見出し画像

【シナジーの最大値】舞台キングダム:2023年5月11日大千穐楽レポ【カギは高野くんだ】

最近は地方のクラブ以外全然いけてもいなく、もうクラバーと呼べなくなった東條みかりです。

今回は札幌であったキングダムの札幌公演に行っておりました。東京の帝国劇場から始まって、大阪、博多を経由して札幌でツアーの最後になります。
札幌はテレビ塔近くの札幌文化芸術劇場hitaruで行われました。会場からすぐ歩くと札幌駅、すすきのに行けるので遊びのアクセスも抜群です。
※ついでに札幌イチのチャラ箱のUTAGEに行きましたが20分で退店しました

札幌もGWの最終日からのスタートなので観光もしやすくて楽しかったです。

今回レポをするのは、2023年5月11日18時から行われたキングダムの大千穐楽についてです。
自分の推しは同日の13時公演でラストでしたが、あまりにもこの大千穐楽がすごすぎたのでこちらを取り上げたいと思います。気持ち悪い話ですが、全国津々浦々29回観た中で最高の回で、始まったときから何か異なるグルーヴを感じました。

これが大千穐楽のキャスト表。せっかくだし観にいった。

何だろうこの差、この違いと考えた時、この空気感を作り出しているキーマンは出ずっぱりな信と嬴政の二人だと思いました。つまり、信と嬴政を演じる人ということになります(そりゃ当たり前だ)。
この回の嬴政は小関裕太くんで、帝国劇場での初日からかなり完成されていて、演劇を学んでいた友人も絶賛するほどです。彼は信が三浦くんの時は舞台的なちょっとオーバーな表現をし、高野くんの時は映画のような細かくあっさりして馴染みやすい表現をする傾向にあります。映像系も舞台系も程よく経験してきたから出来る塩梅かとは思います。
主役の二人は彼の恩恵をかなり受けているように思います。主役を演じる人の宿命であり仕事かなと思いますので変なことではありません。

となると、究極のところ信役がこの回のカギを握ってくるのは明明白白です。つまり、この回の信役である高野くんになります。

以上のことから、このレポにおいての軸は、主人公の信役の高野洸くんの成長ぶりについてと嬴政・漂役の小関くんとのシナジーについてと全体のざっとした感想になります。

ただし、ファンではないので厳しいことも言うかもしれませんので、高野くんのガチ勢は気を付けて頂ければと思います。
※予防線です、ごめんね

1.自分的最高ペアの高野くん小関くんペア

以前本noteでも紹介しましたが、今回の舞台キングダムの信・嬴政ペアでお勧めなのは、個人的に高野くん・小関くんペアです。
あくまでも個人の感覚なのですが、このペアの方が普段舞台を見ないような人や、キャストに思い入れがない観劇好きやアニメ・原作ファンにとっては一番見やすくて受け入れやすいペアかと思います。

4人の信・嬴政については下記リンクでも軽く触れております。

5月11日の18時公演の大千穐楽ではなんとこのペアでフィナーレを迎えました。

ざっくりとこのペアを紹介すると、信役の高野くんはビジュアルと演技的にアニメや原作の信に近く、嬴政・漂役の小関くんは嬴政と漂の演じ分け、表現力において巧みです。
この二人は映像での演技の経験も多いためドラマを見ているようにスッとナチュラルに入っていく感じがあるのも舞台をあまり見ない人にはお勧めです。舞台としてどうなんだと言われたらおしまいですが、演技派で渋い組み合わせかと思います。個人的には。

2.本公演のキーマン、高野洸くんについて

前説でも述べたように個人的な感想ですが、大千秋楽での独特なシナジーのキーマンは高野くんでございます。
彼のキャリアの走りは「天才てれびくん」から始まり、天てれキッズ仲間と妖怪ウォッチの「ようかい体操第一」とか歌ってたそうです。まじか…。
その後、週刊少年ジャンプで連載されていた「BLEACH」のミュージカル版の黒崎一護(またジャンプかよ…)を演じたり、ミュージカル版の刀剣乱舞に出たり、舞台版ヒプノシスマイクの主人公を演じたり、THE2.5次元俳優のキャリアを邁進していきます。
自分は友達とノリで行ったヒプステのレポで少し彼のことを触れていたようです。驚き。今回はぐっと掘り下げます。これが根拠づけなので。

