないのでしょうか。アニソンや2.5次元ミュージカルにありがちな和音を極力減らしているように思いました。音数も少ないですね。ヒプステを見ているときの自分は驚きと感心(関心)ですごい表情になっていました。ほんとにこれ2.5次元?オタクジャンルなの?っていう感じです。単純に音が好みすぎて笑いそうになりました。音が好みだとなぜか笑い出す癖があるんです、すみません。

テクノ勢の私ですらこんなに発見があるのでベースやヒップホップが好きな人ならもっと面白い発見ができそうだなと思いました。
キャラクターや俳優さんに焦点を当てて見るのも楽しいですが、音楽ジャンルとキャラの繋がり・結び付き、プロダクションの力を感じ取るのも面白いのではないのでしょうか。
もっと曲のことについて見ていきたいので通いたいのですが、元々が熱狂的に人気のあるジャンルで、チケット制度的に譲渡がない(公式のリセールのみ)ので、難しそうだなという印象です。あと単純に複数回見に行きづらい値段しています。帝国劇場とかでやる舞台(エリザベートなど)より高いってなによ…。

6.補足:これ誰が作ってるのよ

前回の記事で「これどこの国内プロデューサーに作らせてんだよ」見たいなことを言いましたが、パンフレット見たら普通に記載がありました。
音楽監督はKEN THE 390さん。普通にクラブ界隈の知り合いもツイッターをフォローしていて無知に泣きそうになりました。ヒップホップ系のアーティストです。
音楽制作は井手コウジさん、SHUNさん、OOPARTZさん、KENGOさん、RYOさんだそうです。前回のTrack3も同じでした。舞台で複数のプロデューサーが制作しているのもかなり珍しいです。ヒップホップ、ベース系の国内プロデューサーが本当にわからなさ過ぎでした。各々調べますと大半が劇半音楽やアイドル・アニソン界隈から出てきたプロデューサーではなく、クラブシーンなどで活躍するトラックメイカーなのが分かります。正直申し上げますとそういう文脈や土壌がないとあんな音楽作れないと思うので大方の予想は当たったなという感じです。

7.一郎「俺たちをナメんじゃねえ」

主人公山田一郎役の高野洸さんが様々な波紋を呼んだヒプステ初演の大千穐楽にこんな感じのことを言ったそうです。
正確には「2.5次元であっても俺たちは真摯に取り組んでいるし舐めないでくれ。そこに優劣は無い」みたいな言葉です。
※当初舞台化が発表された時にボロカスに言われたからだと思われます。


よくよく思い返すとそうかもしれませんね。
実際ヒプマイもあんまり知らず、ネタ感が強いなと舐めていたら、うっかり魅了されてしまいましたから。

クラブ界隈にいてお高く留まっていた私は、舞台を見て一郎から直接言われているような気分になりました。そして一番心に来た言葉でもあります。

以上になります。

あーまた行きてーーーーーー!

8.追記:一郎「俺たちヒプノシスマイクの曲、ヒップホップを楽しんでくれな!」

さて、このブログを書いた後にヒプステの大千穐楽のライブビューイングを見て、再度音楽とストーリーの確認をさせて頂きました。ところどころ記憶が曖昧でジャンルの認識違いをしていたことが分かったので修正を致しました。大千穐楽での一郎はこんなことを言っていたのですが、近年はダンスミュージックとの親和性も高く、ラッパー達の活躍フィールドは純粋なヒップホップだけでなくダブステップやEDMトラップまで多岐に渡ります。2015年頃からのヒップホップの再ブーム、EDMトラップの登場によりこの系統のジャンルは多様な展開を見せています。ヒップホップの文化やスラング等に触れるのも面白いですが、それだけではカバーをしきれないのも事実です。追加させて頂くとベース系ダンスミュージックにも触れておくといいかもしれませんね。それこそSkrillexやDJ Snake、Diplo、Marshmello、Yellow Claw辺りがラッパーとよくコラボしているのでその辺の楽曲やライブセットを聴くと世界が拡がると思います。ヒプマイやヒプステを通してヒップホップ並びにベースミュージック、そこからハウスやテクノなどに興味を拡げて頂ければ幸いでございます。今は厳しい状況ではございますが、クラブや音楽フェスに足を運んでみてください。そこで新しい仲間や価値観に触れると世界が拡がると思います。

ちなみに、我々クラブ界隈の人間がヒプマイやヒプステにファンとして参入するのはおたくの皆さん的にどうなのでしょうか。

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