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【パリピの】テニミュ4thシーズン青学vs不動峰観てみたらグルーヴがなくなってドラマになってた【舞台鑑賞レポ】

こんばんは、東條みかりです。
最近推し活のせいでクラブの数より帝国劇場の数が多くなりました。直近で行ったクラブはキャメロットのハウスイベです…。次は石野卓球さんが出るテクノインベーダーに行きたい…!

今回はテニミュがまた新しく不動峰からループするということで7/9の初日とかもろもろに行ってまいりました。

ヒプステのレポと同様に俳優さんやストーリーは注視せず、音楽とライティングを中心にレポをしていきます。

ちなみに今回のテニミュのメンツはこんな感じです。保護者勢に月間プロテニスのジャーナリストである井上さんが追加されています。キャプションの右から2番目が井上さんです。ちなみに真ん中が主人公の越前リョーマです。


1.テニミュのサウンドが変わったぞ

4thシーズンになり季節のループが4回目に突入したのか、流石にサウンドも変えなきゃね(演出なんか変わりようがすごい)となったようで、3rdまで秘伝のタレ形式で使用されたアンセムは全く使用されなくなりました。殆ど刷新され、新曲へと生まれ変わってます。
では、どんなところが変更されたのか自分が気づいた限りでレポしていきます。

①サンプリングとオマージュが増えている
これはテニミュファンでも気づいている人が多いと思います。特に目立つのが、最初の青学(青春学園中等部テニス部:主人公のリョーマが在籍する学校。要は主役級の学校)が全員で歌う曲に1st時代から続くアンセムである「Do Your Best」が使われているところです。シンセのメロディだけでなく、歌詞もそのまま使われている箇所があり、懐かしさを感じた人もいたでしょう。
ちなみに原曲はこちら



他にはテニプリのアニメ版のサントラからの引用やシンセやギターのメロディ又は打ち込み方も似ている曲もあります。一番わかりやすいのはレギュラー落ちした乾がパワーアンクルを準備してマネージャー的な仕事をしているところでしょうか。
アニメ版のこのBGMに似ています。

これも多分そう

②アニメのサントラに近い音作り
演技のみのストレートプレイのパートではアニメのサントラに近いサウンドが展開されアニメのまま実写ドラマ化したような錯覚に陥ります。そしておそらくそれが狙いなので私はまんまと引っかかっています。
似たようなのを集めてみました。

※海堂と神尾の試合なんてこれ使われていたような気がします…


こんな感じで終わりにしておきましょう。そんなに見ていないので正確なものはわからないので申し訳ないです。

このようにサウンド作りがアニメに寄った作り方をしており、玉林中や荒井、池田、林のイジワル2年生トリオを登場させ、ライバルの不動峰中との対戦までの描写が以前のシリーズに比べかなり丁寧に作られているのでなおのことアニメがそのまま実写ドラマ化した感覚になります。アニメと原作のみしか知らないならすごくハイクオリティに思えます。

③流行りを取り入れている
これは近年の2.5次元舞台すべてに言えることですが、昨今はヒプノシスマイクのミュージカル版が出てきてしまい、取り入れる流行りのサウンドが非常にダンスミュージックまたはヒップホップに寄り、ジャンルもここ2、3年でフェスやストリーミングチャートで流行っているものを参考にするようになりました。刀剣乱舞なんてなんちゃって北欧プログレの祭りになっています。テニミュにおいては3rdシーズンの比嘉公演か全国氷帝くらいからその兆しが見えてきました。例えば、全国氷帝の大石菊丸のシンクロの曲はビッグルームハウス(EDM知らない人が想像するEDMですね)だったり、四天宝寺公演の白石のアンセムである「エクスタシー」は彼がトランスが好きという設定を加味してユーロビートトランスないし音ゲートランスのようになっています。
今回の4thシーズン不動峰公演においては、伊武くんのスポットでシティポップとカントリーラップを組み合わせたようなR&Bラップになっているのが顕著な例でしょう。

シンセポップはこれ(むしろフューチャーファンクですね)

カントリーラップはいまバズりにバズっていますね、テニミュキャストと同世代の有名な彼が。

ただ、すごくヒップホップが作品作りでネックなのはヒプマイという先駆者かつ本格派のトラックメイカーを採用してしまっているコンテンツがあり、何をしてもヒプマイの影がちらついてしまうので、悪手な気がします。ヒプステと比べられることは間違いないのでヒップホップと親和性の強いベースミュージックも微妙なことになりそうですね。もうSteve Aokiに提供させるとかSkrillexにやらせるとか超本格派ではない限り打ち破るのは難しいと思います。
※ヒプステのレポもしていますので参考にどうぞ