最近ではウルトラマンエックスと酒の仕事もしているようです(笑)

※黒い服を着ていてうまそうに酒飲んでいるのがウルトラマンエックスです
ビアボールは去年のサマソニ、ソニマニでめっちゃプッシュされていましたね。

このブログを書くために調べて結構詳しくなったところで、どかどかと本題に入っていきます。

ついにやってきたぞ、帝国劇場へ

そこまでやるか、と思われますが、頑張って辿ります。
高野くんにとってはこの舞台「キングダム」が自身のキャリアで初めての帝国劇場での出演となります。しかも主演です。きっとファンも喜んだに違いありません。

ということは帝劇初出演かつ初主演となるのですが、直近だと千と千尋の神隠しの橋本環奈ちゃんが当てはまるそうです。ひょえー…。

どういう人選かは知りませんが、同じ信役の三浦くんは千と千尋の神隠しやレミゼラブルで何回か帝国劇場に出ています。頼りになりそうですね。というか頼りにされたに違いありません。

こういう初めてです、みたいなツラして出てくるやつ大抵無名のゴリラかダークホースなことは多いので、経験値のある三浦くんとは異なる何か期待値が、彼にはあるのかもしれません。

取材だの稽古だのPR活動だの色々経て、彼はついに2023年2月6日帝劇デビューをします。

私もこの高野くんの帝劇デビューを見届けました、ちなみに橋本環奈ちゃんの帝劇デビューも見ています。いい機会ですね。

アニメから飛び出たみたいな信

さて開演して、1幕で信が出てきて昌文君のおっさんに突っかかっているところを見ると「まあこんなものかな。あくまでも2.5メインだし、でもなんか信だ」という感じでした。
明日カノの萌てゃのホストくんの姿はどこに行ったのでしょうか…?
当時変な緊張感を本人から感じましたが、とはいえ彼は自分がすべての役になるタイプなのかもしれないと思いました。

その前日にあった三浦くんよりもなんだか慣れてなさそうという感じです。そりゃそうか。同じ立場だった橋本環奈ちゃんに比べるとモロに緊張している・慣れていない感が出ていました。こんな高いチケット代ではアカン現象ですが客としても緊張しました(笑)

ただ、1幕後半の「山の王と盟約を結ぶぞ」となったあたりから本人も慣れてきたのかギアが上がってきたようで、ますます「そこに信がいる!」みたいな感動を与えてくれました。
もうこれは上白石萌音ちゃんの千尋を見た時の感動と近いです。もっとカジュアルに言うとディズニーランドのパレードでディズニープリンセスたちを見た時の感動だ…。

どうしてこう思うのか、というのはまずは彼のルックスが原作やアニメの信に近いことです。これは非常に大きい強みです。前回のブログでは、「飛信隊で千人将してそう」と表現しました。シュッとした感じの顔をしているので本当に近いかと思います。

次に声出し方、声質そのもの?がアニメ版の信役の森田成一さんの声に近いので余計にアニメから飛び出したみたいと思えるのかもしれません。自分だけかなと思ったのですが、友達も感じていて、ネットの意見でも似たような印象を持っている人がいるようです。
舞台と考えると「r」の音が多い気がするので、滑舌が問題なのか?とは思います。気にする人は気にする、気にしない人は気にしない、そのくらいです。

3つ目に、舞台のオーバーさ、クサさとは異なる映像系のあっさり目の演技がアニメっぽいと思う要素の一つかもしれません。
ドラマや映画をメインに見ているような人にとっては、かなり受け入れやすく変に「なんか大げさだな」感が少なく、するっと入っていくのではないかと思います。空間がモノを言う舞台だと物足りない感はありますが…。

帝劇デビューを見て思ったのは、これは単純にハマり役というアドバンテージがあるなということです。粗削りな部分もありますが、自分がすべての役になるタイプかと思われますので、原作があって観客に固定のイメージがある作品だとかなり有利に働くのかなという印象です。

なるべく自分を消したい

このブログを書くにあたり、ヒプノシスマイク好きの友達から聞いた話なのですが、彼の演じる山田一郎は、アニメ・ラジオドラマ版の声優である木村昴さんから「俺ならこうするだろうなって一郎を演じてくれていて具現化されている」という趣旨のことを言われているようです。
ほんまかいなと調べると、おそらくこの記事にある対談がソースのような気がします。

