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記事製造工場を訪れて

「記事製造工場」

そんな言葉が浮かんだ。

ライティングの仕事のクライアントは個人だったり、会社だったりいろいろだ。けれど、いろんな話し合いをしたり、ここをこうしてほしいと言ってもらったり、提案をしたり、そんなやりとりを1対1で行ってきた。

でも、ここ最近、1対複数ライターで記事作りを進める現場に立て続けに入り込んでしまった。
たくさんのキーワードやタイトルが用意されている。何人ものライターの名前が割り振られている。1人の担当者が複数のライターを相手に仕事を進めている。
「アサインする」という言葉もこの現場に入って初めて実感した。「これがアサインの現場か」と感じた。

機械的にどんどん記事が作られていく。1つできたら次の記事へ。まるで記事製造工場のようだ。
「この日までの納期は難しいのでのばしてください」「この画像、見つからないんですけど」「字数が少し足りません」1対1でも同じようなやり取りがあるけれど、ここではなんだかすべて機械的に見える。

逆だろうか。今まで1対1でしてきたと思っていたことでも、裏側にはこんな光景が広がっていたのかもしれない。

今までは私だけに向けて提示されたレギュレーションも「そこにあるのをみんなで見てください」といった感じだ。どこにあるのかということさえ聞かなくては教えてくれない。まさに、工場。
そのレギュレーションも細かく決められている。ルールにがんじがらめになって、文章の組み立てがうまく考えられない。

ついていこうと頑張ってみたけれど、効率の良い記事作りには失格者だったらしくて、リタイアしてしまった。
1対1ならできたことでも、記事製造工場の一部になってみるとできなかった。リタイアなんて、今まで初めての経験。

私ができなくても、他に代りはいくらでもいる。
個性はいらない。

すぐあとにキャッチコピーの仕事が入り、また1対1の仕事に戻った。
私がいくつも案を出し、クライアントが選ぶ。
私だけが受ける仕事。
代りは他にいるかもしれないけれど、個性がいる。
こちらの方が居心地がよくて、ほっとした。

一口にライターと言っても、いろんな仕事のやり方があるんだなと思った。

それと同時に、考えたこと…ライターの仕事とは全然関係ないけど、学校の子ども達のことだった。
すこし似ている気がする。
記事製造工場に…。
このことはまた、次の機会に書きたいと思う。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!