流行りというならフューチャーハウス(Tchami路線の)やテックハウスにした方がヒプマイとの棲み分けが出来ると思うのですが…。Lady Gagaの2020年リリースのアルバムであるクロマティカなんてフューチャーハウスですし…。黒執事の舞台版でもラップがあったという話も聞きましたが、黒執事こそテックハウスやベースハウス、フューチャーハウス、エレクトロスウィングにした方が世界観に合うのではないでしょうか…笑
ともあれ、ラップはやめた方がいいともいます。先駆者が強すぎます。
※テニミュくんに激推しするフューチャーハウスとはこれです

ごめんなさい二つともTchamiです。。。

2.ラリーは没入するものではなくなった

先ほどのアニメのサントラに音作りに似ていることから比較的尺が短めの普通のサントラになってしまい、3rdシーズンにあったようなラリー中の無機質なテクノサウンドが殆ど消失してしまいました。それが悪いわけではないのですが、SNSの感想ではラリーが集中できなくなったの声が上がっていてその要因にはなってそうです。
テクノとほかのサウンドの違いとは何か軽く解説していきたいと思います。

①テクノとはなんぞや
テクノとは、アメリカのデトロイトの黒人音楽コミュニティから生まれた電子音楽のジャンルになります。BPM(音の速さ)は120後半から140程度で、無機質なキック音が1小節に4分音符が4回続く所謂四つ打ちジャンルになります。邦楽ロックも四つ打ちが使われているというのでダンスミュージックに馴染みのない日本人にも親しみやすいリズムになります。また、音数も少なく、同じメロディとリズムが繰り返され、一曲の曲の長さが6分から10分程が当たり前のようなジャンルです。ちなみによくperfumeの曲がテクノとか言われること多いのですが、我々からするとシンセポップやエレクトロポップです。
とりあえず、どんなものかは聴いてご理解頂くほうが早いです。

こんなのがざっとテクノです。(本来の)プログレッシブハウスが出てきた辺りでハウスとの垣根がなくなりつつありますが。

②どうしてラリー中のテクノに夢中になれるの?
テクノの曲調がなんとなくわかったところで、どうして我々はラリー中のテクノに夢中になるのでしょう。それは、一つにグルーヴ感にあります。グルーヴというのは説明が難しいのですが、音楽を聴いているうちにふつふつと湧いてくる盛り上がり、開放感、集中とかそんな感じです。ウィキペディアさんにはもっと難しい言葉で説明されていますが、自分がクラブでテクノを浴びているときはこの感覚を覚えます。そしてお酒が入るともっとすごい。ラリー中のテクノサウンドはキャラクター(もしかしたら演じている俳優さん自身も?)の闘志、相手のスキやチャンスを狙う強かな集中、自己表現の開放感と楽しさ等とリンクし、作品にそのものに歌パートにはないライブ感とグルーヴを生み出しています。そしてテニプリファンたちはキャラクターの背景を知っているので音と知識、ライブ感が複雑に絡みあって没入感を生み出していると考えられます。作品を知らなくても音楽そのもので没入感を覚えることが可能です。4thシーズンではこのテクノサウンドが少なくなってしまい、ラリーに集中できない要因を作りだしてしまっているように思えます。
二つ目は、打球音とキックのリンクです。3rdシーズンではもっと低音が強いわざとらしい打球音だったので、馴染みやすいものでした。そして、キック音(ドン・ドン・ドン・ドンという音)が心臓の鼓動とリンクして臨場感を生み出していました。今シーズンからはリアル感を演出するために、錦織くんの試合で鳴っているようなリアルな軽い音に変化しているので、ちぐはぐ感も出てきているのだと思います。
最後にテクノのBPMと運動時の心拍数が理由に挙げられます。EDMも含め、テクノのBPMは120後半から140程度なのですが、特にBPM120台は軽くジョギングや筋トレしているときの心拍数に近く、音の速さとリンクして人間が本能的に興奮し、はたまた中毒性をもたらす速さだとも言われています。テニスのラリー中なんて心拍数130くらいありそうなのでテクノは妥当な速さだと思います。比較的テニミュのラリーのサウンドは130後半はないので、さらに俳優さんと観客に興奮とグルーヴをもたらすのです。下手したらインダストリアルテクノみたいなローテンポもあるので無駄に早くなりすぎず疲れないという心理もあります。

③ほかの音楽ジャンルじゃだめなの?
BPMとキックの鳴り方が近く、どこかへ飛ばされるような感覚が似ているので、代替のジャンルはトランスだと思いますが、ちょっとBPMが早すぎると思います。キャラクター性としてトランスは四天宝寺の部長である白石蔵ノ介の専売特許なので、今度は白石の個性がボケボケになってしまいます。それはこの世にたくさんいる白石ファンが悲しんでしまいます。彼は非常に華があるキャラなので個性を殺すわけにはいかないでしょう。
あれやこれや言うより聞き比べて想像するのが良いので代表的なジャンルをいくつか提示してみます。実際に映像をイメージして聞き比べてみてください。