木村が舞台版を初めて観劇した際に感じたのは「めっちゃ俺だ」だったそう。ラップの仕方やクセ、しゃべり方や語尾のニュアンスなどがまるで自分のようだったと語り、「かなり練習を積まれたのではと思ったら、オープニングの時点でボロボロ泣いてしまった」と興奮気味に話した。

「なるべく自分を消したい」ヒプステ俳優・高野洸の言葉に『ヒプマイ』声優・木村昴が感動!2人の想いが“スーパー一郎”を生み出す

声優さんにこう評価されるのはお世辞要素を抜いても、自分がその役になるタイプなのかなということが見て取れます。橋本環奈ちゃんのような「その役が自分になる」とは真逆です。

また、同じ記事内で高野くんはこう語っています。

「僕はいつも2.3次元ぐらいを目指したいんです。自分が原作ファンだったら、そのものが飛び出てきてほしいと思うから」と舞台への熱い想いを語った。そこに“高野感”を入れたいと思うことはまったくなく、「なるべく自分を消したい」と考えているという。

「なるべく自分を消したい」ヒプステ俳優・高野洸の言葉に『ヒプマイ』声優・木村昴が感動!2人の想いが“スーパー一郎”を生み出す

どうやら本人のスタンスも自分がその役になるタイプのようです。
アニメの信をかなり参考にしたのは想像に難くありません。

一般的にカメレオン俳優、例えば小日向文世さんや故大杉漣さんが演技派として評価されることが多いので2.5次元出身のキャリアながら意外と正統派なのかもしれません。

木村昴さんも感動した高野くんの山田一郎はこちらです。


嬴政・漂の魅力の最大値を求め、解を観客に提示する

私は帝国劇場の他にも梅田芸術劇場、博多座、札幌文化芸術劇場hitaruで最低各1回は高野信を観てきましたが、札幌公演で彼に大きな変化があったように思いました。

それは何かというと「相手を引き出す演技」です。あとセリフを丁寧に言うことです。セリフが丁寧になって滑舌が良くなったことでさらに生き生きしてきたよう思います。
セリフが丁寧になったという成長は、なんというか焼きそばの紅ショウガやマヨネーズ程度のオマケレベルで、本題は「相手を引き出す演技」です。

じゃあこの「相手を引き出す演技」とは何なのかというと、よく演技派の名脇役に期待されている「主役を立てる(魅力を引き出す)演技」というものになります。
主役にそんなのいらなくない?と思いますが、私的見解ではこれが出来る主役は演技の表現における掛け算の最大の解を我々に提示することが可能になります。表現力や相手を読むとかいろいろな掛け算の要素です。

キングダムで言うなら、信役が嬴政・漂役の小関裕太くんと牧島輝くんの魅力を引き出し輝かせるということになります。

これは相当な演技力・歌唱力等がないとダメで、いくらアニメっぽいからだとかでは成しえないもので、ホイホイとアニメに近い人たちを発掘してくるミュージカルテニスの王子様シリーズ、通称テニミュにおいてもこれを出来る人たちは稀です。やはり役者本人の技術力が未熟であることが最大のネックです。
最近の2.5次元舞台では、千と千尋の神隠しの萌音ちゃん千尋と醍醐くんハクのペア、脇役同士ではありますがテニミュ4thの高橋くん跡部・山田くん手塚が当てはまるかなと思います。圧倒的なのは萌音ちゃん・醍醐くんペアです。

キングダムで嬴政・漂の最大の解を提示することの技量を問われるのは牧島輝くんの嬴政をどうするか、かと思います。小関くんの方は勝手に本人が自立して信を引き立たせますので誰が信であっても勝手にそれなりの値で吐き出されるようになっているので特に何もありません。
※ごめんよ、牧島くんのファンよ、悪気は一切ありません

牧島くんの嬴政の最大の魅力は、なんといってもアニメに近いキャストビジュアルと演技・声質、そしてキングダムが好きなんだと感じさせてくれる友情感溢れるブラザーフッドの表現です。
(牧島くんはキングダムの原作の大ファンだそうです)
どうしても立場的に小関くんの恩恵を受けられない、彼の嬴政の味が活き、信を立てる嬴政になるには信役との掛け算にかかっています。

そして、この牧島くんの嬴政を引き出す存在が現れます、それが高野くんの信です。
ただし、最初からこうであったわけではなく、ツアー最初の帝国劇場の時なんて「なんだかアニメっぽい見やすい二人」程度にとどまっていました。よく2.5次元舞台で使用されるベニューのTokyo Dome City Hallに居る普通の2.5次元に毛が生えた感じでした。とても見やすくて楽しいが一味コクみたいなものが足りない、そんな感じでした。

それが、札幌公演で「なんだかアニメっぽい二人」から脱却をすることになります。高野くんのアニメっぽい演技、自分を消し役を最大限に出す力や丁寧さが成長し、それによる掛け合いの間から元々魅力的であった牧島くんの嬴政がさらに輝き、相乗効果を生み出す、それが大きなポイントです。もちろん、牧島くんの努力や成長も大きい要素です。
そのため、牧島くんの嬴政の最大の魅力であるアニメっぽさとブラザーフッドの演技が最大限に引き出され、信を引き立たせる名脇役にして親友の嬴政が生まれます。

彼が「なんだかアニメっぽい信」を脱却した瞬間かなと思います。相手を引き出す主役は演劇においては舞台や映像関係なくチート級のスキルです。
これの上位互換がマジで上白石萌音ちゃんです。本当に。

舞台版キングダムを札幌まで追いかけてきたわけですが、この成長ぶりはただの客の私ですら非常に爽快で気持ちいいので、定期的に通っている高野くんのファンは楽しい気分が極限値まで達しているだろうなと思いました。
グラセフのチートコードでも入力したんかな(笑)

これは思わぬ副産物かと思いますが、帝国劇場に初出演初主演なのはこういうことかと妙に納得しました。

3.最大限の情熱で最大のシナジー効果を生み出す

長い長い高野くんの掘り下げと根拠づけはこの項目に繋がります。元々結構演技派なペアではありましたが、この大千穐楽では高野くんの成長が大きく作用し、小関くんの嬴政との最大のシナジー効果が生み出されています。

というのも、この大千穐楽でいざ信と漂が出てきたときのオーラが全然違く、独特の雰囲気をまとっていたように思います。

特にこの回は大千穐楽ですし、アンサンブルさんやスタッフさんも含めて全ての関係者が最後の力を出し切るというスタンスですべての人が最大値で挑んできます。
だから高野くんと小関くんの引き出し合いとシナジー効果は最大限の情熱をもって観客やほかの演者にもグルーヴを形成し、観客を引っ張っていきます。

小関くんの信を引き立たせる演技力×高野くんの自分を消しキャラを憑依させる力でお互いの良さを引き出し合うことで観客に見せている表現の最大値を出力していました。

そのため、29回も見ているくせに大きな衝撃で一番良い回だと思ったのかなと思います。

とどのつまり、大千穐楽のお互いの相乗効果の最大化は高野くんの成長が大きなカギであるということです。最後の最後でこうなるのは非常にずるいです。
この回まじで円盤やサブスクで延々と垂れ流せますよ。

※みんなめっちゃいい顔しているね、やりきった感が良い

これを帝国劇場でやってくれよとも思わなくないですが、続編があったら少なくとも高野くんと小関くんが続投されたら帝国劇場で発揮してみてほしいです。

4.まとめや雑感

推しでない人を掘り下げるのはあーだこーだ自由に言えて非常に楽しかったです。言いたい放題言いまくる、本当に気持ちいいです。夏休みの自由研究と同じですね、気分だけは。

主役ってどうしても脇役たちに支えられているものなんだと思ってしまいがちで不文律のようにそれを期待しがちになりますが、主役がキーパーソンとなる脇役を引き立たすことでこんなにもシナジーがすごいんだと思いました。正直に言ってしまうと小関くん頼りなメンツだなとタカくくって捉えていたので、このお互いのシナジーのすごさに余計に圧倒されました。

あと正直に言うと高野くんのファンが楽しそうでうらやましいです。勝手な想像ですけど。

色々と発見があって楽しい回でした。
無事に閉幕してなによりです。高野くんと小関くんのSNSで締めようと思います。またこのペアの信・嬴政が見られますように!

ばいちゃ!

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?