フューチャーハウス

ビッグルームハウス

ダブステップ

トラップ

ドラムンベース

お次は親和性の高いトランス

(これは絶対合わない)ハードコア

TikTokで流行った輩ダンスの音です↓

この辺にしておいて、前に載せたテクノと聞き比べてみると違いが分かるかと思います。テクノの方が音がシンプルでハイハットも煩くなくて集中できる感じがしませんか…?どうでしょう…?ドラムンもいい感じに戦闘感が出ますが、役者の動きとマッチしない速さなのが難点です。
ともあれ、テクノが生み出す没入感を排除してリアリティを求めた結果、「なんだか集中できない」という感覚を生み出しているのではと私は考えます。

3.補足:グルーヴがなくなったことへの不安

ファンではない人、そこまで音に拘りがない人にとっては重要ではないので、読み飛ばして頂いて大丈夫なところです。
グルーヴがなくなって不安なことは、テニプリ最強のモテ男、跡部景吾様(様つけた方がいいかな?)の試合です。跡部(しつこいので敬称略です)とテクノ及びグルーヴってなんの関係があるんだよと思うでしょう。
これは、跡部のプレイスタイルが長時間のスタミナプレー型ということに関係しています。跡部のタイブレークなんて最近のテニプリではカウントが100超えることもザラではありませんし、戦い方の軸は粘りと集中とスキを狙いつつ相手を揺さぶるというなんだかとても地味でシンプルです。これは先述のラリー中のテクノサウンドとピッタリと当てはまると私は思います。そして、テクノの楽曲も1曲辺りが長いこと、テクノのライブは2時間なんて当たり前なくらい長丁場であることも彼の戦い方にマッチしていると考えます。テクノのライブの長さは当たり前にこれぐらいあります↓

それに加えて跡部は手塚との試合で、観衆の一人に「この試合ずっと見ていたいな」とぼそりと言われています。それだけの没入感を周りに与えられるような人物なのです。そのことを加味すると我々も彼?彼女?のように跡部の試合に没入感を覚えて見るような演出が必要となりますし、我々オーディエンスはそういう没入感を彼の試合では求めるのだろうと思います。テクノのように粘り強く集中し試合に没頭するというのが跡部という人物ですから。
さらに、先述の白石とは比べ物にならないくらいに強いパワーがあるので、演出や音楽に気を使わないとやばそうという心配もシンプルにあります。

4.プロジェクションマッピングの効果

テニミュも文明の利器を使いだし、今回ではプロジェクションマッピングをふんだんに使っています。そのことで、舞台装置の限界やセットを作る予算問題を乗り越えることができ、演出に幅が広がっております。音楽や演者の動きに合わせてグリグリと動く様はヒプステを連想させます。
強い先駆者であるヒプマイといよいよ被ってしまい、テニミュの個性とは何なのだろうと思えてきます。ですが、ヒプステと違うところは、プロジェクションマッピングというかVJを空間全体にドカッと映し出しているところです。これがかえって舞台の空間が広く感じ壮大になるという効果をもたらしています。さながら、EDM系のフェスのようです。EDM系のフェスの中でもULTRAは舞台装置すべてがVJモニターでモニターの形に合わせて映像も動かせるので似ているのかなと思います。

この手のVJやライティングはフェスでは、遠くのポジションで見ることでかえってアーティスト側が示したい世界観や全体像を見ることができ、演出に圧倒されることもしばしばあります。
テニミュでもプロジェクションマッピングとVJを全体的に映し出すことで良席が必ずしも前方席ではないということを提示しています。何を求めるかにはよりますが、プロダクションの心意気や世界観を楽しみたいならそこそこ後ろの席の方が楽しいということになります。金と名義積んで不自然に最前エリアにいる俳優のオタクへのアンチテーゼかもしれません。また、チケットの値段が最前も最後尾も同じ価格の設定になっているので平等に楽しみを作りだそうとするプロダクションチームの努力とも言えます。

5.総評

プロダクションに限って言えば、なんだかスタイリッシュになったけど、ヒプステの二番煎じというのが正直な感想です。そして、ヒプステとその文化的バックにあるEDM系フェスの影響を受けているように見受けられます。
とにかく、プロダクションは楽しめそうな感じで安心しました。後は音楽チームをヒプステのようにジャンル特化型のプロデューサーをつけましょう(ヒップホップとベース系は絶対ダメ!)。ヒップホップはやめた方がいいです。

ヒプステをパクリつつ音楽ジャンルを差別化して本格派になればかなり化けると思います。

以上!!!!早くパー中に戻りたいなあ。コロナが憎い…。

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